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米景気刺激策や経済正常化期待から主要通貨は上昇
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主要通貨は対円でまちまち。週初5日は、前週発表の米3月雇用統計や5日発表の米3月ISM(米供給管理協会)非製造業景況指数が好調で、投資家のリスク許容度が拡大した。6日、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期利上げは時期尚早との見方が改めて広がり、米長期金利が低下しドル・円は下押し。7日、3月開催分FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で、資産購入額縮小の条件を満たすには時間を要するのと記載があったが、市場の想定通りでドル・円の反応は限られた。8日、パウエルFRB議長のハト派的発言や、米国の新規失業保険申請件数が市場予想に反し増加したことから米長期金利が低下、ドルが売られた。週末9日、米3月PPI(生産者物価指数)が市場予想を上回り、主要通貨は買われた。
新興国通貨は対円でほぼ全面安。週初5日は、原油先物価格の下落を背景にロシアルーブルなどが弱含んだ。6日は、IMF(国際通貨基金)が中南米経済の成長率を引き上げたことなどが好感され、ブラジルレアルやメキシコペソなどが上昇。7日は米長期金利の上昇を受けて高金利の多い新興国通貨を売る動きが優勢となったが、8日は米長期金利の上昇が一服して円が買われたため、対円では軟調に推移する新興国通貨が目立った。9日、原油や金などの商品市況の軟調推移や、新型コロナ感染拡大への警戒感が新興国通貨の重しとなった。
為替
ランド・円は下落した。週初は米長期金利の上昇一服を背景にランドを買い戻す動きが広がったが、上昇ピッチの速さも意識されるなか、一時1ランド=7.60円と20年1月以来のランド高値を付けたことから利益確定目的のランド売りが上値を抑えた。週後半には南ア2月製造業生産が市場予想に反して減少したため南ア経済の先行き不透明感も広がり、ランド売りが強まった。週末は米長期金利が再び上昇したうえ、金先物価格の下落も嫌気され、さえない動きとなった。
債券
長期債利回りは低下した。米長期金利の上昇が一服し、南ア債券はリスクオンの買いが優勢となった。南アランド建て15年債利回りは前週末の11.07%から10.69%に低下して越週した。
為替
ドル・円は下落した。週初5日は、米3月ISM(米供給管理協会)非製造業景況指数が好調だったが、この日は安全通貨とされるドルが売られた。6日、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期利上げは時期尚早との見方が改めて広がり、米長期金利が低下しドル・円は下押し。7日、3月開催分FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で、資産購入額縮小の条件を満たすには時間を要するのと記載があったが、市場の想定通りでドル・円の反応は限られた。8日、パウエルFRB議長のハト派的発言や、米国の新規失業保険申請件数が市場予想に反し増加したことから米長期金利が低下し、ドル・円を押し下げた。週末9日、米3月PPI(生産者物価指数)が市場予想を上回り、反発した。
債券
短期債利回り、長期債利回り共に低下した。FRBの金融緩和策の長期化観測が改めて強まったことや、新規失業保険申請件数の増加などで米債券が買われ、米金利は低下した。ドル建て2年債利回りは前週末の0.16%から0.15%に低下、ドル建て10年債利回りは前週末の1.67%から1.66%に低下して越週した。
為替
ユーロ・円は上昇した。週初5日は、イースター休暇を受けて市場参加者が減少する中、欧州での新型コロナウイルスワクチンの接種遅れなどが懸念され、ユーロ・円は上値の重い展開となった。6日は、欧州株が上昇する中、ユーロ・円は堅調となった。7日は、手掛かり不足の中、ユーロ・円は方向感に欠ける展開となった。8日は、米長期金利の低下を受け、ユーロ・円も軟調に推移した。週末9日は、米経済指標が市場予想を上回った影響から、ユーロ買い・円売りが進んだ。
