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金は米ＦＲＢの緊急利下げも換金売りが続くかどうかを確認
2020/3/16
提供：ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米ＦＲＢの緊急利下げも換金売りが続くかどうかを確認
３月９日の週のニューヨーク金市場は、米カリフォルニア州が新型コロナウイルスの感染拡大で非常事態を宣言し、ドル安に振れたことを受けて一代高値1,704.3ドルを付けた。その後は1,700ドル台で利食い売りなどが出て上げ一服となると、株価急落による損失補填で換金売りも圧迫要因になって調整局面を迎えた。トランプ米大統領が欧州からの渡航制限を発表し、株価が一段安となると、昨年12月24日以来の安値1,504.0ドルを付けた。イタリアでは移動制限に加え、生活必需品を扱う店以外の店舗を２週間閉鎖することが発表された。14日現在、新型コロナウイルスの感染者が２万1,157人、死者は1,441人となった。スペインも非常事態を宣言し、フランスは飲食店などの休業を発表した。リスク回避の動きが続くと、金は調整局面が続くとみられる。ただ米連邦準備理事会（ＦＲＢ）は12日、金融市場への流動性供給を強化すると発表し、１兆5,000億ドル規模の追加レポオペを実施するとした。また米ＦＲＢは15日、フェデラルファンド（ＦＦ）金利の誘導目標水準を０〜0.25％とする1.00％の緊急利下げを発表した。さらに今後数週間にバランスシートを少なくとも7,000億ドル拡大すると表明した。米ＦＲＢと欧州中央銀行（ＥＣＢ）、日銀を含む６中銀はドル・スワップ協定を通じた流動性供給を拡充すると発表した。17〜18日の米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）を待たずに緊急利下げを発表しており、金が買い直される可能性が出てくる。一方、欧州中央銀行（ＥＣＢ）理事会で、新型コロナウイルスの感染拡大による悪影響に対応するため、量的緩和政策を年末まで1,200億ユーロ拡大することを決定した。ただ政策金利は据え置かれ、市場で失望視された。
ダウ平均株価は２月に付けた史上最高値２万9,568.57ドルから、新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避の動きを受けて12日に２万1,200.62ドルまで急落した。2008年のリーマンショック時は９月高値１万1,790.17ドルから2009年３月に6,469.95ドルまで下落した。金は同時期に９月高値923.77ドルから10月に682.60ドルまで下落したのち、2009年２月に1,004.80ドルまで上昇した。金は株価急落で換金売りが出たが、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）が量的緩和（ＱＥ）を始めたことを受けて買い直された。リーマンショックは米国の投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻がきっかけだが、今回は新型コロナウイルスが原因であり、終息の行方については2003年に流行した重症急性呼吸器症候群（ＳＡＲＳ）と比べることになる。ＳＡＲＳは2002年11月16日に中国広東省で肺炎患者が報告されたことをきっかけに世界中に広がり、世界保健機関（ＷＨＯ）が終息宣言を出したのは2003年７月５日だった。当面は新型コロナウイルスの終息の兆しがいつ見られるかが当面の焦点になりそうだ。中国では感染拡大が落ち着き、移動制限が緩和され、感染源となった武漢市ではホンダが工場の生産を一部で再開した。
３月13日のニューヨークの金ＥＴＦ（上場投信）の現物保有高は前週末比24.00トン減の931.59トンとなった。株価急落による換金売りが出た。一方、米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）の建玉明細報告によると、３月10日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは29万9,531枚となり、前週の31万9,733枚から縮小した。今回は手じまい売りが２万9,883枚、買い戻しが9,681枚入り、２万0,202枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは株安でリーマンショック以来の安値
ニューヨーク・プラチナ期近４月限は株価急落やドル安一服を受けて下値を試し、一代安値736.8ドルを付けた。現物相場はリーマンショック時の2008年10月以来の安値737.5ドルを付けた。欧州の自動車・部品メーカーがイタリア国内の工場で生産を停止・縮小し、その他の地域でも一時帰休を検討していると伝えられ、需要減少の見方も圧迫要因である。一方、南アのプラチナ鉱山会社アングロ・アメリカン・プラチナム（アンプラッツ）は７日、精製工場の閉鎖により、不可抗力条項を宣言した。精製工場が２月10日に爆発事故を起こし、他の工場を稼働させたが、高温で危険な状況となり、閉鎖を決定した。修復には約80日かかり、28トンのプラチナ系貴金属（ＰＧＭ）の生産が失われるという。株価急落を受けて戻りを売られたが、供給不足に転じる可能性もあり、ファンダメンタルズに対する見方も確認したい。
プラチナＥＴＦ（上場投信）の現物保有高は、３月12日のロンドンで17.46トン（６日17.85トン）、ニューヨークで22.67トン（同23.11トン）、13日の南アで31.07トン（同30.77トン）となった。一方、米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）の建玉明細報告によると、３月10日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは３万3,247枚となり、前週の３万4,037枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。
ニューヨーク金は株価急落による換金売りで調整局面に
ニューヨーク金４月限は一代高値1,704.3ドルを付けたのち、価急落による換金売りを受けて急落し、昨年12月24日以来の安値1,504.0ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてトランプ米大統領が欧州からの渡航制限を発表すると、株価が一段安となり、金に換金売りが出た。ただ米連邦準備理事会（ＦＲＢ）が15日に緊急利下げを発表しており、株価が下げ止まるようなら金が買い直される可能性が出てくる。
3月16日からの週の注目ポイント
| 16日 | 機械受注（1月） | ☆☆ |
| 中国小売売上高（2月） | ☆☆ | |
| 中国鉱工業生産（2月） | ☆☆ | |
| 米ニューヨーク連銀製造業景況指数（3月） | ☆☆ | |
| 対米証券投資（1月） | ☆☆ | |
| 17日 | 独ZEW景況感指数（3月） | ☆☆ |
| 米小売売上高（2月） | ☆☆☆ | |
| 米鉱工業生産・設備稼働率（2月） | ☆☆ | |
| 米企業在庫（1月） | ☆ | |
| 米連邦公開市場委員会（FOMC）1日目 | ☆☆ | |
| 18日 | 貿易収支（2月速報） | ☆☆ |
| 日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ | |
| ユーロ圏消費者物価指数（2月確報） | ☆☆☆ | |
| 米住宅着工・許可件数（2月） | ☆☆ | |
| 米FOMC政策金利発表 | ☆☆☆ | |
| 19日 | 消費者物価指数（2月） | ☆☆☆ |
| 日銀金融政策決定会合政策金利発表 | ☆☆☆ | |
| 米経常収支（10-12月期） | ☆☆ | |
| 米フィラデルフィア連銀製造業景況指数（3 | ☆☆ | |
| 20日 | 日本休場 | ☆ |
| 米中古住宅販売統計（2月） | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金（現物1oz.あたり）日足 6ヵ月
＜参照＞SBI証券＞マーケットデータより
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