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2024-04-26 13:53:07

外国株式 > 『ETFハンドブック』の著者デビッド・アブナー × 渡邊雅史 特別対談!

『ETFハンドブック』の著者デビッド・アブナー × 渡邊雅史 特別対談!

「そうだったのか!ETF徹底解剖」シリーズの渡邊雅史氏が日本で初めての金融プロフェッショナル向けETFの専門書「ETFハンドブック」の著者デビッド・アブナー氏に、ETFのことやETFに賭けた半生などについてインタビューを行いました!
デビッド・アブナー氏は、ETF創成期から、取引の円滑化や流動性の創出を受け持つキャピタル・マーケッツ業務の第一人者として、ETF市場の発展に大きく貢献してきました。その実績が評価され、本年度の「ETF.com 生涯功労賞」を受賞しています。

ETFとの出会い

 渡邊 こんにちは、デビッド。日本へようこそ。今日はよろしくお願いします。

デビッドこんにちは。日本に来るのは数年ぶりなので、とても楽しみにしていました。

 渡邊 デビッドは、現在ウィズダムツリー・ヨーロッパのヘッドであり、ETF(上場投資信託)の取引に関する分野については第一人者でもあるので、今日は、ETFの取引とETF市場がこの先どのように変化していくのかについて、いろいろと聞いてみたいと思います。まず、デビッドがなぜETFに関わるようになったのかを話してもらえますか?

デビッド私は、元々マーケットメイカーとして働いていました。クローズドエンドファンドに長年関わったのち、1999年以降、ETFのマーケットメイクも行うようになり、投資家のためにETFに流動性を与える仕事をはじめたのが、ETFに関わるようになったきっかけですね。

 渡邊 その当時はETFのことをどのように考えていましたか?

デビッド実は、最初はETFについて非常に悪いイメージを持っていました。あの当時は誰もETFのことを知りませんでした。一度、テクノロジー株のETFのマーケットメイクに関わったことがあったのですが、短期間に本当に大きな損失を出してしまいました。私がよく理解していなかったETFという商品でこれだけ短期間に大きな損失が出るということは、逆に短期間に同じだけの収益を生み出すこともできるはずだと思いました。一体、この商品は何者なんだ?と思ったそのとき、私はETFに魅了されたのです。


 渡邊 なるほど、最初のETFとの出会いは散々だったということですね。その後、投資銀行のトレーディング部門から、ETFの発行体であるウィズダムツリーに移ろうと思ったきっかけは何だったのですか?

デビッド投資銀行でETFのマーケットメイクをしていた当時は、投資家相手に非常に大きなスプレッドを提示していました。私はそのときに思ったのです。投資家がETFの仕組みを正しく理解した上でETFを取引するようになれば、より良い価格で取引できるようになるのではないかと。そこで、私はウィズダムツリーに参画し、投資家に対してETFの取引方法を指南することにしました。ETFに興味がある投資家がいれば、我々が取引の方法をアドバイスしてあげることができる。それが、結局は投資家にとっても運用会社にとってもプラスになるということを思ったのです。そして、過去25年の間、私は、金融機関の一部の人しか知らなかった情報を、全ての投資家に伝えることに全力を尽くしてきました。

 渡邊 その功績が認められたのが、生涯功労賞というわけですね。(ETF.comが毎年ETFの発展に最も貢献した人物を一人「Lifetime Achievement Award(生涯功労賞)」として表彰。これを今年受賞したのが、デビッド・アブナー)

デビッド私は、この賞は、悪いジョークだと思いました。実際、”Half Life” Achievement Award(半生功労賞)とすべきだと思います。私は、まだ人生の半分しか生きていないのだから、これが生涯最後の賞だとしたら非常に悲しい(笑)。私は、過去15〜20年という時間をETFの市場構造がどのようなものかを投資家に説明することに費やしてきました。投資家に必要なものが何かを考えて働いてきたことが、この功労賞の受賞に繋がったと考えています。

ETFの最も重要な特徴とは?

 渡邊 さて、デビッド、ETFの最も重要な特徴は何だと思いますか?

デビッドETFについて何が重要かを語る上で、いくつかのポイントがあります。まず、最も多くの人が話題にすることとして、投資信託と比較して相対的に低いコストであるということがあります。確かにコストはETFの特徴の一つです。しかし、私は、ETFのより大事な最も重要な特徴はその「透明性」にあると考えています。ETFの透明性は二つあります。市場で取引されることで、取引価格がはっきりしているということが一つ目です。つまり、投資家が支払うべき金額が正しく認識できるということです。二つ目は、投資家がその構成銘柄についての情報を入手することができるということです。ETFを購入するのであれば、そのETFの中身がどのような銘柄でできているのかを、全てその時点で把握することができるということです。そして、透明性に次いで重要なポイントが流動性です。ETFは、日中いつでも、様々な取引用途に使うことができます。例えば、ETFを空売りして、ポートフォリオをヘッジするためのネガティブエクスポージャーを取ることもできます。様々な取引を活用することで、投資家のポートフォリオをより独自のものにできることは、ETFの大変重要な要素です。

 渡邊 他にも注目すべき特徴としてはどのようなものがありますか?

