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金は米中通商協議や米予算案の行方を確認
提供:SBIゴールド
金はドル高で調整局面も先行き懸念が下支え
2月4日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて調整局面を迎えた。好調な米雇用統計をきっかけにドル高が再開した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が強いが、ユーロ圏の景気減速懸念や英国の欧州連合(EU)離脱で「合意なき離脱」の可能性が高まったことからドルが買われた。ただ米中の通商協議や米政府機関の閉鎖に対する懸念が出たことが下支え要因である。トランプ米大統領は通商協議の期限となる3月1日までに習近平国家主席と会談する計画はないことを確認した。米中の次官級の通商協議が11日に始まり、14〜15日には高官の協議が予定されているが、知的財産権や技術移転など中国の構造問題で合意できるかどうか不透明感がある。また米政府機関の再閉鎖回避に向けて超党派委員会が国境警備問題を巡って協議したが、収容施設のベッド数を引き下げる民主党案が治安に「極めて有害」とされ、行き詰まった。15日までに予算案がまとまるかどうかも当面の焦点である。一方、5日の一般教書演説で、トランプ米大統領は不法移民の問題は差し迫った国家の危機だと述べ、国境沿いの壁建設を実現すると強調した。また北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と2月27〜28日にベトナムで再会談すると明らかにした。
米労働市場の堅調や欧州の景気減速懸念を受けてドル高に振れ、ドル指数は昨年12月26日以来の高値97.12を付けた。欧州委員会は、四半期の経済予測で、ユーロ圏の今年と来年の成長率見通しを引き下げた。世界的な貿易摩擦や公的債務の拡大により、域内の主要経済国で景気減速が見込まれるとした。イングランド銀行(英中央銀行)は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る不確実性や世界的な景気減速を踏まえ、2019年の英国の経済成長率予想を10年ぶりの低水準に下方修正した。また米中の通商協議に対する懸念からドルが逃避先として買われた。
ドル高を受けて金ETF(上場投信)から投資資金が流出し、金の圧迫要因になっている。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が強いことがドルの上値を抑える要因である。CMEのフェドウォッチによると、12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は2.25〜2.50%と据え置きが84.6%となった。前週の91.2%から低下したが、2.00〜2.25%への利下げが14.1%(前週5.7%)に上昇し、景気減速に対する懸念が高まっている。
英国の欧州連合(EU)離脱で、メイ英首相とEU当局者が7日、ブリュッセルで会談したが、成果が得られず、先行き懸念が残っている。英議会が1月29日、EU離脱に関する複数の修正案を採決し、アイルランドとの国境問題に関するバックストップ(安全策)を代替措置に置き換えることを求める案を賛成多数で可決した。これをもとに英首相が修正を要求したが、EU側は「再交渉はしない」として拒否した。英国のEU離脱を3月末に控えるなか、「合意なき離脱」の可能性が高まっており、今後の協議の行方を確認したい。
2月11日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は1日比15.28トン減の802.12トンとなった。ドル高を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月8日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは9万9,216枚となり、前週の12万3,772枚から縮小した。米政府機関の一部閉鎖の影響で発表が遅れたが、2月に入り、順次発表されている。
プラチナはドル高や株安でレンジ下限が意識される動き
ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、ドル高や株安を受けて軟調となり、昨年12月10日以来の安値786.0ドルを付けた。米中の通商協議に対する懸念に加え、欧州の景気減速懸念も圧迫要因になった。また春節(旧正月)の連休明けの上海プラチナの出来高は14枚となり、実需筋の買いが見送られた。レンジ下限となる同日安値785.0ドルを割り込むと、昨年8月に付けた一代安値767.0ドルを目指す可能性が出てくる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は8日のロンドンで8.99トン(1日8.93トン)、11日のニューヨークで20.76トン(同20.47トン)、南アで23.34トン(同22.95トン)に増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月8日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万1,986枚となり、前週の1万2,457枚から縮小した。
ニューヨーク金は利食い売りで調整局面
ニューヨーク金4月限は、ドル高を受けて調整局面を迎え、1月28日以来の安値1,315.8ドルを付けた。米国の労働市場の堅調やユーロ圏の景気減速懸念を受けてドル高となった。金ETF(上場投信)から投資資金が流出し、利食い売りが圧迫要因である。ただ米中の通商協議に対する懸念や、米政府機関の閉鎖に対する懸念が下支えであり、今週のイベント一巡後に押し目買いが入ると、再び上値を試す可能性がある。
2月11日からの週の注目ポイント
11日 |
建国記念日 |
|
---|---|---|
英国内総生産速報値(10-12月期) |
前期比+0.2%(予想+0.3%) |
|
12日 |
マネーストック(1月) |
☆ |
13日 |
NZ準備銀行政策金利公表 |
☆☆☆ |
企業物価指数(1月) |
☆ |
|
ユーロ圏鉱工業生産(12月) |
☆☆ |
|
英消費者物価指数(1月) |
☆☆☆ |
|
米消費者物価指数(1月) |
☆☆☆ |
|
14日 |
国内総生産(10-12月期1次速報) |
☆☆ |
中国貿易収支(1月) |
☆☆ |
|
ユーロ圏国内総生産(10-12月期改定) |
☆☆☆ |
|
米生産者物価指数(1月) |
☆☆ |
|
15日 |
中国消費者物価指数(1月) |
☆☆ |
中国生産者物価指数(1月) |
☆☆ |
|
米輸出入物価指数(1月) |
☆ |
|
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(2月) |
☆☆ |
|
米鉱工業生産・設備稼働率(1月) |
☆☆ |
|
米ミシガン大消費者信頼感指数(2月速報値) |
☆☆ |
|
対米証券投資(12月) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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