気になる原油先物価格の動向は?「UBS原油先物ファンド」の仕組みとともに解説!
2020/6/30
コロナ禍の中、4月20日にWTI原油先物(直近限月)が史上初めてマイナス37.63ドルで取引を終了したことは記憶に新しく、原油価格の動向を注視している投資家の方も多いのではないでしょうか。
大幅な下落の一方で、年後半の需要回復への期待感等を背景に原油先物への関心が高まっており、SBI証券でも、個人投資家の皆さまが原油先物に投資できるファンドとして「UBS原油先物ファンド」が注目を集めています。
今回はUBSアセット・マネジメントの方に、ファンドの仕組みとポイント、原油マーケットで今起きていることをわかりやすく解説していただきました。ぜひご参考にしてください。
「UBS原油先物ファンド」の仕組み
一般的なETF等が参照する原油先物指数は、期日が最も近くに迫っている、直近限月・期近物などと一般的に呼ばれる原油先物価格を参照します。
直近限月のみに継続的に投資する場合、限月交代(ロール取引)による影響が大きくなる傾向にあると言われています。(先物取引に関する説明は後半で行います。)
当ファンドはUBSブルームバーグCMCI指数WTI原油指数(円換算ベース。以下、当指数)への連動を目指すインデックス型ファンドとなっています。
当指数最大の特徴は、限月交代(ロール取引)の影響の軽減を目指すところです。直近限月には投資を行わず、3ヵ月〜3年の中長期に期間を分散して投資を行います。
原油先物の分散投資のイメージ
投資数の期間別構成比※
中長期的に見たときには、当指数(下図、赤チャート)は、限月交代(ロール取引)の影響の軽減を図り、期間を分散して投資を行うことで、直近限月を中心に投資する場合(下図、緑チャート)よりも良好なパフォーマンスを上げています。
- ※上記はイメージです。資金動向、信託財産の規模、市況動向等によっては、上記のような運用ができない場合があります。
- ※上記2019年8月時点の構成比です。構成比は将来変更となる場合があります。
当指数とWTI原油先物指数の推移(米ドルベース、2012年12月末〜2020年5月29日)
- ※(注)当ファンドのベンチマークは、上記の当指数を円換算したものです。
- ※出所:リフィニティブ、UBS証券、各種情報よりUBSアセット・マネジメント作成。WTI原油先物指数(期近物)は、S&P GSCI Crude Oil Total Return指数。上記は過去のデータであり、将来の動向を示唆・保証するものではありません。
原油価格に影響を与える要因は?
原油価格が影響を受ける要因は下図の通り様々です。
足元、価格が大きく下げている要因は、サウジアラビアが減産発表をしている一方、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に自粛ムードが広がり需要減少が懸念され、需給バランスの崩れにつながると危惧されていることと考えられています。
原油価格に影響を与える要因
- ※上記の各要因は一例であり、すべての要因を網羅しているわけではありません。
- ※UBSアセットマネジメント作成資料から抜粋
先物取引とは
- 1. 将来の予め定められた期日に
- 2. 特定の商品を
- 3. 現時点で取り決めた価格
で売買することを約束する取引です。
また、決済方法には、現物受渡決済と差金決済があります。
原油価格
原油価格には先物価格と現物取引におけるスポット価格があります。
原油価格の代表的な指標には、アメリカ産のWTI原油先物、欧州産の北海ブレント原油先物、中東産のドバイ原油スポット価格があり、これらが3大原油指標と言われています。
中でも、皆さんがニュースなどで見たり、聞いたりすることがある原油価格とは、WTI原油先物の価格のことです。
WTI(West Texas Intermediate ウェスト・テキサス・インターミディエイト)とは、西テキサス地方で産出される硫黄分が少なくガソリンを多く抽出できる高品質な原油の総称。
WTI原油先物価格とは、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)において取引が行われており、実際のWTIの1日あたりの産出量は100万バレルに満たない。しかしながら、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、この価格は、世界の原油市場の価格形成に最も大きな影響を及ぼす重要な指標原油となっています。
投資にあたって気をつけておくことは?
先物投資における限月交代(ロール取引)の影響
先物に継続的に投資をする場合、期日を迎える前に期近物を売り、期先物を買う取引が必要となります。この取引は限月交代(ロール取引)と呼ばれています。
限月交代(ロール取引)時には、その時点の先物価格の限月間の価格差により、取引を調整する必要があります。
そのため、先物に継続的に投資をする場合は、先物の価格変化だけでなく、限月交代(ロール取引)の影響を考慮してリターンを捉えなければならないということです。上述の通り、当指数は、期間を分散して投資することで、限月交代(ロール取引)の影響の軽減を図るための工夫を行います。
①期先物ほど先物価格が高い状態(「コンタンゴ」と呼びます)
①コンタンゴ
将来の需要増加観測等から、原油価格が今後上昇すると予想される場合にみられる。安い期近物を売り、高い期先物を買うためマイナスの影響となる。
②期先物ほど先物価格が低い状態(「バックワーデーション」と呼びます)
②バックワーデーション
将来の供給過剰観測等から、原油価格が今後下落すると予想される場合にみられる。高い期近物を売り、安い期先ものを買うためプラスの影響となる。
- ※上図はイメージです。
理由①
普段皆さんがニュースや新聞で目にする原油先物価格は基本的に直近限月の価格であると思われます。一方、当指数は、ロール取引の影響の軽減を図るため期間を分散して投資します。期日の異なる先物はそれぞれ価格・値動きが異なるため、一般的に参照される原油先物価格と当指数の値動きは乖離します。
理由②
日々ニュースで目にする原油先物価格をつなぎ合わせても、限月交代(ロール取引)の影響が含まれていないため実際に投資を行った際のリターンとは乖離が生じます。
原油先物に投資する際には上記の点を正しく理解した上で投資をすることが重要です。
冒頭掲載の動画では原油市場の動向、今後の見通しについても説明しておりますので併せてご参照ください。
ご注意事項
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