債券
短期債利回り、長期債利回り共に上昇した。英国などでロックダウン(都市封鎖)などの感染防止措置が緩和され、経済が回復するとの見方が強まり、利回りの上昇につながった。ユーロ建て独2年債利回りは前週末のマイナス0.71%からマイナス0.70%に上昇、ユーロ建て独10年債利回りは前週末のマイナス0.33%からマイナス0.30%に上昇して越週した。
為替
豪ドル・円は下落した。週初5日はイースターマンデーで豪市場が休場となる中、日米株高を背景に豪ドル買い・円売り優勢となった。6日、RBA(豪準備銀行)理事会で政策金利据え置き、量的金融緩和継続を決定。声明文で当面は利上げを行わないとのフォワードガイダンス(将来の金融政策の方針)も維持され、豪ドル・円は売りに傾いた。7日は前日にIMF(国際通貨基金)が豪経済成長見通しを引き上げたことを好感し、豪ドル買いが先行したが、その後、米長期金利が上昇し豪ドル売り・ドル買いが強まると、豪ドル・円もツレ安となった。8日は、米長期金利が低下し、豪ドル売り・円買いがやや一服。9日、豪政府が英アストラゼネカのワクチンに血栓を起こす副作用の恐れがあるため接種計画の見直しを進めていると伝わり、豪ドル・円は下値を探った。
債券
短期債利回りが横ばいだった一方、長期債利回りは低下した。RBAが当面の利上げを否定し、豪債券利回りは低下した。豪ドル建て2年債利回りは前週末の0.08%からほぼ横ばい、豪ドル建て10年債利回りは前週末の1.84%から1.76%に低下して越週した。
為替
NZドル・円は下落した。週初5日はイースターマンデーでNZ市場が休場となる中、日米株高を背景にNZドル買い・円売りが進む場面があった。6日は豪ドル・円の下落にツレ安となった。7日、米長期金利が上昇し、NZドル売り・ドル買いが強まると、NZドル・円もツレ安となった。8日は、米長期金利が低下し、NZドル売り・円買いが一服。9日は日米株高を背景に、NZドル・円は底堅かった。
債券
長期債利回りは低下した。14日にRBNZ(NZ準備銀行)理事会を控え、金融緩和継続への意識が強まり、NZ債券利回りは低下した。NZドル建て10年債利回りは前週末の1.82%から1.71%に低下して越週した。
為替
レアル・円はもみ合い。週初5日のレアル・円は上昇した。前週末に発表された強い米3月雇用統計を受け、投資家のリスク許容度が拡大した。6日は米金融緩和政策が長期化するとの見方からドルが軟化する中、レアルは堅調に推移した。7日はドルが買われる中、レアル・円の上値は重い展開。8日は、投資家のリスク許容度の高まりを受け、レアル・円は上昇した。週末9日は、ブラジルで政治混乱が起こるとの見方から、レアル・円は軟化した。
債券
短期債利回りは低下した。前週末に発表された強い米3月雇用統計を受け、投資家のリスク許容度が拡大、ブラジル債券が買われた。週末にはブラジルで政治混乱が起こるとの懸念からブラジル債券が売られる場面があった。ブラジルレアル建て2年物債利回りは前週末の6.74%から6.67%に低下して越週した。
為替
リラ・円は下落した。トルコのエルドアン大統領が金融緩和を志向するとされる中、トルコ中央銀行のカブジュオール新総裁は目先の利下げに対する思惑の払拭に努めるものの、市場ではトルコの金融緩和観測がくすぶり続けリラ・円は弱含んで推移した。週初発表されたトルコ3月CPI(消費者物価指数)はおおむね市場予想に近いものの高水準、トルコ3月PPI(生産者物価指数)は市場予想以上の伸びを示し、依然としてインフレが警戒される状況にある。
債券
長期債利回りは低下した。米国で経済活動正常化への期待が高まったほか、米金融緩和の長期化観測が改めて強まりトルコからの資金流出懸念が後退し、トルコ債券は買われた。ドル建てトルコ9年債利回りは前週末の6.51%から6.33%に低下して越週した。