国内株式の税制
国内株式の譲渡損益
所得の種類
国内株式(税制上の上場株式等)を売却した場合、源泉徴収の行われる特定口座内の取引を除き、原則として確定申告が必要となります。売却による所得は譲渡所得として取扱われますが、他の所得と区分して税金を計算する「申告分離課税」となります。
譲渡所得の計算
譲渡所得は、「売却約定代金−取得費−売却時手数料」で計算されます。また、同一銘柄において複数回にわたり購入している場合は、総平均法に準ずる方法で取得価額の計算を行い譲渡所得の計算を行います。具体的には以下のように計算を行います。
番号 |
取引年月日 |
取引 |
株数 |
単価 |
買付 |
売却 |
売買時 |
取引後の |
取引後の |
譲渡損益 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(1) |
平成25年4月 |
買い |
2,000株 |
250円 |
500,000円 |
− |
300円 |
− |
2,000株 |
− |
(2) |
平成25年10月 |
買い |
3,000株 |
255円 |
765,000円 |
− |
300円 |
− |
5,000株 |
− |
(3) |
平成26年1月 |
売り |
1,000株 |
270円 |
− |
270,000円 |
300円 |
254円 |
4,000株 |
+15,700円 |
(4) |
平成26年5月 |
買い |
3,000株 |
280円 |
840,000円 |
− |
300円 |
− |
7,000株 |
− |
(5) |
平成26年8月 |
売り |
2,000株 |
290円 |
− |
580,000円 |
300円 |
266円 |
5,000株 |
+47,700円 |
(6) |
平成26年12月 |
売り |
3,000株 |
250円 |
− |
750,000円 |
300円 |
266円 |
2,000株 |
−48,300円 |
(7) |
平成27年2月 |
売り |
2,000株 |
270円 |
− |
540,000円 |
300円 |
266円 |
0株 |
+7,700円 |
(※1)譲渡損益の計算(「売却約定代金−取得費−売却時手数料」で計算されます。)
取得費:{(2,000株×250円+買付時委託手数料300円)+(3,000株×255円+買付時委託手数料300円)}÷5,000株=254円(小数点以下切上)
254円×1,000株=254,000円
譲渡損益:(1,000株×270円)−254,000円−売却時委託手数料300円=+15,700円
(取引後の平均取得価額は254円、取引後の残株数は4,000株となります。)
(※2)譲渡損益の計算(「売却約定代金−取得費−売却時手数料」で計算されます。)
取得費:{(4,000株×254円)+(3,000株×280円+買付時委託手数料300円)}÷7,000株=266円(小数点以下切上)
266円×2,000株=532,000円
譲渡損益:(2,000株×290円)−532,000円−売却時委託手数料300円=+47,700円
(取引後の平均取得価額は266円、取引後の残株数は5,000株となります。)
(※3)譲渡損益の計算(「売却約定代金−取得費−売却時手数料」で計算されます。)
取得費:266円×3,000株=798,000円
譲渡損益:(3,000株×250円)−798,000円−売却時委託手数料300円=−48,300円
(取引後の平均取得価額は266円、取引後の残株数は2,000株となります。)
平成26年の所得の場合、平成27年3月15日までに確定申告を行いますが、上記の例で申告対象となる譲渡損益は、(3)(5)(6)で発生した譲渡所得となります。((7)は平成27年の所得となります。)平成26年の譲渡所得は、15,700円+47,700円−48,300円=15,100円となります。(平成26年中に発生した利益と損失は損益通算します。)
税率
上場株式等の売却により発生した譲渡所得に対する源泉徴収税率(特定口座の場合)は20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)とされております。上記の例ですと15,100円が譲渡所得であり、15,100円×15.315%=2,312円が所得税となります(住民税は15,100円×5%=755円)。
(平成21年1月1日〜平成25年12月31日までの間は、所得税は7%とされておりました(住民税は3%)。)
期間 |
平成24年末まで |
平成25年 |
平成26年〜令和19年(平成49)年末まで |
---|---|---|---|
源泉徴収税率 |
10% |
10.147% |
20.315% |
- ※東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法が平成23年11月30日に成立されたことに伴い、平成25年1月1日から令和19年(平成49)年12月31日までの25年間、復興特別所得税として所得税額に2.1%が上乗せされます。
その他の注意事項
信用取引等の場合の特例 |
信用取引によって上場株式等の新規買または新規売を行い、反対売買により決済した場合の取得価額の計算は、上記の総平均法に準ずる方法の計算によらず、新規建取引時の取得単価によります。すなわち、すべて個別対応によるのであって同一銘柄について取得単価の異なる復数の買建玉があっても、現物取引による株式の取得価額のように総平均法に順ずる方式によって計算する必要はありません。従って証券会社の発行する信用取引の決済取引時に交付される取引報告書に記載された決済損益がそのまま譲渡所得となります。 |
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譲渡損失の繰越控除制度 |
上場株式等を譲渡したことにより生じた損失の金額のうち、その年に控除しきれない金額については、確定申告を行なうことで翌年以降3年間にわたり、上場株式等に係る配当所得の金額や株式等に係る譲渡所得等の金額から繰越控除を行なうことができます。 |
