機関投資家の裏事情を知れば、先駆けできる
株式市場で個人投資家が意識せずにはいられないライバルが「機関投資家」です。個人投資家とは比べものにならない巨額な資金を運用し、経済ニュースなどでもその動向がよく報じられています。実際に、個別銘柄の株価やマーケット全体に大きな影響力を持っています。
個人投資家としては、資金面でも情報の速さや精度でも、常に機関投資家の後追いをしているような気分になってしまいます。
ところが、機関投資家にはさまざまな裏事情があります。それらを知り、その行動を先読みすれば、個人投資家は機関投資家に先駆けて儲けることも可能なのです。
「5%ルール」で動けない機関投資家
株式投資では株券等の大量保有の状況に関する開示(いわゆる「5%ルール」)といって、発行済み株式総数の5%を超える株を保有した場合は、そのことを報告する義務があります。その事実は、すぐに公表されます。これが、機関投資家の動きをしばっているのです。
5%ルールで、株を保有したことを報告してしまうと、投資先をその他の投資家に知られてしまいます。これは、機関投資家にとっては避けたいことです。
そのため、巨額の資金を運用する機関投資家は、時価総額が小さな中・小型銘柄に手を出さないことが多いのです。自らの買いで値段が上がり、売りで値段の下がる可能性もあるからです。機関投資家の場合、数字の基準で投資対象銘柄を選択していますので、一つの基準としては、時価総額で100億円という基準があります。
こうした、裏事情がわかれば、個人投資家は機関投資家に先駆けて仕掛けることが出来ます。機関投資家の動きを「先読み」して利益を上げましょう。
時価総額100億円間近の銘柄を探せ
機関投資家は、組み入れ候補の銘柄群(ユニバース)を作成します。その中から、投資する銘柄を探すのです。ということは、業績好調、株価堅調で成長性もあり投資妙味の高そうな銘柄があっても、時価総額が小さくて組入れ候補に入っていなければ、調べもしないのです。
だから、売買のタイミングは、業績が好調で株価が上昇局面にあり、時価総額で100億円に近づいているときです。機関投資家がまだ組入れ候補銘柄にしていないタイミングで個人投資家が先駆けて株を買うのです。
上昇局面が続き、時価総額が100億円を上回ってくると、中・小型株ファンドなどの機関投資家の組入れ候補銘柄に入ってくるのです。
機関投資家は、月次で組入れ候補銘柄を見直すことが多いので、月末時点の時価総額が重要になります。機関投資家が、リバランス(銘柄の入替え)を行うときに、新しい組入れ候補銘柄の中に、直近時価総額が100億円を超えた銘柄が入っていれば、株価が上がったから入ったはずなので、好業績、高成長などの何か買うべき理由があるはずです。そうすると、機関投資家のその銘柄への買いが相次ぐでしょう。
「先読み」できた個人投資家は、既に保有している銘柄の株価が機関投資家の買いによって順調に上昇していくのを眺めていればOKというわけです。個人投資家だからこそ出来る「先読み」です。
例) 夢の街創造委員会(2484)株価チャート(日足)
SBI証券投資調査部にて作成。当社ホームページ「チャート」より抜粋。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。