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アナリストの視点〜(2)キャッシュフローは企業の生命線!!

2019/11/14
投資情報部 長谷川 稔

早速ですが10/31(木)に発行した「あなたもアナリストになれる」と題したレポートを「アナリストの視点」に改名させていただきます。よりお客さま目線に立ったレポートにしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

前回も申し上げたことですが、当社の国内株の銘柄スクリーニング(銘柄条件検索)機能が9/28(土)から大幅にリニューアルされ、バージョンアップしました。大量の決算データや財務分析がクリック一つですぐ閲覧可能になりました。このツールを使えば、一般投資家の皆さんもアナリストと殆ど同じ土俵で勝負することができると思います。

当レポートは、一般投資家の皆さんにも、アナリストの分析手法の基本知識や考え方、さらにはノウハウを身につけていただく一助になればとの思いで執筆しています。毎回一つのテーマに関して、分析手法やその裏側に隠れている大事な意味などについて解説したいと思います。あわせて当社のスクリーニング機能を使って、そのテーマにちなんだ銘柄を実際にスクリーニングしてみたいと思います。

第2回のテーマは、「キャッシュフロー」です。キャッシュフローは企業の生命線といってもよい大事な要素なのですが、案外ないがしろにされている印象があります。スクリーニングでは意外な銘柄も浮上してきました。ぜひご一読ください。

1キャッシュフローは企業の生命線!!

「キャッシュフロー」は簡単に言えば現金の出入りのことです。前回の「売上高は質が重要」のレポートで述べたように、売上高は必ずしも現金の入金とは限りません。現時点で100万円の商品を販売し、代金回収は6ヵ月後に約束するという方法で販売した場合、現金収入(キャッシュインフロー)は発生しませんが、売上は立つことになります。すなわち、売上高が増え会計上の利益は増加しても、現金による売上高でない場合(売掛金の増加など)は、企業のキャッシュ(現金)が不足する事態も発生します。とりわけ起業初期の会社にとって、キャッシュフローは極めて重要な意味を持っています。

また、生産設備に莫大な投資を必要とする装置産業(鉄鋼や石油化学など)の場合は、減価償却費が大きいため、設備投資の終了後には、会計上の利益以上にキャッシュが入金している場合もあります。こうした企業は会計上は赤字に陥っても、キャッシュフローは黒字ということがよくあります。機械装置などに多額の投資をする場合、例えば初年度に10億円の機械装置を購入しても、会計上の費用として計上するのは10億円ではなく1億円だけで、残りは毎年分割して費用計上することがあります。これが「減価償却費」です。すなわち、2年目以降は毎年1億円の減価償却費が発生するものの、現金支出(キャッシュアウトフロー)の1億円は発生しません。むしろ、この機械装置を使って生産し、販売した製品から得られる現金収入が伴う形になります。

下に簡単な例をあげてみます。

同じ売上高1億円の商社Aと鉄鋼会社Bの場合の損益計算です。

<商社Aの場合>
売上高1億円−商品仕入れ代金8,000万円−諸経費1,000万円=利益1,000万円

<鉄鋼会社Bの場合>
売上高1億円−製品製造原価8,000万円−諸経費1,000万円=利益1,000万円

いずれも会計上の利益は1,000万円で同じですが、商社Aの売上高に1,000万円の掛け売り(代金後払い)が含まれている場合、キャッシュフロー=現金収支は±0円となります。

逆に鉄鋼会社Bの場合、新たな設備投資が無く、製造原価の中に減価償却費3,000万円が含まれている場合、キャッシュフローは利益の1,000万円と減価償却費(非現金支出)の合計の+4,000万円となります。逆に大型の設備投資5,000万円を実行した場合は、キャッシュフローは−1,000万円となります。

以上のように、キャッシュフローを大きく左右する要因としては、上の例で挙げた(1)売掛債権の増減、(2)減価償却費、(3)設備投資や企業買収などの投資、以外にも(4)無形固定資産の償却(わかりやすく言えば買収した企業ののれん代償却)などがあります。

こうしたキャッシュフロー計算書は、本決算と中間決算の2回、企業側から決算発表時に公表されます。決算短信の損益計算書の後に掲載されていますので、興味のある企業の資金繰りを実際に確かめることができます。ぜひ、実際に企業の資金繰りをご自分の目で確かめてみてください。

2キャッシュフローによる銘柄選び

それでは、キャッシュフローの概念を使って銘柄をピックアップしてみましょう。もっともよく使用されるのがPCFR(Price Cash Flow Ratio)です。これは売掛債権等の計算が面倒なため、簡便的に税引き利益に減価償却費を加えたものをその企業のキャッシュフローとみなします。株価をこのキャッシュフローで割ったものがPCFRになります。

ご存じのようにPER(Price Earnings Ratio)は、企業の株価が1年間の利益の何倍に相当するかを表します。逆に言えばその企業を買収した時に、買収資金をその企業の利益で何年かかって回収できるか、ということです。一方、PCFRは買収した資金をその企業のキャッシュフローで何年かかって回収できるかの指標です。

このため、会計上(表面上)の利益は大きくなくとも、減価償却費の大きい会社が浮上する特色があります。また、国際比較をするときに各国の減価償却の方法や基準がまちまちなため、PCFRを使ったほうがより正確な比較をできるメリットが出てきます。

それでは当社のWEBサイトのスクリーニング(銘柄条件検索)機能を使って実際に銘柄を抽出してみましょう。今回は非常に簡単です。WEBサイトでログイン後、「国内株式 銘柄スクリーニング」に飛びます。ここで「スクリーニングはこちら」をクリックすると、検索画面が現れます。今回は、PCFRの割安な銘柄を調べたいので、左側の最下段にある、「詳細条件」の「+検索条件を追加」をクリックします。

