ホーム > 2019年の相場大予想 > 2019年の国内株式 重要セクター:バイオ・製薬
2019年の国内株式
細胞療法の薬価収載・バイオセイムの薬価収載・消費税増税に伴う薬価改定とレギュレーションイベントが多数
2019年の展望
マクロ的な展望としては、消費税増税に伴う薬価改定がメインイベントとなる。また、その後も毎年薬価改定される可能性が高く、益々国内製薬企業の創薬力が試されることになる。日本は米国に比較してバイオ医薬品から既に乗り遅れ、その余波はまだ続いている。瞬時に追いつける程、創薬は甘い世界ではない。長期収載品に対する薬価規制が厳しい中において、創薬力のある企業とない企業の二極化はますます開くばかりか。
キーワード
「医療財政を鑑みた創薬」をキーワードとして挙げる。
2019年には1回の治療費が5000万円程のCAR-T細胞療法治療薬が市場投入される予定であるが、その薬価と保険収載の動向に注目が集まる。財政制度分科会にて、超高額薬剤について、「費用対効果や財政影響などの経済性の面からの評価も踏まえて、保険収載の可否も含め公的保険での対応の在り方を決める仕組みとしていくべき」という改革の方向性が示された。医療財源の限界に応じて費用対効果のある薬剤を創薬を目指すという、今までよりワンステップ高い事業戦略が求められつつある。
注目テーマ
上記キーワードに関連した注目点を3つ挙げる。
「プレシジョン・メディスン(Precision Medicine)」
疾患に効く薬を創るだけでなく、その薬がどの疾患患者に効いて、どの疾患患者には効かないのかを事前選別した上で治療を行うことが重要視されている。これは患者の治療負担を減らすことは勿論、最低限の医療費の拠出に抑えることが可能となる。
「バイオセイム」
バイオセイムは、バイオシミラーを先発品メーカーが作製した製品のこと。バイオシミラーの「先発品との類似性」という弱点を克服し、且つ先発バイオ医薬品より安価なバイオセイムが2019年に市場投入される。初のバイオセイムの薬価がどう算定されるのか注目度が高い。
「中分子モダリティ」
低分子化合物とバイオ医薬品の両方のメリットを兼ね揃えつつも低コストで製造することが可能な「中分子」という概念が生まれつつあり、その研究開発段階にも注目したい。
田中 智大(たなか ともひろ)
SBI証券 企業調査部(バイオ・医薬品業界担当 アナリスト)
大阪大学薬学部・同大学院薬学研究科に所属し、幹細胞学、免疫学、腫瘍学、ウイルス学など分子生物学全般について幅広く見識を広める。
2015年に修士課程卒業後、専攻から一転し金融業界に飛び込み、バイオ領域でのアナリストを志すべく2017年11月より現職。
自らの薬学のバックグラウンドを活かして、バイオ・医薬品セクターを担当。
幅広いバイオ・医薬品の見識を活かし、アナリストカバレッジの少ない企業まで幅広く、そのバイオ技術の本質的な将来性を見極めることに注力。
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