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金は米中の通商協議の行方を確認
2019/11/18
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は投資資金流出が続くと圧迫要因に
11月11日の週のニューヨーク金市場は、米中の通商協議の進展期待を受けて軟調となり、期近12月限が8月2日以来の安値1,446.2ドルを付けた。その後は協議に対する不透明感が出て下げ一服となったが、クドロー米大統領国家経済会議(NEC)委員長が協議の第1段階の合意に近づいていると述べると、上値を抑えられた。米ウォールストリートジャーナル(WSJ)が13日、「米中貿易協議が障害にぶつかっている」と報じ、先行き不透明感が出た。米国が農産物購入目標の達成で詳細な計画の提示を求めているが、中国は関税撤廃が合意の重要な条件だとし、抵抗を示した。米政権内では段階的な関税撤廃で合意するのか、米国が12月に予定している中国製品に対する追加関税の見送りのみで合意するのか、意見が分かれている。ただ関税撤廃の話が出たことを受けて世界経済の先行きに対する楽観的な見方が強まり、米主要株価指数が最高値を更新した。金はレンジを下放れ、テクニカル面で悪化しており、金ETF(上場投信)から投資資金の流出が続くと、弱気の見方が強まる可能性が出てくる。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は13日、上下両院合同経済委員会で証言し、米経済の「持続的な拡大」を予想しているという見解を示し、利下げ休止を示唆した。また14日には下院予算委員会で証言し、過去最長の拡大局面にある米経済に過熱の兆候は見られず、急激な景気後退に陥るリスクは極めて低いとの見解を示した。CMEのフェドウォッチによると、12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.50〜1.75%に据え置きが99.3%(前週95.6%)となった。ただ来年12月は1.25〜1.50%への利下げが37.0%(同36.2%)となり、据え置きの32.0%(同50.1%)を上回った。米中の通商協議の行方と景気見通しを確認したい。
11月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.42トン減の896.77トンとなった。米中の通商協議の進展期待を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万7,066枚となり、前週の27万9,828枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万1,402枚、買い戻しが8,640枚入り、1万2,762枚買い越し幅を縮小した。
【プラチナはリスク選好が続くと下支えに】
ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、金軟調やドル高を受けて8月27日以来の安値867.8ドルを付けたのち、下げ一服となった。米中の通商協議に対する見方を背景に金主導の値動きとなった。ただ景気の先行きに対する楽観的な見方から米主要株価指数が最高値を更新しており、リスク選好の動きが続くと、プラチナの支援要因になるとみられる。中国の自動車販売が16カ月連続で減少していることは上値を抑える要因だが、米中の通商協議で第1段階の部分合意後の各市場の動きを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11月14日のロンドンで17.81トン(前週末17.79トン)、ニューヨークで24.04トン(同24.04トン)、15日の南アで31.93トン(同31.94トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万8,459枚(前週4万5,695枚)に縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。
ニューヨーク金はレンジ下放れでテクニカル悪化
ニューヨーク金12月限は米中の通商協議の進展期待を受けてレンジを下放れ、8月2日以来の安値1,446.2ドルを付けた。協議に対する不透明感も出て下げ一服となったが、関税撤廃の話が出るなか、金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、テクニカル面で弱気である。第1段階の部分合意に向けて協議が進み、直近安値を更新すると、ファンド筋の手じまい売りが進むことになりそうだ。
11月18日からの週の注目ポイント
18日 | 対米証券投資(9月) | ☆☆ |
19日 | ユーロ圏国際収支(9月) | ☆ |
米住宅着工・許可件数(10月) | ☆☆ | |
20日 | 貿易収支(10月速報) | ☆☆ |
米FOMC議事録(10月29-30日) | ☆☆☆ | |
21日 | 米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月) | ☆☆ |
22日 | 消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(11月速報) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(11月確報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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