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金はドル安や長期金利の落ち着きで堅調
2021/5/10
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米経済指標で景気見通しを確認
5月3日の週のニューヨーク金市場は、予想以下の米経済指標による米国債の利回り低下やドル安を受けて急伸し、中心限月となる6月限は2月11日以来の高値1,844.6ドルを付けた。4月の米ISM製造業景気指数や非製造業総合指数(NMI)は予想外に低下した。製造業景気指数は原材料などの供給不足などを背景に60.7と前月の64.7から低下した。事前予想の65.0も下回った。前月は1983年12月以来の高水準だった。また4月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比26万6,000人増と事前予想の97万8,000人増を大幅に下回る伸びとなった。失業率は6.1%と前月の6.0%から上昇した。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、制限措置の大半が解除されるなか、需要が改善したが、手厚い失業手当に加え、コロナ禍による退職で労働力が不足している。今週は4月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高などの発表がある。事前予想は米CPIが前月比0.2%上昇、前年同月比3.6%上昇、米小売売上高が前月比1.0%増となっている。インフレは一時的とみられているが、金ETF(上場投信)への投資資金流入が続くと、上値を伸ばす可能性が出てくる。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きと債券購入プログラムの月額購入額の維持を全会一致で決定した。市場ではテーパリング(量的緩和の縮小)の可能性が示唆されるとの見方が出ていたが、現行の緩和策の縮小を検討する段階ではないとされた。またパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はインフレ上昇について供給不足による一時的なものとしており、今後発表される経済指標で景気見通しを確認したい。一方、バイデン米大統領が施政方針演説を行い、「米国は再び動き出した」と述べ、景気対策は中国に対抗する上で必要と強調した。また1兆8,000億ドルの子育て、介護支援策「家族計画」の財源を賄うための法人税や富裕層のキャピタルゲイン(株式譲渡益)税引き上げの必要性を訴えた。12日にはホワイトハウスで民主・共和両党の有力議員との協議が予定されており、米議会での協議の行方も今後の焦点である。
先進7カ国(G7)外相会合は5日、共同声明を採択し、中国、ロシア、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が現在の最大の脅威と指摘した。また中国の新疆ウイグル自治区の人権状況や香港情勢を挙げて、「重大な懸念を抱いている」とした。中国国家発展改革委員会は6日、中豪戦略経済対話の下での全ての活動を「無期限に」停止することを決めたと発表した。オーストラリアは2018年に中国の華為技術(ファーウェイ)を高速通信規格「5G」から排除することを決定、2020年は中国に新型コロナウイルスの発生源を巡る独立調査を求め、両国の関係は急速に冷え込んだ。バイデン米大統領はこれまで中国包囲網を構築するとしており、今後の西側諸国と中国の対立の行方も確認したい。
5月7日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比8.11トン増の1,025.15トンとなった。予想以下の米経済指標を受けてドル安に振れるなか、投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月4日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは17万0,741枚となり、前週の17万0,619枚から拡大した。今回は手じまい売りが523枚、買い戻しが645枚入り、122枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはリスク選好が支援もレンジ相場を継続
ニューヨーク・プラチナ7月限はリスク選好の株高・ドル安を受けて堅調となり、2月25日以来の高値1,273.9ドルを付けた。ただインドやブラジルの新型コロナウイルスの感染拡大で先行き懸念が残っており、1,300ドルの節目を突破できず、レンジ相場を継続した。一方、米自動車販売は好調だが、各社は半導体不足で減産を強いられており、今後の販売ペースを維持できないとみられている。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、28日のロンドンで19.44トン、7日のニューヨークで39.37トン(前週末39.39トン)、6日の南アで16.57トン(同16.51トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月4日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万8,231枚買い越し(前週2万9,296枚買い越し)に縮小した。
ニューヨーク金は1,800ドル突破で投資資金が戻る
ニューヨーク金6月限は米国債の利回り低下やドル安を受けて急伸し、2月11日以来の高値1,844.6ドルを付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の縮小を検討する時期ではないとされたことや、予想以下の米経済指標を受けてドル安に振れると、1,800ドルの節目を突破して一段高となった。金ETF(上場投信)に投資資金が戻っており、引き続き買われると、200日移動平均線(7日1,867.2)ドルを試す可能性が出てくる。今週は米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の発表がある。
5月10日からの週の注目ポイント
11日 | 中国消費者物価指数(4月) | ☆☆ |
中国生産者物価指数(4月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(5月) | ☆☆ | |
12日 | 英国内総生産(GDP)(1-3月期速報) | ☆☆☆ |
英鉱工業生産指数(3月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(4月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(3月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(4月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(4月) | ☆☆ | |
13日 | スイス休場 | ☆ |
国際収支・経常収支(3月) | ☆☆ | |
米生産者物価指数(4月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
14日 | 米小売売上高(4月) | ☆☆☆ |
米輸出入物価指数(4月) | ☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(4月) | ☆☆ | |
米企業在庫(3月) | ☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(5月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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