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金はドル高が圧迫も米中の通商協議や株価の行方を確認
提供:SBIゴールド
金は逃避買いが続くと支援要因に
12月10日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて上げ一服となった。株安に対する懸念などを受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が高まったが、中国やユーロ圏の経済指標が悪化し、ドル高に振れた。ただ米中の通商協議に対する懸念もあり、金ETF(上場投信)に逃避買いが入っており、下支え要因である。投資資金の流入が続くと、金は堅調に推移するとみられる。
米中の通商協議が再開するなか、中国は米国車の輸入関税を現行の40%から15%に引き下げる見通しとなったことに加え、12日に150万トン以上の米国産大豆を購入したことが取引業者の話で明らかになった。またカナダの裁判所が華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)の保釈を認め、通商協議に対する悪影響に対する懸念が後退し、リスク選好の動きとなった。ただロス米商務長官は、中国は通商を巡る緊張を緩和するためにこれまでの確約以上のことをする必要があるとの考えを示している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、中国は「中国製造2025」戦略を外国企業により多くのアクセスを提供する新たなプログラムに置き換えることを計画していると報道し、中国の譲歩が示されたが、今後の通商協議の行方を引き続き確認したい。一方、中国やユーロ圏の経済指標が悪化したことから、景気減速懸念が強まり、株価の上値を抑える要因になった。協議が難航すると、株安が進み、中国経済がさらに悪化する可能性もあり、中国としては協議をまとめる必要がある。
18〜19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見込まれている。11月の米消費者物価指数(CPI)は前月から横ばいとなり、事前予想と一致したが、基調的な物価圧力の底堅さが示された。ただCMEフェドウォッチによると、米短期金利先物市場では来年の米連邦準備理事会(FRB)の利上げが1回あるかどうか微妙な確率となっている。来年12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の確率は2.25〜2.50%が36.5%(前週38.3%)、2.50〜2.75%が36.9%(同34.6%)となっている。現在は2.00〜2.25%。米経済指標に加え、今後の各国の景気動向も焦点である。11月の中国の小売売上高は前年比8.1%増と、事前予想の8.8%増に届かず、2003年5月以来の低い伸びとなった。鉱工業生産は同5.4%増と、事前予想の5.9%増を下回り、少なくともほぼ3年ぶりの低い伸びとなった。また12月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.3と、2014年11月以降で最低となった。貿易摩擦やフランスの抗議活動で新規受注が低迷した。
メイ英首相が11日の欧州連合(EU)離脱案の議会採決を延期すると発表すると、ポンド主導でドル高に振れた。合意なき離脱に対する懸念が高まった。しかし、与党・保守党党首としての不信任投票を控え、複数の議員が支持を表明すると、ポンドが反発した。信任200票、不信任117票の過半数でメイ氏が信任を得た。EU首脳が共同声明を発表し、英国の離脱合意案で最も大きな懸案事項となっているアイルランド国境問題を巡る安全策(バックストップ)について、一時的な措置とする方針を示しており、英議会で可決されるかどうかが今後の焦点である。英政府は1月21日までに採決を実施するとしている。合意なき離脱を回避できるかどうかが当面の焦点である。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月11日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは6万0,499枚となり、前週の4万9,001枚から拡大した。今回は手じまい売りが3,419枚、買い戻しが1万4,917枚入り、1万1,498枚買い越しを拡大した。一方、12月14日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.82トン増の763.56トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測などを受けて投資資金が流入した。
プラチナはリスク選好で下げ一服も景気減速懸念に上値を抑えられる
ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、米中の通商協議に対する期待感を受けてリスク選好の動きが支援要因となったが、景気減速懸念に上値を抑えられた。9月7日以来の安値778.6ドルを付けたのち、808.6ドルまで戻したが、上げ一服となった。パラジウムの史上最高値更新が下支え要因だが、プラチナは供給過剰見通しであり、景気見通しが悪化すると、戻りを売られやすい。米中の通商協議で楽観的な見方が戻るかどうかが当面の焦点である。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月11日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万0,991枚となり、前週の1万4,626枚買い越しから縮小した。新規売りが新規買いを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は13日のロンドンで8.92トン(前週末8.96トン)に減少、14日のニューヨークで18.72トン(同18.72トン)、南アで21.87トン(同21.87トン)と変わらずとなった。ロンドンで投資資金が流出した。
ニューヨーク金はドル高で上げ一服
ニューヨーク金2月限は、7月17日以来の高値1,256.6ドルを付けたのち、上げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が支援要因だが、英国の欧州連合(EU)離脱で合意気なき離脱が懸念されたことや、中国・ユーロ圏の経済指標悪化を受けてドル高に振れた。ただ株安に対する懸念も強く、押し目は買われやすい。10日高値1,256.6ドルが目先の抵抗線であり、ここを突破すると、200日移動平均線(14日1,272.80ドル)を試す可能性がある。
12月17日からの週の注目ポイント
17日 |
ユーロ圏消費者物価指数(11月確報) |
☆☆☆ |
---|---|---|
ユーロ圏貿易収支(10月) |
☆ |
|
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(12月) |
☆☆ |
|
対米証券投資(10月) |
☆☆ |
|
18日 |
独ifo景況感指数(12月) |
☆☆ |
米住宅着工・許可件数(11月) |
☆☆ |
|
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 |
☆☆ |
|
19日 |
貿易収支(11月速報) |
☆☆ |
日銀金融政策決定会合(1日目) |
☆☆ |
|
独生産者物価指数(11月) |
☆ |
|
英消費者物価指数(11月) |
☆☆ |
|
米経常収支(7-9月期) |
☆☆ |
|
米中古住宅販売統計(11月) |
☆☆ |
|
米連邦公開市場委員会(FOMC)2日目 |
☆☆☆ |
|
20日 |
日銀金融政策決定会合(2日目) |
☆☆☆ |
ユーロ圏国際収支(10月) |
☆☆ |
|
英中銀政策金利公表(BOE) |
☆☆☆ |
|
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月) |
☆☆ |
|
米景気先行指数(11月) |
☆☆ |
|
21日 |
消費者物価指数(11月) |
☆☆☆ |
ユーロ圏消費者信頼感(12月速報) |
☆☆ |
|
英国内総生産(7-9月期確報値) |
☆☆☆ |
|
米国内総生産(7-9月期確報値) |
☆☆☆ |
|
米耐久財受注(11月) |
☆☆ |
|
米個人所得・支出(11月) |
☆☆☆ |
|
米ミシガン大消費者信頼感指数(12月確報値) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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