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アナリストの視点〜(10)波乱相場を乗り切るには?〜日銀短観での業種選択!!

2020/4/2
投資情報部 長谷川 稔

当レポートは、一般投資家の皆さまにも、アナリストの分析手法の基本知識や考え方、さらにはノウハウを身につけていただく一助になればとの思いで執筆しています。毎回一つのテーマに関して、分析手法やその裏側に隠れている大事な意味などについて解説していきたいと思います。

第10回のテーマは、「日銀短観」です。「日銀短観」とは、日本銀行が年4回(3、6、9、12月)、景気の現状と先行きについて1万社近い企業に直接アンケート調査をし、その集計結果や分析結果をもとに日本経済を観測するものです。正式名称は「全国企業短期経済観測調査」です。略して「短観」とも呼ばれます。

調査では全国の企業を規模により大企業、中堅企業、中小企業の3つに、また製造業と非製造業の細かな業種に分類したうえで、業績や状況、設備投資の状況、雇用などについて実績と今後の見通しを聞きます。「短観」は回収率が99%前後と高く、調査の翌月初頭に公表される速報性が特徴で、景気動向を占ううえで重要な経済指標となっています。

アナリストにとっては、自分の担当業界の動向はもちろん、担当業界と関係の深い業界の動向を知ることもできます。また、ファンドマネージャーにとっては、セクターのアロケーション(投資銘柄の業種配分)を行う際の、重要な手掛かりの一つにもなります。

4/1(水)に「日銀短観」が3月の調査結果(調査期間は2/25〜3/31)を発表したばかりのタイミングでもありますので、今回は「日銀短観」からみた有望業種、悪化している業種を整理してみたいと思います。皆さまの投資のご参考になれば幸いです。

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1「日銀短観」の内容

4/1(水)の取引開始前、「日銀短観」(3月調査)が発表されました。全国9,653社の企業に景況感をアンケート(調査期間は2/25〜3/31)したものです。現時点での景況感について、「良い」とする企業の割合から「悪い」とする企業の割合を引いた業況判断指数は、大企業・製造業で「-8」となりました。これは12月調査時点での「先行き」予想である「0」から8ポイント悪化し、2013年3月調査と並ぶ低水準となりました。ただし事前の市場コンセンサス「-10」よりは若干上ぶれました(表1を参照)。

一方、大企業・非製造業の業況判断指数は「8」となりました。この数字は12月調査時点での「先行き」見通しである「18」からは10ポイント悪化しました。これも2013年3月調査の「6」以来の低水準となりました。ただし、これも事前の市場コンセンサス「2」よりは上ぶれの着地となりました。

業種別の変化では、大企業・非製造業の「宿泊・飲食サービス」の業況判断指数が「-59」と、前回から70ポイントも悪化したのが際立っています。この他、「対個人サービス」、「運輸・郵便」、「小売り」、「卸売り」などの悪化も目立ちます。いずれも新型コロナウイルスの影響で、インバウンド需要の減少、消費の萎縮が背景にあるとみられます。

一方、大企業・製造業では、「窯業・土石製品」を除く全業種が前回調査より悪化となりました。中でも、「繊維」、「鉄鋼」、「生産用機械」、「造船・重機等」の悪化が目立っています。中国の生産減速、需要業界の不振、設備投資意欲の減退などが背景と思われます。

なお、3ヵ月後の景況感を予想する「先行き」については、大企業・製造業が「-11」(市場コンセンサスは「-15」)、大企業・非製造業は「-1」(市場コンセンサスは「-10」)となり、悪化が予想されるものの、市場が懸念する程厳しくはなさそうという数字になっています。

数字だけをみれば事前予想に比べ、さほど悲観するほどでもない印象の「短観」になりました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によりもたらされるとみられる景気悪化の程度を、日本企業が読み切っていない可能性は大きいと考えられます。足元における世界の新型コロナウイルス感染者数・死亡者数は増加を続けており、日本でも感染爆発の兆しがみえています。場合によっては今後、緊急事態宣言が発動される可能性もあります。したがって「短観」自体の上振れは株式市場のプラス材料にはなりにくいと考えられます。

表1 「日銀短観(2020年3月調査)」

  • ※日本銀行の資料からSBI証券が作成。対象は大企業のみ。なお業種分類の「対事業所サービス」とは、デザイン業、広告業、労働者派遣業などを、「対個人サービス」は洗濯、理美容業、各種学校、介護事業などを示しています。

2「日銀短観」から見た好調業種は!!

