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2021-10-26 17:34:29

金価格への為替の影響

2020/11/11
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

前回のコラムで、現在の金価格動向は米国の10年実質金利で説明が可能であり、10年金利要因、10年期待インフレ率要因、その他の要因の3要因に分解できることを説明した。しかしもう1つ考えなければいけない要素として重要なのが、為替動向である。

金価格動向を説明する際に為替の話が出てこないことはない。「ドルの代替運用先として金が物色される」という説明もよくなされるが、ドルの代わりにドル建てで取引されている資産に投資をする、と聞いても正直あまりピンとこないのではないだろうか(そのように言われてきた背景は、次回以降のこのコラムで解説の予定)。もう少し話を一般化して、このロジックが何を意味しているのかを考えてみたい。

これは金に限った話ではないが、一般に、ドルが下落した時(ドル安になったとき)にドルで取引されている資産(ドル建て資産)の価格は上昇することがわかっている。逆にドルが上昇するとき(ドル高になったとき)には価格は下落すると言われているし、多くの場合、それが実際に起きている。もし対象としている商品が本来持っている価値(本源的価値と呼ぶ)が変化しなかった場合、例えば為替レートが変動したとしても、原油や銅、金の資源としての価値が変わるわけではない。もう少し砕けたいい方をすれば、為替レートが変動したからといって、原油の発熱効率が上昇したり、金の硬度や輝きが増したりするということは絶対に起きないということだ。

本源的価値が変わっていないモノを購入しようとしたとき、購入に用いる通貨の相対価値が低下していると、そのモノを購入するために必要な通貨の数量は増えることになる。例えば、為替が1ドル100円のときに、米国で10ドルで販売されているハンバーガーを購入しようとした場合、1,000円必要になるが、為替が1ドル200円と円安になれば、ハンバーガーを購入するための資金は2,000円に増える。ハンバーガーの本源的な価値自体は変化していないが、為替の水準が変化することで原資が変化したわけだ。我々日本人が海外から原油などのドル建て資産を購入するときは、為替市場でドルを調達しなければならない。そのため、円高の時であれば有利にドルを調達でき、購買力は増す。そのためドル安の時にはドル建て資産価格は上昇しやすい。逆に、原油を生産している国はドル高の時に生産すれば、ドル建ての収入を自国通貨に交換するときに実入りが増えるため、増産バイアスがかかることから、ドル建て資産価格には下落圧力が掛かることになる(実際は為替レートを見ながら増減産が行われているわけではなく、先物市場での売りヘッジが入ることによって価格に影響を及ぼしている)。ドルが高い・安いは様々な通貨との相対価値で決まるため、ドル建てで取引されている商品価格動向を分析する場合ドルの複数通貨との加重平均であるドル指数を用いるのが一般的である。

実際のドル指数の金価格への影響を見てみよう。グラフは2007年以降のドル指数と金価格の推移であるが一見して両者の間に高い相関性があるようには見えないが、ドルが上昇する局面では金価格が下落し、逆の場合には上昇していることがなんとなく確認できる。この期間(2007年1月から本稿を執筆している現時点まで)のドル指数の金価格との相関係数は0.16と統計的にはほぼ無相関といえる。相関係数を二乗した決定係数は0.025だ。

相関係数とは2つの数値の動きの同値性を検証するための指標で、▲1〜1の間の値をとる。1だと最も相関性が高く分析対象となる数値Aと数値Bが1:1で変動することを表す。例えば、材質が均質の棒の長さと重さの関係などは、相関係数は1となる。逆にマイナスの場合(負の相関と呼ぶ。プラスの場合は正の相関と呼ぶ)は数値Aが上昇(増加)したときに数値Bが低下(減少)する。相関係数が完全に▲1となる例はなかなかないのだが、冬場の気温と灯油の消費量などは負の相関の例としてよく挙げられる。
決定係数は相関係数を二乗して求められるが、この例だと0.025となため、ドル指数の金価格に対する説明力は2.5%であり、97.5%はその他の要因で決まっているということを意味している。

話を元に戻そう。次に金価格と実質金利の相関分析を行うと相関係数は▲0.90、決定係数は0.80であり、圧倒的に実質金利の金価格に対する説明力が高いことになる。

但し、この相関係数は計測する時期、期間によって変動するため、常に為替が金価格と無相関というわけではないことは注意が必要であるし、相関性が高まる局面も出てくる。例えばデータは少ないが、直近1ヵ月を対象に同様の分析を行うと、ドル指数の金価格との相関係数は▲0.74と説明力が上がり、実質金利の金価格との相関係数は▲0.10と説明力が低下している。これは米国の金融政策によって名目金利(米10年国債利回り)が低下、下げ余地があと0.6%〜0.8%程度しかなく、かつ、期待インフレ率への影響が大きい原油価格が40ドル内外で低迷しているため、期待インフレ率も比較的安定していることから実質金利の変化が小さくなってきたことに起因する。

一方、為替は米国の大統領選挙動向や各国の経済対策、欧州不安を受けたリスクオン・リスクオフでドル指数が大きく動く傾向が強まっており、結果的に為替の説明力が増したと考えられる。つまり、長期的には実質金利動向を把握しておくことは引き続き必要であるが、短期的な相場動向を考える上では、為替動向の重要性が足元増していることを意味している。

このように、金価格に対して影響力のある要因を整理し、「今、どの要因の説明力が高まっているのか、なぜそのようになっているのか」を考え、複眼的に相場を見ることは重要である。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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