特定管理株式が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例 |
特定管理口座にお預りしている特定管理株式が株式としての価値を失った場合、「株式等の譲渡損失」とみなすことができます。譲渡損失とみなすことができるものとしては、(1)清算結了、(2)破産手続開始の決定、(3)会社更生計画又は民事再生計画に基づく100%減資、(4)特別危機管理開始決定(いわゆる銀行の国有化)のいずれかの場合に限られています。上記(1)から(4)に該当した場合には、当社より「価値喪失株式に係る証明書」を交付いたしますので、この証明書を利用し「株式等の譲渡損失」として確定申告を行なうことができます。
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確定申告不要の特例 |
源泉徴収される特定口座を開設されている場合、当該特定口座内で実現した上場株式等の譲渡所得等の金額又は損失の金額や上場株式等に係る配当所得の金額は、確定申告不要制度の対象とされます。これにより、確定申告の際に、これを除外して(確定申告の際の合計所得金額に含めないで)申告するか、合計所得金額に含めて申告するかを選択することができます。 |
- ※特定口座の内容については、ホーム > サービス案内 > 特定口座をご確認ください。
国内株式の配当
所得の種類
株主や出資者が法人から受ける配当や投資信託の収益分配金は、配当所得として取扱われます。上場株式等に係る配当等の確定申告不要制度を利用した場合、上場株式等の配当、株式投資信託の収益分配金などからの配当は確定申告不要です。(上場株式等の発行済株式総数の3%以上を保有する大口株主は確定申告不要制度は利用できません。)また、上場株式等の配当、株式投資信託の収益分配金などの配当所得は、平成21年より、従来通り配当所得として総合課税で取扱う方式の他、上場株式等の譲渡損失と損益通算できる申告分離課税方式も選択できるようになりました。
- ※特定口座内で配当を上場株式等の譲渡損失と損益通算する方法については、ホーム > 譲渡損失と配当金・分配金の損益通算についてをご確認ください。
配当所得の源泉徴収税率
配当を受け取るときは、所得税15%(住民税5%)の源泉徴収が行われます。(この税率は、平成21年1月1日以後に支払いを受ける上場株式等の配当(大口株主が支払を受けるものを除く)について、特例措置として、平成21年1月1日〜平成25年12月31日までの間は所得税7%(住民税3%)の軽減税率が適用されておりました。)
期間 |
平成24年末まで |
平成25年 |
平成26年〜令和19年(平成49)年末まで |
---|---|---|---|
源泉徴収税率 |
10% |
10.147% |
20.315% |
- ※東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法が平成23年11月30日に成立されたことに伴い、平成25年1月1日から令和19年(平成49)年12月31日までの25年間、復興特別所得税として所得税額に2.1%が上乗せされます。
- ※発行済株式の総数の3%以上に相当する数又は金額の株式等を有する大口株主等が支払を受ける上場株式等の配当等は、20.42%(住民税なし)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収され、総合課税で確定申告を行うことになります。
配当所得の計算
配当所得の金額は、「収入金額(源泉徴収される前の金額)−株式などを取得するための借入金の利子」で計算されます。収入金額から差し引くことができる借入金の利子は、株式など配当所得を生ずべき元本のその年における保有期間に対応する部分に限られます。また、譲渡した株式に係るものや確定申告をしないことを選択した配当に係るものなどについては、収入金額から差し引くことができる借入金の利子には当たりません。
その他の注意事項
配当控除 |
配当所得に、国内株式から支払われた配当金等があるときは、二重課税を調整するために一定の金額の税額控除を受けることができます。これを配当控除といいます。配当控除を受けるためには、総合課税方式を選択して確定申告が必要です。
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分配金米国源泉税軽減税率適用サービス |
分配金米国源泉税軽減税率適用サービスの対象となる「iシェアーズETF 東証上場シリーズ」を保有しているお客さまにおかれましては、対象となる「iシェアーズETF 東証上場シリーズ」の銘柄より分配金が発生した場合、米国で30%の源泉税が課税されております。三菱UFJ信託銀行を受託者とする「iシェアーズETF 東証上場シリーズ」において、受託者(三菱UFJ信託銀行)が米国歳入庁に対しお客さまの所定の情報を提供することで、日米租税条約上の軽減税率(10%)を適用することが可能となります。軽減税率適用のためには、所定の情報提供に関して同意をいただく必要がございますため、「米国現地源泉税関連情報提供に関する同意書」をご提出いただく必要がございます。 |
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ETF・REITの分配金における二重課税調整 |
令和2年1月1日施行の税制改正により、上場投信(ETF・REIT)が海外の資産に投資している場合、配当等に対する外国所得税の二重課税調整が行われます。内外での二重課税が生じないよう、上場投信等を経由して支払った外国所得税は分配金に係る源泉所得税の額から控除できるよう調整措置がとられています。 二重課税調整は、ファンドごとに決算の都度、以下の3つの情報を元に算出され、自動的に調整が行われています。
控除額については、「株式等配当金のお知らせ」および「年間取引報告書」にてご確認いただけます。 二重課税調整に関する詳細はこちらをご確認ください。
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