デビッドETFの素晴らしいところが他にも挙げられるとすれば、これまで投資家が投資できなかったところにも投資できるということだと思います。具体的には、新興国市場もそうですし、金というコモディティについてもそうだと思います。金がETFで買えるようになったということは、本当に画期的だったと思います。また、米国では、債券のETFが大きく伸びています。様々な商品が過去20年間、ETFの歴史の流れで生まれてきましたが、そういう意味では、こういうところに投資したいと考えた場合、全ての分野でETFを利用して投資することが可能になると考えています。

 渡邊 最近では債券ETFの人気も高まっていると聞きますが、どのように使われているのでしょうか?

デビッド債券市場は、株式市場より圧倒的に大きいのですが、投資家は、個々の債券を購入する必要があり、その際の価格は不透明であり、アクセスも難しいという現実があります。ETFは、債券をパッケージにすることにより、理解しやすくて投資しやすい商品に生まれ変わらせました。ETFにすることにより、原資産についての透明性も高まりました。つまり、ETFは債券取引に革命を起こし現代化したのです。

最もありがちなETFについての誤解とは

 渡邊 最もありがちな、投資家のETFについての誤解はなんでしょうか?

デビッド誤解という表現は面白いですね。代表的なものは2つあります。ETFはラッパー(包むもの)、つまり、多くの資産の集合体なのです。ETFを使う場合、ファンドのサイズが小さいからという理由で敬遠していないでしょうか?原資産の集合体であるということは、例えば20百万ドルのETFは、同じエクスポージャーの10億ドルのETFと全く同じように動くわけです。つまり、ポジションのサイズを、ファンドのサイズであると考えるのは大きな間違いなのです。もう一つの誤解は取引についてです。ETFの売買高は、過去どれだけ取引されたかという、時系列としての記録にすぎません。流動性(実際に取引できる量)を考えるときには、本来は、今現在どれだけETFに投資できるのかということを考えるべきであり、これを決めることができるのは構成銘柄自体の流動性なのです。

 渡邊 よくETFのデューデリジェンスをするときに、残高はいくらですか、日次の売買高はいくらですか、という話になるのですが、それは、ETFを評価するための指標としては最適ではないということかと思います。それでは、どのように原資産の流動性を算出するのかということになってくるのですが、実はデビッドは、「インプライド流動性」と呼ばれるETFの潜在的な流動性についてのコンセプトを考え出した生みの親でもあります。これについて説明してもらえますか?

デビッド先程言ったように、市場における売買高は、過去の数字です。なので、この数字自体は、今現在、実際にどれだけのETFが取引できるのか、どれだけのETFの取引を一日で消化できるのかといったことを示しているわけではありません。例えば、日経平均に連動するETFを買おうとするファンドマネジャーいて、市場価格に影響を与えたくないと考えていたとします。この場合、原資産の売買が十分にあれば、価格に影響を与えずにETFを取引することが実際には可能です。ただ、この部分が正しく理解されていないために、ETFのスプレッドが本来の構成銘柄のスプレッドより大きくなってしまっていることがあります。私が考え出した原資産の流動性の計算式であるインプライド流動性の考え方がよりポピュラーになれば、投資家はこの余計なスプレッドを支払わなくてもよくなると思います。

ETFへの10大批判について

 渡邊 インプライド流動性の詳細な算出式については専門的なことになりますので、詳しくはデビッドの「ETFハンドブック」を読んで理解してもらうということにして、別のことを聞いてみたいと思います。デビッド、昨年ETFに対するいくつかの厳しい批判がありました。ブルームバーグによると、「2017年のETFへの10大批判」として以下のようなものが挙げられていますが、これらについて、どのように思いますか?

1.大量破壊兵器だ
2.次の地震に向かう亀裂を作っている
3.株式市場のバブルを作っている
4.マルクス主義より悪い
5.抗生物質の間違った使い方より悪い
6.ファンダメンタルズを歪めている
7.市場を馬鹿なものにしている
8.成長を生み出すものを破壊している
9.経済を傷つけている
10.彼らはひどく醜い

デビッド私が、大量破壊兵器を作る人にみえますか(笑)。長年、米国の金融業界によって新たに生み出されるものは、悪意のある商品としてのイメージを持たれることが多く、実際に必ずしも投資家のためでない商品もいくつかあったと思います。しかしながら、ETFはそのイメージを覆せるものであると考えています。金融業界において、変化はとても恐れられています。ETFは金融業界の新しいテクノロジーであり、昔ながらのファンドマネジャーや今までの金融商品を作っている人たちは、ETFの誕生によって金融業界の仕組みが変わることを本当に恐れています。私が思うに、ETFについての批判は、同業者からが最も多いのではないかと感じています。皆さんにお伝えしたいのは、時間をかけてETFを理解し、その利用を試みているのであれば、あなたは正しい道を進んでいるということです。それは、違いを生み出すことができるからです。もし、あなたがETFやそれがもたらす変化を無視し、それを批判するのであれば、それは大きな間違いだと思います。過去何度も見てきたように、金融業界というのは常に変化するものです。その変化を無視していると、気づいたときには、遅れているということになると思います。

世界のETF市場について

 渡邊 世界のETF市場についてどのように考えていますか?既に5兆ドルを超えてきていますが、今後も拡大が続くと考えていますか?


