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中国における金について考える
提供:SBIゴールド
WGC(World Gold Council)によると2015年における国別の金消費需要(宝飾品+投資)は中国が2年ぶりに世界一になりました。今回は、中国人にとっての金はどういった役割を持っているのか、考えて行きたいと思います。
金消費需要・生産量世界第1位の中国
「消費需要」においてアジア新興国では近年中国とインドが争っていますが、USGS(US Geological Survey)によると中国はこの消費だけでなく、金の生産量においても群を抜いてトップです。金は昔から中国人にとって重要なものとして扱われてきました。また、金色は中国の皇帝を象徴する色としても使われ、現在に残っている歴史的な建物や皇室の遺物でも金を多く使っていたことを確認することが出来ます。
2015年における各国の金需要ランキング
出典:World Gold Council
成長を続ける中国経済
高度経済成長を続けている中国は、近年鈍化傾向とはいえ、所得水準・生活水準・物価水準においても高い水準を保っています。
この影響に加え、最近では「株民」という言葉に代表される株式をはじめとする各種金融商品への資金投下が加速しています。全人代での国内産業の萌芽・育成の指針により庶民によるマイクロファイナンスも盛んになり、一時期の不動産一辺倒の投資から多岐にわたる投資商品・国内に限らない資産運用へと広がっています。
これは金においても例外ではありません。金を嗜好してきた歴史的背景から考えると、70年代まで行われていた中国人民銀行による金取引に関する独占開放の後、金への投資欲が大きくなるのは自然な流れかもしれません。
金への投資が大きくなる中で、その投資方法にも変化が起きています。インド国民と同じく、中国国民も主に装飾品として金を購入してきました。しかし同じく経済成長が続く両国では傾向に違いも現れました。
インドでは金の装飾品と金地金に対する需要が同水準で並行して増加してきましたが、中国では金地金に対する需要の方が顕著に拡大しました。装飾品への需要は時に下落傾向をみせることもありました。これは金が価値保存の手段よりも投資対象として浸透するようになったことを一面では意味しています。このような投資傾向の変化と様々な金投資商品の登場により、今後中国における金の取引市場はさらに活性化されることが予想できます。
中国政府の改革開放方針
このような金への需要増加は、民間だけではなく政府の政策方針も大きいのです。中国では1949年から政府が金の取引を独占し民間の所有を制限してきました。
しかし、ケ小平による改革開放方針もあり、中国人民銀行による金取引に関する独占が終わり、2002年に上海の金取引所(上海黄金交易所 略称:SGE)を設立、中国国内の金市場マーケットは自由化したと言われています。
人民元を国際通貨として浸透させる手段
人民元を国際通貨として認知させるために国家の金保有量を増大させるというのが中国政府の認識かもしれません。SDRの採用はその布石とも思えます。
これは各国の通貨が主に米ドルを基軸通貨として為替取引されているため、常にドルの変動に対する不安を抱えることになるリスクの分散と考えられます。
中国は世界で唯一「取引相手リスク=Counterparty Risk」のない安全資産である金を、中国国内で保有し、且つ人民元建てで取引を行えることで、金や原油を取引する際の基軸通貨のドルにも対抗することを目指していると考えられます。
中国が今後及ぼす金への影響
中国は2010年から金の輸入を急激に増やしました。また鉱脈・鉱山の探査・採掘も活発に進めるなど、金の確保のために力を入れてきました。下記のグラフは2016年における各国の金保有量ですが、中国は6位を記録しました。しかし中国の金保有量については、公開された輸入量情報の他にも密輸を含んだ保有量が多いとも言われているため、実際の保有量はさらに多く蓋然性は高いものと思われます。
各国の金保有量(トン)
出典:World Gold Council
このように、中国における金需要の増加は金価格上昇の大きな要因の一つになります。長く高度経済成長を続けてきたことで、一定の国富国力増加による需要喚起が背景として挙げられます。今後も中国経済は紆余曲折はあれど一定の経済成長が見込まれるとの観測もあり、金への投資へ流れる資金も比例して増える可能性を秘めています。
国民所得増加と政府の方針による巨大プレーヤー“中国”の今後の動き次第では、今後金価格に影響を及ぼす可能性が高いのかもしれません。
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