今回は、3月に権利が確定する銘柄の株主優待についてご紹介させていただきたいと思います。3月末に株主優待の権利が確定する銘柄数は約820銘柄で、株主優待を実施している企業全体の54%を占め、月別ではもっとも多くなっています。また、東証1部上場企業の予想配当利回りは2.2%（3/5現在）で、歴史的に高水準となっています。これらの事情を背景に、3月は株主優待や配当の権利確定を狙った買いが入りやすく、その分需給が締まりやすいため、「高値づかみ」に注意が必要になってきます。ただ、全般的な株安で、需給は緩みやすくなると考えられるため、株主優待や配当の権利が確定を狙う投資家にとっては、稀有なチャンスと言えるかもしれません。
では、SBI証券のアナリストとシニアマーケットアドバイザーの3人が厳選する3月権利確定の株主優待をご紹介します。 それぞれテーマごとに株主優待を厳選しておりますので、ぜひ銘柄選びのご参考にしてください。

今回は、20万円未満で買え、好業績・期末配当に期待の3月株主優待銘柄の抽出を行ってみました。株主優待の魅力は、株主としての権利さえ確定させれば、無償または有利な価格で商品や金券、サービス等の提供を受けることができる点です。株主優待と配当という株主としてのメリットを着実に享受することで、投資に対する総合的なリターンを高めることが可能と思われます。また、中には、その企業の商品やサービスを体験できるものもあり、その企業自体の理解につながることも期待されます。株主優待の権利獲得に必要な投資金額が20万円未満で抑えられているため、分散投資がしやすくなっていることも魅力と考えられます。
東証1部上場銘柄の中から、3月に権利が確定し、株主優待について投資家の人気が高いとみられることに加え、業績が堅調で期末配当も期待できる銘柄を選んでみました。その中からSBI証券の株主優待検索ページにおいて閲覧回数の多い順（3/5現在）に選びました。株主優待の権利が確定する最低投資単位について、明星工業（1976）のみ200株で、他の銘柄は100株となっています。また、銘柄により、株主優待の権利を得るために最低の継続保有期間について条件が付いている銘柄もありますが、ここで選ぶ銘柄は、そうした条件がない銘柄にしています。

焼酎のトップ企業で、子会社にタカラバイオ（4974）を有しています。権利付き最終日（3/27）に100株以上を保有する株主に対し、自社グループ商品詰合せ（酒類または調味料から選択）1,000円相当が贈呈されます。1,000株以上保有の株主に対しては3,000円相当の商品となります。配当は期末のみで、1株20円が予定され、3/5終値での予想配当利回りは2.4%と計算されます。

製粉事業（国内第2位）と加工食品を主力にしています。保有株数にかかわらず、全株主は自社グループ会社指定商品（アマニ油・サプリメント・ワイン等）の優待価格販売を受けることができます。また、権利付き最終日（3/27）に100株以上を保有する株主は｢ジュンコ・フローラ・スクール｣の小麦粘土でつくる 『パンの花』１日体験レッスン＆プレコース（初心者向け短期講座）の無料受講及び入会時の入会金無料ご優待のサービスを受けることができます。さらに、権利付き最終日（3/27）に500株以上を保有する投資家には、3,000円相当の自社商品詰合せ（パスタ等）が贈呈されます。配当は中間期末に1株16.0円、期末に同18.0円で年間34.0円の計画で、3/5終値での予想配当利回りは2.1%と計算されます。

長野県が地盤の中堅ゼネコンです。権利付き最終日（3/27）に株式を保有する株主に対し、3,000円相当の地場商品が提供されます。提供個数は100株以上で1つ、300株以上で2つ、1,000株以上で3つになっており、複数商品から選択可能です。配当は中間期末に1株2.5円、期末に同2.5円で年間5.0円の計画です。

権利付き最終日（3/27）に200株以上を保有する株主にJCBギフトカード1,000円相当、500株以上で2,000円相当、1,000株以上で3,000円相当が贈呈されます。500株以上を2年以上継続保有の場合は1,000円相当追加となります。配当は中間期末に1株10.0円、期末に同10.0円で年間20.0円の計画で、3/5終値での予想配当利回りは2.7%と計算されます。

権利付き最終日（3/27）に100株以上を保有する株主は、（1）天然水500ml入り12本、（2）天然水宅配サービス1本、（3）クオカード500円、（4）自社グループ食事券1,000円相当、（5）自社グループ会員サービスポイント1,000ポイント、（6）自社モバイルデータ通信サービス利用料2,100円相当割引、の中から選んで株主優待を受けることができます。300株以上、5,000株以上保有ではさらに増額されたサービスを受けることができます。配当は中間期末に1株14.0円、期末に同14.0円で年間28.0円の計画で、3/5終値での予想配当利回りは3.1%と計算されます。

