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金はインフレ懸念の高まりが支援要因に
2021/11/15
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FRB人事も焦点
11月8日の週のニューヨーク金市場は、米消費者物価指数(CPI)の伸び加速でインフレ懸念の高まりを受けて堅調となった。中心限月となる12月限は戻り高値を突破し、6月15日以来の高値1,871.4ドルを付けた。10月の米CPIは前年同月比6.2%上昇し、前月の5.4%上昇や事前予想の5.8%上昇を上回り、31年ぶりの大幅な伸びを記録した。また11月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は66.8となり、10年ぶりの低水準となった。事前は72.4、前月は71.7。4人に1人の消費者がインフレによる生活水準の低下を指摘した。インフレ懸念の高まりを受けて株価が下落する場面も見られ、金ETF(上場投信)にヘッジ買いが入るかどうかを確認したい。ただ米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、新型コロナウイルス感染が抑制されれば高インフレは緩和するとの見通しを示した上で、現時点での利上げや量的緩和の縮小(テーパリング)ペースの加速は「かなり時期尚早だ」と述べた。バイデン米大統領は、上昇する「インフレの反転が最優先課題」とし、エネルギー価格を抑制する方策を模索する米国家経済会議(NEC)に指示したと明らかにした。対策の行方とインフレが抑制されるかどうかも確認したい。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の任期が来年2月に控えるなか、ブレイナード理事がバイデン米大統領とホワイトハウスで面談したことが伝えられた。市場では、パウエル氏が再任されるとみられていたが、この報道を受けて同理事が後任になるとの見方が出た。同理事はパウエル氏よりもハト派で低金利が長期化するとの見方が出ている。米大統領は、ホワイトハウスが「かなり早い時期」に、次期米(FRB)議長の指名を発表する見通しとしている。CMEのフェドウォッチによると、米短期金利先物市場で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は来年6月に0.25〜0.50%に利上げされる確率が49.6%となっており、来年12月までに2回の利上げが織り込まれている。また米大統領は15日にインフラ投資法案に署名する。ペロシ米下院議長は、気候変動・社会保障関連歳出法案「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」について、今週の下院での可決を目指すと明らかにしており、法案の行方も焦点である。
オランダ政府は12日、新型コロナウイルスの感染急増を受け、部分的なロックダウン(都市封鎖)を再導入すると発表した。即時施行され、3週間続けられる。西欧諸国では夏以降、初のロックダウンとなる。欧州ではワクチン接種の停滞を受けて新規感染者が再び増加しており、接種義務化の動きも出ている。10月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は54.2と前月の56.2から低下し、6カ月ぶりの低水準となった。米経済指標は新規感染者の減少などを受けて改善したが、欧州経済の先行き懸念が残ると、欧州中央銀行(ECB)の低金利が長期化することになりそうだ。
11月12日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.58トン増の975.99トンとなった。インフレ懸念の高まりを受けて小口の買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告はベテランズデーのため、15日に発表される。2日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは21万5,129枚(前週21万4,560枚)となっている。
プラチナは金急伸につれ高
ニューヨーク・プラチナ1月限は、インフレ懸念の高まりによる金急伸につれ高となり、7月19日以来の高値1,099.5ドルを付けた。戻り高値を突破し、テクニカル面で強気である。ただ新型コロナウイルスの感染増加を受けて欧州経済の先行き懸念が出ていることは上値を抑える要因である。ニューヨークの指定倉庫在庫が減少し、実需筋の買い戻しが入っているが、大口投機家が高値での買いを見送ると上値が抑えられる可能性が出てくる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで20.34トン(前週末20.77トン)、ニューヨークで37.94トン(同37.94トン)、南アで13.14トン(同13.35トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は15日に発表される。2日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,364枚(前週1万4,902枚)となっている。
ニューヨーク金はインフレ懸念の高まりで戻り高値を突破
ニューヨーク金12月限は米消費者物価指数(CPI)の伸び加速によるインフレ懸念の高まりを受けて堅調となり、6月15日以来の高値1.871.4ドルを付けた。1,840ドル付近にあった複数の抵抗線を突破し、テクニカル面で改善した。金ETF(上場投信)に小口の買いが入っており、ヘッジ買いが続くと、1,900ドルの節目を試す可能性が出てくる。当面はインフレのピークをどこで迎えるかが焦点になる。
11月15日からの週の注目ポイント
15日 | 国内総生産(7-9月期1次速報) | ☆☆☆ |
中国小売売上高(10月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(10月) | ☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(9月) | ☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(11月) | ☆☆ | |
16日 | 英雇用統計(10月) | ☆☆ |
ユーロ圏域内総生産(7-9月期改定) | ☆☆☆ | |
米小売売上高(10月) | ☆☆☆ | |
米輸出入物価指数(10月) | ☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(10月) | ☆☆ | |
米企業在庫(9月) | ☆ | |
対米証券投資(9月) | ☆☆ | |
17日 | 機械受注(9月) | ☆☆ |
貿易収支(10月速報) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(10月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(10月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(10月) | ☆☆ | |
18日 | 米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月) | ☆☆ |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
19日 | 消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ |
英小売売上高指数(10月) | ☆☆ | |
ユーロ圏国際収支(9月) | ☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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