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金は米FRBの大幅利上げ見通しで換金売りが続く
2022/7/4
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はユーロ圏の国債分断化防止措置なども焦点
6月27日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しを受けて軟調となった。中心限月となる8月限は昨年12月以来の安値1,783.4ドルを付けた。パウエル米FRB議長は欧州中央銀行(ECB)のフォーラムで、米FRBの利上げが経済を過度に減速させるリスクはあるものの、消費者の物価上昇期待をあおる持続的な高インフレの方がより大きなリスクという見解を示した。景気支援よりもインフレ抑制を重視しており、大幅利上げ見通しから景気減速懸念が高まった。米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での75ベーシスポイント(bp)の追加利上げの可能性を含め、景気とインフレを減速させるために速いペースでのさらなる利上げを支持するという見方を示した。米大手運用会社PIMCOの債券担当グローバル最高投資責任者アンドリュー・ボールズ氏は、今後12カ月間に米国が景気後退(リセッション)に陥る可能性が50%近く、あるいは若干上回るとの見方を示した。投資銀行や金融当局者のリセッションに関する発言が目立ち、今後発表される経済指標で景気見通しを確認したい。6月の米消費者信頼感指数は98.7と前月の103.2から低下し、2021年2月以来の低水準となった。インフレによる経済成長の減速懸念が消費者信頼感の重しになった。また5月の米個人消費支出は前月比0.2%増と事前予想の0.4%増を下回った。6月の米ISM製造業景気指数は53.0と前月の56.1から低下し、2020年6月以来の低水準となった。新規受注指数が約2年ぶりに拡大と縮小の節目である50を下回ったほか、雇用指数が2カ月連続で低下した。今週は8日に6月の米雇用統計の発表があり、労働市場に対する見方が焦点である。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の超低インフレの時代が戻る可能性は低く、中央銀行は物価上昇が極めて高いと予想される状況に適応する必要があるとの考えを示した。ECBは理事会で量的緩和措置である資産購入プログラム(APP)を7月1日に終了することを決定しており、同総裁はユーロ圏で起こり得る債券市場危機に対する第一段階の防衛線として債券購入スキームを発動するとしていた。国債に正当化できない混乱が生じないよう、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した資産の再投資に「柔軟性」を持たせるとしており、ユーロ圏の国債市場の分断化防止措置が機能するかどうかも当面の焦点である。
主要7カ国首脳会議(G7サミット)で英国、米国、日本、カナダの4カ国はロシアからの新たな金輸入の禁止を発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、西側諸国が対ロ制裁を科して以来、ロシアと英国間の金貿易はほぼゼロにまで減少している。ロンドン貴金属市場協会(LBMA)は3月、ロシアの金精錬業者をすべて公認リストから外した。今回の輸入禁止措置で制裁の抜け穴を封じる。またロシア産原油・ガスの価格に上限を設ける方法を各国が関係閣僚に検討させることで合意しており、原油価格の行方も焦点である
7月1日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比19.14トン減の1,041.90トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月28日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは15万7,693枚となり、前週の16万3,287枚から縮小した。今回は新規買いが593枚、新規売りが6,187枚出て、5,594枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナは景気減速懸念などで一代安値を更新
ニューヨーク・プラチナ10月限は、景気減速懸念や金軟調を受けて売り優勢となり、一代安値850.1ドルを付けた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派発言が続くなか、景気減速懸念が高まった。一代安値を更新し、テクニカル要因の売りが出た。南アの鉱山会社で今夏の賃金交渉に対する警戒感があることは下支え要因だが、電力会社エスコムの抗議行動以降、報道は見当たらず、次の材料を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで15.81トン(前週末16.31トン)、ニューヨークで36.51トン(同36.51トン)、南アで10.67トン(同10.67トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月28日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家は1,306枚売り越しとなり、前週の1,491枚買い越しから売り方に転じた。新規売りが新規買いを上回った。
ニューヨーク金は年初来安値を更新
ニューヨーク金8月限は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しを受けて軟調となり、昨年12月来の安値1,783.4ドルを付けた。パウエル米FRB議長のタカ派発言が続き、景気減速懸念が高まるなか、金ETF(上場投信)から投資資金が流出した。5月安値を割り込み、年初来安値を更新し、テクニカル面で弱気である。ただ終値で1,800ドル台を維持し、底堅さも示された。今週は6月の米雇用統計の発表があり、労働市場に対する見方を確認したい。
7月4日からの週の注目ポイント
4日 | 米国休場 | ☆ |
独貿易収支(5月) | ☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(5月) | ☆☆ | |
5日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ |
豪準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(5月) | ☆☆ | |
6日 | 独製造業受注(5月) | ☆☆ |
ユーロ圏小売売上高(5月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
米FOMC議事録 | ☆☆☆ | |
7日 | 独鉱工業生産指数(5月) | ☆☆ |
全米雇用報告(6月) | ☆☆ | |
米貿易収支(5月) | ☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
8日 | 国際収支・経常収支(5月) | ☆ |
米雇用統計(6月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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