それでは今後の銘柄選択のうえで、参考となりそうな個別業種の動きを「短観」からピックアップしてみましょう。

非製造業の中では、「情報サービス」が、12月調査時点での「先行き」見通しに対し、3月調査の数字が若干上振れる結果になっています。また、業況判断も「45」と全業種の中で一番良好な数字となっています。この他では「通信」も「14」で前回の「先行き」から上振れています。

この他では「建設」、「不動産」が前回の業況判断から若干の悪化になっていますが、高い水準で好調をキープしています。建築受注が東京五輪関連工事後も高水準で推移していることが背景ではないでしょうか。「物品賃貸」が好調を持続しているのは、建設向けの建機等のリース需要が好調なのが背景ではないでしょうか。

製造業の中では、「窯業・土石製品」が唯一前回調査から良くなった以外は、すべての業種が悪化となりました。特に「鉄鋼」、「非鉄金属」、「繊維」の悪化が目立っています。「窯業・土石製品」の好調は「建設」の好調が関係しているように思われます。また、下方修正とはなっていますが、「食品」、「紙・パルプ」がプラスを維持している点が注目されます。この2業種には新型コロナウイルス感染に伴う仮需の発生がプラスに作用している可能性があるのではないでしょうか。

以上の結果から、今回の「日銀短観」から見た、相対的に好調な業種として、「食品」、「紙・パルプ」、「建設」、「物品賃貸」、「通信」、「情報サービス」の6業種をピックアップしてみました。

下の表2は、これら6業種の代表的な銘柄(主に企業規模を参考に)をピックアップしたものです。

表2 【ご参考】「日銀短観」から浮上した銘柄群(例)

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 業種 株価(円)
4月1日
PER
(倍)
3861 3861 3861 3861 王子ホールディングス 紙・パルプ 552 9.1
3863 3863 3863 3863 日本製紙 紙・パルプ 1,485 13.2
3880 3880 3880 3880 大王製紙 紙・パルプ 1,446 11.4
2871 2871 2871 2871 ニチレイ 食料品 2,919 19.5
2875 2875 2875 2875 東洋水産 食料品 5,100 24.8
2897 2897 2897 2897 日清食品 食料品 8,830 35.4
1801 1801 1801 1801 大成建設 建設 3,175 6.2
1812 1812 1812 1812 鹿島 建設 1,058 5.7
1820 1820 1820 1820 西松建設 建設 1,987 6.2
8591 8591 8591 8591 オリックス 物品賃貸 1,283 5.4
9437 9437 9437 9437 NTTドコモ 通信 3,155 18.0
4307 4307 4307 4307 野村総研 情報サービス 2,159 20.2
4739 4739 4739 4739 伊藤忠テクノソリューションズ 情報サービス 2,952 25.3
9613 9613 9613 9613 NTTデータ 情報サービス 999 15.2
  • ※ブルームバーグ、会社資料等よりSBI証券が作成。なお個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

【アナリスト今昔物語】 昔の会社取材、決算説明会(2)

前号でもご紹介したとおり、1995年以前の事業会社は、ほとんど決算説明会を開催していませんでした。したがって、アナリストが取材をしたい場合は、個別にアポイントを取って、いわゆるワンオンワンのミーティングが主流でした。事業会社の中には、取材を受けてくれない会社も結構存在していました。情報開示(ディスクロージャー)に対しての姿勢がさほど重要視されなかった時代背景があります。

また、現在と違って企業にIR部門などない時代ですから、経理担当の部課長、場合によっては取締役といった方たちが取材の窓口となっていました。それに対してアナリストは、当時はどこの会社でも20代半ばから30代前半までの年齢層がほとんどでした。これはアナリストが専門職としてまだ定着していなかったため、管理職になるとアナリスト職から離れることが多かったためです。アナリストの担当業種は2〜3年サイクルで変更されることが多かったように記憶しています。そうしてたくさんの業種を経験して、その中の何人かがリサーチの管理職として残るというのが当時のジョブローテーションでした。

したがって取材とはいっても、先方は相当年上のベテランの社会人かつ経理・財務のプロフェッショナルな方たちで、アナリスト側は若手社員というコンビネーションが普通でした。このためアナリストはその事業会社のことや会計の実務を相当勉強していかないと、相手の方によっては、「なんだそんなことも知らないのか?」などと、かなりお叱りを受けることがありました。このため初めての会社を訪問する時には、かなり緊張した記憶があります。

ところで当時は証券会社の社会的地位が現在と比べてかなり低い時代でした。したがって証券会社でなく「株屋」という蔑称で呼ばれたこともありました。いまでも忘れられない思い出として、バブル景気の匂いがし始めてきた1987年ごろ、ある金属関係の企業を初めて訪問した時、経理担当重役から言われた言葉があります。「おまえら株屋は何にも物作ってないくせに、なんでそんなに儲かってるんだ。こっちは円高不況で大リストラしてるんだ。本当にお前らの会社には火つけたくなるわ!」と言われ、真っ青になった記憶があります。

最近はほとんどすべての会社が決算説明会を行ってくれます。会社側から説明資料が用意されていますし、さほど予習をしなくても会社側からプレゼンが行われるので、取材が大変楽になった印象があります。アナリストに対する事業会社の姿勢が、昔の「教えてやる」から、大きく変化しています。もっとも多くのセルサイドアナリストは、担当している重要な会社については、説明会とは別に個別取材を行い、説明会では聞けないような細かい数字や、自分の聞きたい質問を行いフォローアップしていることを付け加えておきます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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