デビッドETFはまだまだ発展途上だと考えています。実際、今後3−4年で倍になると言っている人もいます。米国では、スローガンとして、「Don’t fight with Fed」というのがあります。この意味は、当局が推奨しているのであれば、それを追いかけるべきだということです。米国だけでなく世界中の規制当局は、高い透明性やディスクロージャーの水準を追い求めていますが、これはETFの商品性と合致しており、そのため今後もETF市場は伸びるとみています。

 渡邊 デビッドは現在ウィズダムツリー・ヨーロッパのヘッドですが、ヨーロッパでは金融市場への規制が金融商品の提供に大きく影響を与えていると聞きますが、実際、ヨーロッパはどんな感じなのでしょうか?


デビッド日本と米国のETF市場は単一国の市場であるという意味でより似ていると思います。一方で、ヨーロッパは、定義によって異なりますが、17から25の異なる国、異なる規制、異なる投資プロセスがあり、それぞれ個別に対応する必要があります。また、ヨーロッパでは店頭取引が非常に盛んであるということも特徴です。そして、ETFを利用する上での税金のメリットが、米国ではありますが、ヨーロッパにはないということもあります。ただ、ヨーロッパ市場における透明性や取引についての規制当局の圧力は思いのほか強く、このことは、取引の中身が見えにくい店頭取引からETFの利用への移行を促していると考えています。

日本のETF市場について

 渡邊 日本の市場については、どのように考えていますか?日本におけるETFの利用は、日銀による購入と、個人投資家によるレバレッジ型やインバース型のETFが注目されがちですが、これについてどのような印象を持っていますか?

デビッド日本のETF市場は、今のところユニークな状態にあると思います。米国やヨーロッパでは、ポートフォリオのコアポジションとしてETFが利用されているのですが、日本では、未だそのように利用するケースはまれであると思われます。ETFはテクノロジーの革命です。例えば、TVがブラウン管から液晶に変わったのと同じで、以前は投資信託を用いていたところがETFになっているということが、欧米で起こっている状況であり、日本でもいずれはその変化が起こると考えています。ただ、先ほどのヨーロッパの例と同じで、米国でETFが普及する一つの理由として税メリットがあると述べましたが、日本ではそこは差別化要因にならないことから、規制当局による後押しが必要なのではないかと思います。

 渡邊 米国やヨーロッパには顧客の立場でコアのポートフォリオを提案するアドバイザーが存在するのですが、そのような仲介者がいないのも、日本市場が独特となっている要因の一つといえるかもしれませんね。デビッド、最後に「ETFハンドブック」について聞きたいのですが、2009年にETFハンドブックの初版が発売されましたが、最初にこの本を書こうと思ったのはなぜですか

デビッド私は2008年にウィズダムツリーに参画した時、投資家がETFのことをあまりにも知らないと感じていました。ETFを作っている発行体と投資家との間で情報のギャップがあり、それを埋めることができればと考えたのが、この本を書こうと思ったきっかけです。私は、このような本があることで、ETF市場がより活性化することを望んでいましたが、まさにその通りになったと考えています。

『ETFハンドブック』について

 渡邊 その後、第二版を発刊することになったきっかけは?

デビッドそれは市場が予想以上に早く発展してきたために、情報の更新が必要だと考えたからです。私は、数年後には第三版を発刊しようと考えています。そのときには、また来日したいと思います。

 渡邊 そのときにまた会える事を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

デビッドありがとうございました。

デビッド・J・アブナー

ウィズダムツリー 欧州ヘッド

デビッド・J・アブナーはウィズダムツリー・ヨーロッパのヘッドです。 2008年にウィズダムツリーに入社する前は、BNP ParibasのマネージングディレクターおよびETFトレーディング・アメリカの責任者として2年間働いていました。 デビッドは1992年にBear Stearns&Co.でキャリアを開始している。Long IslandのStony Brook Universityから経営学の学士号と経済学の学士号を取得。ETFハンドブック(Wiley、2010)とETFのビジュアルガイド(Bloomberg、2012年夏)の著者。

渡邊 雅史  (わたなべ まさふみ)

ウィズダムツリー・ジャパン株式会社 ETFストラテジスト

アクセンチュア株式会社にて金融機関向けコンサルティング業務に携わった後、バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック・ジャパン)にて、ポートフォリオマネジャー、ストラテジスト、及びETF部門専任のストラテジストを歴任。金融ベンチャー企業に参画した後、2016年よりWisdomTree JapanのETFストラテジスト。ETF市場の分析、ETFを用いた運用戦略の立案・提案業務などに携わる。 慶應義塾大学総合政策学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス修士(MBA)。 著書に『計量アクティブ運用のすべて』(金融財政事情研究会)(共著)

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