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2021-10-17 08:41:03

資源価格上昇の企業業績への影響

2021/8/11
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

企業決算がピークを迎えたが、昨年との実績対比で見た場合の業績改善は顕著である。しかしそれと同時に調達コストの上昇によって営業利益が圧迫された企業も多い。素材価格の上昇はコロナの影響による景気減速を回避するため、各国が積極的に経済対策を行ったこと、コロナの感染が密な環境での生産を余儀なくされる鉱産国で広がったことで生産に影響が出たこと、やはりコロナの影響によるロックダウンや人の移動制限での空運の輸送能力低下、それに伴う海上輸送市場の逼迫といった輸送面での影響が出たことが影響している。またこれに加えて、コロナと直接関係がないがバイデン政権がパリ協定を批准したことで脱炭素の動きが加速、脱化石燃料を目指した鉱物資源需要の増加期待が高まったことも、投機的な需要の増加を通じて価格を押し上げることになった。

日本は資源のほとんどを海外からの輸入に頼っているが、主要商品の輸入額を見ると石炭(発電や鉄鋼向け)が最も多く、次いで原油・石油製品となっている。原油は4割が火力発電や家庭向けの熱源に用いられ、4割が自動車、船、飛行機などの輸送燃料、2割が化学製品の原料に用いられている。そして化学製品などは二次製品、三次製品の市場もあり、発電向けに用いられるエネルギーについては、電力市場という下流市場が存在するため実際には貿易統計で把握される金額よりも市場は大きい。ここで重要なのは、日本は産業構造が変わらない限りこれらの商品を海外から輸入し続けなければならず、かつ、その価格は海外の市場で決定されていて企業の自助努力ではなんとも出来ないことだ。素材価格上昇時にはコスト削減や値引き交渉が行われるが、市場価格を上回る値下げは出来ないし、そもそも使用している素材をゼロにしない限り必ず市場価格の変動リスクに晒されることになる。

ではどの業種がどの程度、市場価格の変動リスクの影響を受けるのか。産業関連表(2015年調査)などを元に調達コストに占めるエネルギーコストの影響をみるとグラフの通りとなる(明らかにエネルギー売買を生業としている石油製品製造や電力・ガス、地域熱供給業は除く)。エネルギーコストは業種にもよるが、ガソリンやガスなどのエネルギーそのものを販売するケースを除けば、その上昇分を消費者に転嫁しにくい。そのためこれらの価格の上昇は通常、利益の圧迫要因となる。

出所:総務省、MRA

では金属資源についてはどうか。金属は鋼材、非鉄金属、鋼管など品目が非常に多岐にわたるため、ひとまとめとして計算し、こちらも鉄鋼業など明らかに金属の生産販売を行っている業種を除いてグラフにした。やはり多くの企業が鉱物資源価格の変動リスクに晒されていることが分る。金属やそこから製造される部品はエネルギーよりは販売先にその調達価格の変化分を転嫁しやすいが、それでも価格転嫁には時間がかかり、やはり価格上昇局面では業績の圧迫要因となりやすい。

出所:総務省、MRA

そして、エネルギー・金属とも同じだが、CMEやICEといった国際市場で価格が変動してから調達コストに影響が及ぶまでに時間差がある。電気やガスは原燃料費調整制度の影響で概ね6ヵ月程度の時間差があり、これらの原材料を元に生産される部品も調達から製造、販売までの時間が考慮されることになるため数ヵ月の時間差がある。そのため、市場価格が現在上昇していれば、その価格上昇の影響は遅れて顕在化することになる。

そしてその結果が株価に反映されるのは多くの場合四半期決算の結果を見てからであるため、さらにタイミングにズレが生じることになる。半年程度の時間差が調達コストに影響していると仮定すれば、2021年7-9月期以降の方が商品価格上昇の影響が大きくなる可能性が高い。もちろん、各企業のビジネス自体がより重要であるが素材価格の高騰と高い変動性が続く以上、企業にとって素材価格のリスク制御は重要な経営目標の1つになっている。もちろんこのリスクに既に対応している企業もあるが、まだ少数ではないだろうか。今後、企業業績を占う上でこの項目にも注目することをお勧めしたい。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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