株式投資とは、その会社を応援することでもあり、株主優待がそのお礼としてプレゼントされるとみていいかもしれません。配当金は株主への利益配分ですけど、株主優待は利益が出たから配布するという性質のものではないのです。３月期決算の企業が多い日本では、優待の権利が確定する３月は“株主になってお礼を頂くチャンスが多い月”とも言えるでしょう。
ただし、優待狙いばかりを考えて投資するのは感心できません。業績が悪くなると減配になり、場合によっては優待制度自体が改悪、廃止されてしまうリスクも生じるからです。その意味で、優待制度だけに目を向けるのではなく、業績をチェックすることも重要です。今回、選んだ条件として、最初にＳＢＩ証券サイトに掲載されている経常利益が３Q（会社予想がない場合は、コンセンサス予想に対して）まで進捗率80％以上の銘柄を抽出、その上で増配や優待を新設、巣ごもり生活にもお役に立ち、節約術のアイテムにも加えられそうな優待がＧｅｔできる25万円以下で買える銘柄を選んでみました。（2020/3/6現在）

予想配当利回りが4％台半ばと高い水準で、株主優待ランキングでは、つねに高い人気を誇っています。３/27(金)までに100株以上保有する株主に株主カードが進呈されます。このカードでレンタカー利用料30%割引、水族館入場料10%割引、ホテルや旅館宿泊割引きなど、自社グループが展開するサービスを割引き価格で利用が可能。また、プロ野球公式戦を優待価格で観戦できます。
今期は4-12月期まで最終増益を確保。配当は前期まで10期連続増配中です。第3四半期累計経常利益の進捗率は81.5％と高いです。全国に旅行へでかける時など、とても嬉しい優待。ホテルやレンタカーを利用する時に割引きがあると節約ができて、とても助かります。

9期連続増配を見込むなど、株主還元にも積極的であることが分かります。1株→2株に株式分割(2019年12月末)して、株主優待も新設しました。その内容は3月27日現在の株主で100株以上保有する継続保有株主に｢dポイント｣を付与。2年目の株主には1,500ポイント、継続保有5年目には3,000ポイントが付与されます。今期のみ、2年以上5年未満継続保有の場合1,500ポイント、5年以上継続保有の場合4,500ポイントが付与されます。
｢dポイント｣は例えば、ローソン、マツキヨカード＋dポイントなど、とっても使い勝手が良く便利です。貯まったポイントで、自分にご褒美をプレゼントするなんてプチ贅沢を味わえるでしょう。今期の最終利益見通しは微増ですが、安定感がある会社です。第3四半期累計経常利益の進捗率は93.5％です。(最低投資金額25万円)

3/27(金)までに保有する投資家が対象。株主優待を新設（2019/5）したばかりで、100株以上を保有する株主にジェフグルメカード3,000円相当分が進呈されます。ジェフグルメカードは全国3万5,000店舗で利用が可能。とっても有効に活用できる金券のひとつです。
「店舗転貸借事業」という飲食店に特化したニッチなストック型ビジネスが強みで、収益を着実に積み上げており、中・長期でキャピタルゲインでも期待が持てます。インカムゲインでは今期予想配当を増配（７円→９円）しています。第3四半期累計経常利益の進捗率は85.9％です。成約数292件（前期比12.3％増）、転貸借物件数1,634件(同17.1％増)。3Q累計営業利益20.6％増、純利益は31,6%増。3拍子揃った欲張りな銘柄です。

これまでの例では、3/27(金)までに100株以上保有する株主には「トミカ」2台セット、2,000株以上保有する株主にはリカちゃん人形＋「トミカ」4台セットなどの自社製品がもらえています。また、自社オンラインショッピングサイトで、商品を10％割引きで購入することができます。
リカちゃん世代で幼少期におままごとをして育った現役のママさんにも、いまや親子で楽しめる優待制度。「トミカ」もパパと子供で一緒に遊べます♪家のなかで過ごさないといけないような時期には、何時間でも夢の空間の創造の世界に入れるので、きっと飽きないことでしょう。子育て世代にはうれしい優待制度と言えそうですね。

