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金は貿易戦争に対する懸念後退も米利上げ見通しで上値重い
提供:SBIゴールド
金は英国のEU離脱交渉の行方も確認
9月17日の週のニューヨーク金市場は、米中の貿易戦争に対する懸念が後退し、ドル安に振れたことが支援要因となったが、ポンド急落をきっかけに上げ一服となった。米国が中国製品に対する第3弾の制裁関税を発表したが、当面の関税率が抑えられ、貿易戦争に対する懸念が後退した。また中国首相が輸出促進のための人民元切り下げは行わないと述べ、貿易摩擦への対応手段として為替を利用しない考えを示した。ただトランプ米大統領は第4弾の制裁措置を警告しており、貿易戦争の行方を引き続き確認したい。一方、英国の欧州連合(EU)離脱交渉で合意期待が出ていたこともドル安要因となったが、メイ英首相がアイルランド国境問題に関するEUの修正案を拒否する方針としたことでポンドが急落した。英国のEU離脱交渉の行方も当面の焦点である。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが見込まれており、タカ派の見通しが示されると、ドルが買われ、金の圧迫要因になる可能性がある。
米政権は17日、2,000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を24日に発動すると発表した。関税率は当面、10%となり、年末には25%に引き上げるとした。税率が低い間に米企業はサプライチェーンの調整などを進めることができる、としており、貿易戦争に対する懸念が後退した。中国も600億ドル相当の米国製品に対する報復措置を発表した。関税率は5%と10%となった。ただトランプ米大統領は中国が報復措置を取るなら即座に2,670億ドルの中国製品への関税を実施すると警告している。第4弾の制裁措置が実行されると、中国からの輸入品全額が対象となる。一方、中国は22日、米国との通商協議を取りやめた。中国政府内では、米政権との実質的な交渉が可能になるのは、11月の米中間選挙が終わってからとの意見が強まっているという。李中国首相が人民元切り下げは行わないと述べ、米大統領の強硬姿勢に対照的な姿勢を示したが、中国の打つ手は限られている。今後発表される経済指標で米中の関税措置の影響を確認したい。
英国の欧州連合(EU)離脱交渉で、EUのバルニエ首席交渉官が10日、双方の交渉官が現実的になれば、向こう6〜8週間で合意にこぎつけられるとの見方を示した。離脱交渉の合意期待を受けてポンドが上昇していたが、メイ英首相が19日、アイルランド国境問題に関するEUの修正案を拒否する方針とした。EU加盟国首脳は20日、同首相が11月までに貿易やアイルランド国境問題で譲歩しなければ、合意なしの離脱に備えると警告すると、ポンドが21日に急落した。英野党労働党は、同メイ首相が示した方針が議会を通過しなかった場合に離脱の是非を問う2回目の国民投票実施を選択肢の1つとして維持するか、党としての週内に採決を行うとしており、英国のEU離脱交渉の行方も焦点である。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月18日時点のニューヨーク金の大口投機家の売り越しは1万0,844枚となり、前週の7,590枚から拡大した。今回は手じまい売りが570枚、新規売りが2,684枚出て、3,254枚売り越しを拡大した。一方、9月25日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は14日比0.30トン減の742.23トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しなどを背景に投資資金が流出した。
プラチナは貿易戦争に対する懸念後退でレンジ上放れ
ニューヨーク・プラチナ10月限は、貿易戦争に対する懸念後退やパラジウム急伸を受けて堅調となり、8月9日以来の高値839.1ドルを付けた。米政権が2,000億ドル相当の中国製品に対する追加関税の発動を発表したが、関税率が抑えられたことや中国首相の発言を受けて貿易戦争に対する懸念が後退した。また8月の欧州の新車登録台数が、9月1日から義務化される「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)」を前にした在庫一掃セールを受けて急増したことやパラジウム急伸も強材料である。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月18日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の売り越しは2,210枚となり、前週の7,568枚から縮小した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は24日のロンドンで9.59トン(14日9.33トン)に増加、ニューヨークで19.19トン(同19.19トン)、21日の南アで23.86トン(同23.86トン)と変わらずとなった。
ニューヨーク金はレンジ相場を継続
ニューヨーク金12月限は、ドル安が支援要因となったが、レンジ上限を突破できず、ポンド急落を受けて上げ一服となった。米国が中国製品に対する第3弾の制裁関税を発表したが、当面の関税率が抑えられたことや、中国首相の発言を受けて貿易戦争に対する懸念が後退し、ドル安となった。ただ英国の欧州連合(EU)離脱交渉に対する懸念が再燃し、ポンドが急落したことが上値を抑えた。また今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが見込まれていることもドル高要因である。金は1,192.7〜1,220.7ドルのレンジ相場を継続しており、当面はどちらに放れるかがテクニカル面での焦点である。
9月24日からの週の注目ポイント
24日 |
日本、中国、南ア休場 |
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独ifo景況感指数(9月) 103.7(事前予想103.2) |
|
|
25日 |
香港休場 |
☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨(7月30-31日分) |
☆☆☆ |
|
米住宅価格指数(7月) |
☆ |
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ケース・シラー米住宅価格指数(7月) |
☆☆ |
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米消費者信頼感指数(9月) |
☆☆ |
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米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 |
☆☆ |
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26日 |
米新築住宅販売(8月) |
☆☆☆ |
米連邦準備理事会(FRB)議長会見 |
☆☆☆ |
|
27日 |
政策金利公表(NZ準備銀行) |
☆☆☆ |
ユーロ圏消費者信頼感(9月確報) |
☆☆ |
|
米国内総生産(4-6月期確報値) |
☆☆☆ |
|
米耐久財受注(8月) |
☆☆ |
|
米中古住宅販売仮契約指数(8月) |
☆☆☆ |
|
28日 |
失業率(8月) |
☆☆ |
鉱工業生産指数(8月速報) |
☆☆ |
|
中国財新製造業購買担当者景況指数(9月) |
☆☆ |
|
英国内総生産(4-6月期確報値) |
☆☆☆ |
|
ユーロ圏消費者物価指数(9月速報) |
☆☆☆ |
|
米個人所得・支出(8月) |
☆☆☆ |
|
シカゴ購買部協会景気指数(9月) |
☆☆ |
|
ミシガン大消費者信頼感指数(9月確報値) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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