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金は米国債の利回り上昇による投資資金流出が圧迫
提供:SBIゴールド
金はユーロ相場見通しを確認
2月5日の週のニューヨーク金市場は、4月限が1月2日以来の安値1,309.0ドルを付けた。米株価が暴落、恐怖心理指数であるVIXが暴騰し、先行き不透明感が高まったが、米経済のファンダメンタルズは堅調との見方から、米国債の利回りが上昇し、ドル高に振れたことが圧迫要因になった。株価暴落については、アルゴリズムや高頻度のクオンツ取引によるフラッシュクラッシュや、VIX暴騰による一時的なショックとみられており、当面は株安がどこで一服するかが焦点である。リスク選好の動きが戻ると、ユーロ高に振れ、金の支援要因となる可能性が出てくる。ただノボトニー・オーストリア中銀総裁が新聞インタビューで、米財務省が意図的にドルに下落圧力を加えているとの見解を示し、欧州サイドからドル安をけん制する動きも出ており、今後のユーロ相場の見通しを確認したい。一方、米国債の利回り上昇が続くと、金ETF(上場投信)からの投資資金流出が上値を抑える可能性がある。
アジア市場では、金価格が調整局面を迎えるなか、中国の旧正月やインドの結婚シーズンを控えて実需筋の買い意欲が強まった。前週の中国の金プレミアムは9〜10ドルと前々週の6〜8ドルから上昇した。ただ今週の中国市場は15日から休場であり、実需筋の買いが一服すると、上値が抑えられる可能性が出てくる。一方、インドの金プレミアムは1.5ドルと前々週の2ドルからほぼ横ばいとなった。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、1月のインドの金輸入は前年同月比37%減少し、17カ月ぶりの低水準となった。輸入関税の引き下げに対する期待感から買い付けが見送られたことが主因となった。ただ2月に入ってから据え置きが発表され、買い付けが再開された。
北朝鮮は8日に軍事パレードを実施した。しかし、実況はなく、時間も約1時間半に減少した。外国メディアの取材を認めず、国内行事であることを強調しており、金市場で材料視されることはなかった。ただペンス米副大統領は、横田基地で米軍兵士や自衛隊員を前に演説し、「北朝鮮の脅威は米国を行動にかき立てる。米国は警戒と決意をもって行動し続けるだろう」と述べた。平昌冬季五輪後の動きが警戒される。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月6日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万0,877枚となり、前週の20万7,262枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万4,499枚、買い戻しが8,114枚入り、買い越しを11万6,385枚縮小した。一方、2月12日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は2日比20.65トン減の820.71トンとなった。株価暴落には反応薄く、米国債の利回り上昇を背景に投資資金が流出した。
プラチナはドル高で調整局面
ニューヨーク・プラチナ4月限は、米国債の利回り上昇によるドル高を受けて調整局面を迎え、1月4日以来の安値960.3ドルを付けた。パラジウムが株安を受けて1,000ドルを割り込んだことも下げ要因である。ただ1月の中国の自動車販売台数が前年同月比11.59%増の281万台になった。昨年12月の0.1%増から伸びが大幅に加速し、8カ月連続で増加した。パラジウムが下げ止まると、プラチナの下支え要因になる可能性がある。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月6日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは4万1,819枚となり、前週の4万3,393枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12日のロンドンで11.75トン(2日11.84トン)、ニューヨークで17.92トン(同18.07トン)に減少、9日の南アで25.11トン(同25.11トン)と横ばいとなった。
NY原油は生産増加などが圧迫要因に
ニューヨーク原油は、米原油在庫の増加や増産などを受けて売り優勢となり、2017年12月22日以来の安値58.07ドルを付けた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した2月2日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比189万5,000バレル増加し、2週連続で増加した。また米原油生産量が日量1,000万バレルの大台を超えた。産油国が協調減産を実施しているが、米国の増産が続くと、需給均衡化が遅れる可能性も出てくる。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された2月9日までの週の米石油リグ稼動数は前週比26基増の791基となった。3週連続で稼働数が増加しており、増産要因となっている。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月6日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは73万9,097枚となり、前週の73万4,558枚から拡大し、5週連続で過去最高を更新した。買い戻しが手じまい売りを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は12日時点で1億5,370万株となり、2日比740万株減少した。
2月12日からの週の注目ポイント
12日 |
米財政収支(1月)490億ドル黒字 |
☆ |
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米2019年度予算教書 インフラ投資に2,000億ドル |
☆☆☆ |
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13日 |
英消費者物価指数(1月) |
☆☆☆ |
英生産者物価指数(1月) |
☆ |
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クリーブランド連銀総裁、講演 |
☆ |
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14日 |
日本GDP速報値(第4四半期) |
☆☆ |
ドイツGDP速報値(第4四半期) |
☆☆ |
|
米小売売上高(1月) |
☆☆☆ |
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米消費者物価指数(1月) |
☆☆☆ |
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米財務長官、上院財務委員会で2019会計年度予算案について証言 |
☆☆☆ |
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15日 |
豪雇用統計(1月) |
☆☆☆ |
米鉱工業生産(1月) |
☆☆ |
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米生産者物価指数(1月) |
☆☆ |
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NY連銀製造業景況指数(2月) |
☆ |
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フィラデルフィア連銀景況指数(2月) |
☆ |
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中国春節(旧正月)祝日で休場(21日まで) |
☆☆ |
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16日 |
米住宅着工件数(1月) |
☆☆ |
香港春節(旧正月)祝日で休場(19日まで) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
ニューヨーク金は投資資金流出が圧迫
ニューヨーク金4月限は1月2日以来の安値1,309.0ドルを付けた。12月12日安値1,242.7ドルから1月25日高値1,370.5ドルに対する半値押しの水準(1,306.6ドル)付近まで下落した。米国債の利回り上昇によるドル高を背景に金ETF(上場投信)から投資資金が流出したことが圧迫要因になった。株安や中国の旧正月を控えた実需筋の買いが下支え要因だが、中国市場は15日から休場であり、実需筋の買いが一服すると引き続き下値を試す可能性が残る。ドル高が続くと、1,300ドルの節目や、フィボナッチ・リトリースメントの61.8%押しとなる1,291.5ドルを試す可能性が出てくる。
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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