3月優待企業の中でも、ほとんどつねに人気ランキングの上位に入っています。6万円で買っておつりがくるという最低投資金額の値ごろ感が人気の秘訣かも。3月27日現在の株主に株主優待割引券500円が100株以上で2枚。500株以上で4枚、1,000株以上で10枚。10,000株以上で50枚。長い期間保有すると、さらにオトク感が増します。
20年3月期の配当は未定としていますが、4-12月期の最終利益は前年同期比9割超の大幅増益を遂げており、前期（13円）と同程度の配当金が見込めそうです。第3四半期累計経常利益の通期見通しに対する進捗率は82.9％。このペースを維持できれば、上方修正の可能性も出てきそうです。

新興株市場を担当しているため、マザーズおよびJASDAQ上場銘柄に絞って銘柄をご紹介いたします。新型コロナウイルスの影響で株式市場が不安定な折、今回の銘柄は、新興市場の上場銘柄で、株主優待および配当の権利が取れ、なおかつ業績不安が少なく上方修正も考慮できる、トリプルメリット銘柄を抽出してみました。現在のような相場環境では、株主優待や配当の権利を得ることができても、キャピタルロスを被ってしまうリスクを極力小さくするべきと考えました。
そこで第三四半期までの累計経常利益が、会社予想（年度）利益に対して75％以上の進捗率となっている銘柄をスクリーニングし、3月末までに100株以上で株主優待及び配当の権利が得られる銘柄の中から、配当率が高いものや優待内容がユニークなものを抽出したのが下記の5銘柄です。

音響や映像機材の貸出しと設置・オペレーション業務を行う会社です。数多くのミュージシャンのコンサートを手がけた実績を持ち、日本のミュージックシーンには欠かせない会社と言ってよいでしょう。欧米やアジアにも進出しています。3Q決算時点で年間利益の82％を達成しています。新型コロナウイルスによる先行きの業績懸念から過去2ヵ月で株価はほぼ半値となりましたが、感染拡大が収束すれば見直し買いが入る可能性が高いと思われます。今年から株主優待制度を拡充し100株以上の株主には2,000ポイントの株主優待ポイントが贈呈され、地域の名産品や雑貨、クオカード、同社運営のライブハウスでのミュージックチャージなどと交換できます。3月末株主への予想配当金は17.5円となっています。

Eコマース事業者向けの総合支援サービスを行っている会社です。WEBの制作はもちろんWEB店舗の運営や販売促進活動の支援など幅広い事業内容が強みです。近年では日本郵政やヤマト運輸の自宅外受け取りサービスの提供などが注目されます。またベンチャービジネス向けの電子認証事業会社を買収し今期から連結対象としています。3Q時点で既に年間の会社予想経常利益を超過達成しており、上方修正が期待されます。株主優待にも前向きで、従来の年1回500円のクオカード贈呈が、今期より年2回（3月および9月末株主）1,000円のクオカード贈呈に拡充されました。また3月末株主への配当金が29円と、株価に対して魅力的です。

ジーエルサイエンス（7705）の子会社で、半導体製造用の石英部品の製造に特化している会社です。半導体業界の設備投資拡大や製品の精密化・微細化などによる付加価値上昇が加わり、企業規模が拡大しています。今期は半導体業界の調整で減益予想ですが、3Q決算ですでに年間予想の90％以上の進捗となっています。山形県に工場がある関係から、株主優待は山形産の高級サクランボが6月中旬から7月上旬に送付される予定です。3月末株主への予想配当金は70円です。

ホテル・ニューオータニの大谷氏が大株主となっています。送電用鉄塔や通信用無線鉄塔の製造・施工、架線金物等の製造を行っているメーカーです。富山と鹿沼（栃木県）に工場を有しており、北陸電力が主たる販売先となっています。送電線鉄塔の老朽化から、更新需要が活発なため業績は好調で、3Q時点で年間予想利益を超過達成しています。株主優待は100株以上の株主に、富山の地酒セット、那須の牧場由来のアイスクリーム、ホテル・ニューオータニのマンゴープリンなど5つのうちから1つ選択できる内容です。3月末株主へ予想配当金は30円です。

鮮魚の養殖業者向けの稚魚（主に真鯛）や飼料販売と自社による鮮魚の販売が2本柱です。今後は豊後水道でのマグロや鹿児島でのうなぎ養殖事業が注目されます。水産資源の枯渇から、今後は「捕る漁業」から「育てる漁業」へのシフトが進行するため注目されます。株主優待としては、3,000円相当の自社商品（うなぎのかば焼）または1,000円相当のクオカードが選択できます。3月末株主へ予想配当金は12円です。

※本ページでご紹介する内容は2020年3月6日現在のものであり、株主優待の内容等は変更になる可能性があります。