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2019年の国内株式
引き続き「人手不足」「生産性改善」「自動化」がキーワード 米メーカーの「手術ロボット」特許期限切れにも注目が
2019年の機械セクターの展望は?
足元の機械セクター関連統計の状況は、高水準だが減速が続いている状況です。これが米中の貿易摩擦による投資手控えの影響なのか、シクリカルな部分のダウントレンドに入っているのかを見極める必要がありそうです。なお株価は既にピークアウトしてダウントレンドを先取りしている感があり、2019年はボトムアウト、上昇の可能性、そして新材料、新テーマを探る1年となりそうです。
機械セクターにおけるシンボリックな指標である工作機械統計をみると、2011年以降2018年まで、かつて好不況の目安とされた1兆円を8年連続で超え、特に2018年は1958年の統計開始以来初めて1兆8,000億円台に達し、2017年から2年連続で過去最高を記録する見通しです。一方月次受注総額は2018年10月に14ヵ月ぶりの1,400億円割れ。内需は堅調さをキープしていますが、中国向けが同9月まで7ヵ月連続で前年を下回っており、10月も外需は前月比・前年同月比とも2ヵ月ぶりに減少となっています。
2019年のキーワードは?
機械セクターでは、引き続き「人手不足」「生産性改善」「自動化」になるとみております。2018年11月末に国際通貨基金(IMF)は「日本は人口減によって、今後40年で実質国内総生産(GDP)が25%以上減少しかねない」との試算を示しました。一方で生産性を高める構造改革を徹底すれば、経済規模の縮小を抑えられると指摘されております。2015年の安倍首相による「ロボット革命」宣言はこうしたことが背景にあると考えられます。当時のロボット市場は年間6,500億円でした。2017年に9,000億円まで成長しておりますが、国策として、2.4兆円への拡大が目指されております。産業用ロボットの更なる用途拡大とサービスロボット市場の顕在化に注目したいと思います。
機械(ロボット、FA他)市場における注目テーマは?
TVドラマの影響もあり、無人運転が既に実現、市販されている建設機械、農業機械に注目が集まりそうです。また2019年に現在世界トップシェアを占めている米メーカーの手術ロボットの大部分の技術の特許が切れるため、「ロボット大国」である日本メーカーの中でもこの分野で注目される企業が出てくるかもしれません。中国の長期戦力である「中国製造2025」では、工作機械、ロボット、農業用機材などが含まれていますが、2025年までに中国メーカーがこれらを一から作り上げるのは難しいと思われます。多くの日本製品、具体的にはサーボモーター(ロボット、工作機械)、油圧機器(建設機械)、などが主要パーツとして使われることになるでしょう。
諸田 利春 (もろた としはる)
SBI証券 企業調査部(機械、ロボット担当 アナリスト)
1988年に新日本証券(現みずほ証券)入社、1992年新日本証券調査センターに出向以来、東京三菱証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、ドイツ証券にて、約20年にわたり、機械、造船・プラントセクターのアナリスト業務に従事。準大手証券でアナリスト開始後、約3年でアナリストランキングにランクイン。以降約17年にわたり上位をキープ。最高順位は日経ランキングが機械3位、造船・プラント2位、Institutional Investor Plant Engineering & Shipbuilding 2位。その他Greenwich SurveyMachinery 5位、スターマイン 機械1位など。2005年には当時初の機械、造船・プラント両セクターでの日経top3入りを達成。
三菱UFJ証券以降は、特にロボット、FAなどメカトロニクス分野の調査に注力。欧ABB、独クカ、シーメンス、米ボーイング、キャタピラーなど海外競合メーカーへの取材、工場見学実績も多数あり。
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