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金は米中の通商協議の行方を確認
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
【金はドル高や投資資金流出が続くと圧迫要因に】
4月29日の週のニューヨーク金市場は、ドル高や投資資金流出を受けて戻りを売られ、期近6月限が昨年12月以来の安値1,267.3ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げに対する見方も出たが、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル米FRB議長の会見でインフレ低下は一時的要因の可能性と指摘されると利下げ観測が後退し、ドル高に振れた。ただ4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が大幅に伸びたが、賃金はFRBに利上げを強いるほど伸びていない。今週は米中の通商協議の行方が焦点である。前週に北京で行われた協議は「生産的」とされたが、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が、中国側が一部の合意済み事項について態度を転換したとの情報など、より厳しい現状をトランプ米大統領に報告すると、米大統領が関税引き上げを表明し、先行き懸念が出た。中国政府は交渉団を予定通り米国に派遣するとしており、ワシントンでの協議で最終合意に達するかどうかが当面の焦点である。
ドル指数は2017年5月以来の高値98.33を付けた。第1四半期の米国内総生産(GDP)速報値が年率換算で前期比3.2%増と、前期の2.2%増から加速し、市場予想の2.0%増を大幅に上回った。ただインフレの落ち着きが示されるなか、トランプ米大統領が、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動けば、米経済は「ロケットのように上昇する」と述べ、利下げ期待も出ていた。米連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25〜2.50%に据え置くことを決定し、声明でインフレの表現が若干下方修正された。しかし、パウエル米FRB議長の会見でインフレ低下は一時的要因の可能性と指摘されると、ドルが買い戻され、金の圧迫要因になった。一方、4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が26万3,000人増と大幅に伸びた。事前予想は18万5,000人増。失業率は3.6%と約49年ぶりの水準に改善した。時間当たり賃金は前月比0.2%増と2カ月同じペースで伸びた。前年同月比では3.2%増。賃金の伸びに物価を押し上げる勢いはなかった。CMEのフェドウォッチによると、6日時点の12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は金利据え置きの確率が44.5%(1週間前35.7%)に上昇した。2.00〜2.25%への利下げの確率は40.1%(同41.1%)に低下し、利下げ期待が後退した。今週は4月の米消費者物価指数(CPI)などの発表がある。
北朝鮮国営メディアは5日、金正恩朝鮮労働党委員長が4日に日本海で行われた火力打撃訓練を指導したと報じた。分析に当たった研究機関によると、短距離弾道ミサイルが発射された可能性が高いとされ、弾道ミサイルなら国連安全保障理事会の決議に違反する。2月末の米朝首脳会談の決裂後、金委員長が中国やロシアを訪問するなどし、米国をけん制している。安倍首相はトランプ米大統領と電話会談し、朝鮮半島の非核化に向けて「日米が完全に一致して対応していくことで認識をひとつにした」ことを明らかにした。一方、シャナハン米国防長官代行は6日、「イラン政府による軍事的脅威」の兆しがあるとして、中東への空母打撃群と爆撃部隊の派遣を承認したことを明らかにした。イラン政府は、米国が2015年の核合意からの脱退を表明してから1年を迎える8日、核開発プログラムの一部を再開する方針としており、地政学的リスクが意識されると、金の下支え要因となる可能性も出てくる。
5月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は26日比7.05トン減の739.64トンとなった。ドル高などを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月30日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは6万6,219枚となり、前週の3万7,395枚から拡大した。今回は新規買いが584枚、買い戻しが2万8,240枚入り、2万8,824枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは米中の通商協議やパラジウムの動向を確認
ニューヨーク・プラチナ期近7月限は、3月29日以来の安値847.1ドルを付けたのち、ドル高一服を受けて下げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待後退によるドル高が圧迫要因になったが、ドル高が一服すると、買い戻されて下げ一服となった。ただ米中の通商協議に対する懸念を受けてパラジウムが軟調に推移しており、今週の協議の行方次第では戻りを売られる可能性もある。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、2日のロンドンで10.95トン(26日10.98トン)、6日のニューヨークで20.58トン(同20.74トン)、南アで32.52トン(同32.55トン)に減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月30日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万3,322枚買い越し(前週3万1,080枚買い越し)に拡大した。
ニューヨーク金はドル高や投資資金流出が圧迫
ニューヨーク金6月限は、ドル高や投資資金流出が圧迫要因となり、昨年12月以来の安値1,267.3ドルを付けた。4月24日の安値1,267.9ドルを割り込み、テクニカル面で弱気である。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見を受けて利下げ期待が後退し、ドル高に振れた。ただトランプ米大統領が中国に対する関税引き上げを表明したことを受けて米中の通商協議に対する懸念が高まったことが下支え要因となった。中国政府は交渉団を予定通り米国に派遣するとしており、今週の協議で最終合意に達するかどうかが当面の焦点である。
5月7日からの週の注目ポイント
6日 |
日本、英国休場 |
☆ |
---|---|---|
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(4月確報) |
52.8(前回52.5) |
|
ユーロ圏小売売上高(3月) |
前年同月比+1.9% |
|
7日 |
豪準備銀行政策金利公表 |
☆☆☆ |
独製造業受注(3月) |
☆☆ |
|
米消費者信用残高(3月) |
☆ |
|
8日 |
日銀金融政策決定会合議事要旨 |
☆☆☆ |
NZ準備銀行政策金利公表 |
☆☆☆ |
|
中国貿易収支(4月) |
☆☆ |
|
独鉱工業生産指数(3月) |
☆☆ |
|
9日 |
中国消費者物価指数(4月) |
☆☆ |
中国生産者物価指数(4月) |
☆☆ |
|
米貿易収支(3月) |
☆☆ |
|
米生産者物価指数(4月) |
☆☆ |
|
米新規失業保険申請件数 |
☆☆ |
|
米卸売在庫(3月) |
☆ |
|
10日 |
独貿易収支(3月) |
☆ |
英国内総生産(GDP、1-3月期速報値) |
☆☆☆ |
|
英貿易収支(3月) |
☆ |
|
英鉱工業生産指数(3月) |
☆☆ |
|
米消費者物価指数(4月) |
☆☆☆ |
|
米財政収支(4月) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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