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金は1,800ドルを突破できるかどうか
2021/4/26
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FOMCで金融政策の見通しを確認
4月19日の週のニューヨーク金市場はドル安を受けて堅調となり、中心限月となる6月限は2月25日以来の高値1,798.4ドルを付けた。新型コロナウイルスの変異株の感染拡大に対する懸念が出たが、景気回復見通しに変わりはなく、リスク選好の動きとなった。4ただ金ETF(上場投信)への投資資金流入が続かず、1,800ドル直前で利食い売りなどが出て上げ一服となった。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこれまで持続的なインフレとはならないとの見方を示し、低金利を継続するとしている。ドル安が続くと、金の支援要因になるが、米国の景気回復見通しを背景に金ETFから投資資金が流出すると上値を抑える要因になるとみられる。
カナダ中銀は、政策金利である翌日物金利の誘導目標を過去最低水準の0.25%に据え置いた。ただ経済見通しを大幅に引き上げたほか、経済のスラック(需給の緩み)の吸収は2022年下半期になるとの見方を示し、利上げに踏み切る可能性を示した。また週間の国債の純買い入れ目標縮小を決定した。一方、欧州中央銀行(ECB)理事会で大規模な量的緩和の維持を決定した。金利も予想通り現行水準に据え置かれた。ラガルド総裁はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の段階的な縮小について「時期尚早」とし、議論していないと表明した。前回の理事会で債券利回りの上昇を抑制するため、購入ペースの加速を決定した。利回り上昇が一服したが、パンデミック(世界的大流行)の再燃とワクチン接種を巡る不確実性が指摘された。インドで新型コロナウイルスの変異株の感染が過去最高の勢いで広がっており、今後の行方を確認したい。
4月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は60.6と、統計を開始した2007年5月以来の高水準を付けた。ユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は53.7で前月の53.2から上昇した。事前予想では52.8への低下が見込まれていた。製造業PMIは62.5から63.3に上昇し、1997年半ばの調査開始以来、過去最高となった。パンデミック(世界的大流行)に対する懸念が残るが、ワクチン接種が進むなか、欧米の製造業PMIは好調な内容となった。一方、バイデン米大統領は富裕層に対するキャピタルゲイン税の税率を39.6%と、現行のほぼ2倍に引き上げることを提案すると伝えられた。28日の上下両院合同会議で行う演説で増税策の一部として発表する見通しである。米株価が急落する場面も見られたが、これまでインフラ投資計画の財源として増税することが伝えられた。米議会での協議が進むと、追加経済対策に対する期待感も出るとみられる。
ロシアがウクライナとクリミアの国境付近に軍部隊を集結させ、侵攻に対する懸念が出ていたが、ロシアのショイグ国防相は22日、演習に参加していた軍部隊に対し、5月1日までにそれぞれの基地に帰還するよう命令した。同相は、軍部隊による国境地帯の「査察」が終了したと表明した。軍部隊が帰還すると、侵攻に対する懸念が後退し、金の圧迫要因になる可能性がある。
4月23日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.04トン増の1,021.70トンとなった。テクニカル面で改善したことを受けて小口の買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月20日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万1,498枚となり、前週の18万0,874枚から拡大した。今回は新規買いが6,472枚、新規売りが5,848枚出て624枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはリスク選好が支援
ニューヨーク・プラチナ7月限は新型コロナウイルスの変異株の感染拡大に対する懸念に上値を抑えられる場面も見られたが、リスク選好の株高・ドル安を受けて堅調となり、2月25日以来の高値1,256.7ドルを付けた。欧米の製造業購買担当者景気指数(PMI)が好調な内容となった。今週は第1四半期の米国内総生産(GDP)速報値の発表がある。景気回復見通しが強まると、プラチナは1,300ドルの節目を目指す可能性が出てくる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、22日のロンドンで19.13トン(前週末19.12トン)、23日のニューヨークで39.39トン(同39.82トン)、22日の南アで16.33トン(同16.33トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月20日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5,685枚買い越し(同2万4,632枚買い越し)に拡大した。
ニューヨーク金はテクニカル改善も1,800ドル直前で上げ一服
ニューヨーク金6月限はドル安を受けて堅調となり、2月25日以来の高値1,798.4ドルを付けた。ダブルボトムを形成したのち、ネックラインとなる3月18日の高値1,756.1ドルを突破し、テクニカル面で改善した。ただ金ETF(上場投信)への投資資金流入が続かず、上げ一服となった。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、米連邦準備理事会(FRB)の低金利継続見通しが示されるとみられるが、米国の景気回復見通しに変わりがなければ利食い売りに上値を抑えられる可能性がある。
4月26日からの週の注目ポイント
26日 | オーストラリア・ニュージーランド休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ | |
独ifo景況感指数(4月) | ☆☆ | |
米耐久財受注(3月) | ☆☆ | |
27日 | 南ア休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合政策金利発表 | ☆☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(2月) | ☆☆ | |
米住宅価格指数(2月) | ☆ | |
米消費者信頼感指数(4月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
28日 | 小売業販売額(3月速報) | ☆ |
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表 | ☆☆☆ | |
29日 | 日本休場 | ☆ |
独消費者物価指数(4月速報) | ☆☆ | |
米国内総生産(1-3月期速報値) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(3月) | ☆☆ | |
30日 | 失業率(3月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(3月速報) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(1-3月期速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(4月速報) | ☆☆☆ | |
米個人所得・支出(3月) | ☆☆☆ | |
米雇用コスト指数(1-3月期) | ☆☆☆ | |
米シカゴ購買部協会景気指数(4月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(4月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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