クリックすると別画面で財務、コンセンサス、株価パフォーマンス、テクニカル、その他の合計5つの条件設定タブが現れます。その中の「財務」のタブに「PCFR(株価キャッシュフロー倍率)」があるので、これを使います。四角のチェック欄をクリックし、下側の「適用」ボタンを押します。すると前年度実績の全銘柄3531社のPCFRが表れます。

割安な銘柄をピックアップしたいので、左側最下段にあるPCFRの分布数字(0.76倍〜1162.81倍)の1162.81の代わりに1.5を入力してやります。PCFRが1.5倍以下の企業数が26社に絞り込まれました。銘柄はコード番号順に並んでいるので、PCFRの高い順番に並び替えてみましょう。そのためには上段右横に「PCFR」のコラムがあります。これをクリックすると1回目が昇順、2回目が降順に並び替えられます。

  • (注)社数および分布数字は11/12(火)時点です。株価更新および決算発表が行われるたびに数字は変化します。

昇順で並び替えると、答えが出てきました。日本パレットプール(4690)の0.76を筆頭に、PCFRの低い順に26銘柄が抽出されました。ただしこの中には前年の税引き利益が特別利益の計上などで、実態以上にかさ上げされている企業が、個別チェックで8社ほどありましたので、それを除外した18社が下の表1です。PCFRで1倍という企業は、仮にその企業を買収した場合、投下資金をたった1年で回収できるということになります。言い換えれば、PCFRは企業買収を考える場合の重要な指標なわけで、被買収企業としての注目度も高いわけです。

表1の企業群の特徴ですが、やはり減価償却費の大きい企業が多くなりました。またPBRがすべて1倍割れとなっています。またPERも10倍以下の企業が多くなっています。したがって成熟産業に属する企業が多く見受けられます。ただし、これら企業の現金創出力は株価に比べ高いと思われます。仮にこれらの企業で減価償却方法の変更があった場合(負担が軽減する定率法から定額法へなど)、会計上の利益が急増する可能性も指摘できます。

表1 キャッシュフローレシオが低い銘柄はコレ!?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価
(円)
10月12日
PCFR
(倍)
PER
(倍)
前期の
税引利益
(百万円)
前期の
減価償却
(百万円)
4690 4690 4690 4690 日本パレットプール 2,520 0.76 9.4 224 2,618
6627 6627 6627 6627 テラプローブ 809 0.80 7.2 1,038 7,340
9115 9115 9115 9115 明治海運 350 0.88 5.6 2,049 10,515
4669 4669 4669 4669 ニッパンレンタル 692 0.90 10.1 156 1,665
5852 5852 5852 5852 アーレスティ 576 0.90 35.4 421 16,011
7273 7273 7273 7273 イクヨ 1,236 0.90 3.8 501 1,617
9130 9130 9130 9130 共栄タンカー 1,474 0.90 5.0 1,137 5,127
3422 3422 3422 3422 丸順 673 1.01 3.4 2,300 5,027
9501 9501 9501 9501 東京電力HLDG 503 1.06 3.5 232,414 541,805
9509 9509 9509 9509 北海道電力 551 1.13 5.4 22,357 90,172
5989 5989 5989 5989 エイチワン 767 1.16 5.3 3,002 14,841
7214 7214 7214 7214 GMB 819 1.19 18.9 226 3,565
6493 6493 6493 6493 日鍛バルブ 272 1.24 9.7 809 4,714
3347 3347 3347 3347 トラスト 209 1.27 15.0 361 3,766
7815 7815 7815 7815 東京ボード工業 1,219 1.35 32.6 95 3,108
7215 7215 7215 7215 ファルテック 890 1.42 8.0 1,038 4,093
7254 7254 7254 7254 ユニバンス 301 1.46 6.7 935 3,748
5202 5202 5202 5202 日本板硝子 662 1.48 5.8 13,287 28,312
  • ※当社WEBサイトの「スクリーニング(銘柄条件検索)」よりSBI証券が作成。

アナリスト今昔物語;いつからアナリストが重用されるようになったか?(その2)

この欄ではアナリストとして活動してきたうえでの、業界の裏話、面白かった経験などを綴ってみることにしました。

前回は外資系証券会社の日本市場への大量進出で、一気に証券アナリストの地位が確立したことをご紹介しました。それ以外にも時代背景の変化も大きかったというのが今回のテーマです。それはバブルの崩壊です。日経平均は1989年末に38,915円の高値をつけましたが、その後は1999年から2000年にかけてITバブルで相場が一時的に持ち直すこともありましたが、これも結局は長くは続かず、日経平均は2003年4月に7,607円まで下落しました。

バブル時代までは大手証券会社が会社ぐるみで特定の銘柄を推奨したり(ストーリー営業)、時価総額の大きく流動性が高い電力、鉄鋼、重工業の株式などが物色の中心となりました。したがってアナリストの出番はあまりなかったといってもよかったと思います。またコンプライアンス、ファイアーウォールなどの概念も希薄な時代でしたから、アナリストが「売り推奨」のレポートを書くことはほぼ不可能でした。

運用サイドも当時は、死語となっていますが、「特金(特定金銭信託)」という運用が大流行した時代です。これは信託銀行にお金を預け管理してもらうのですが、既に保有している株式とは簿価を切り離して、お金を預ける法人(委託者)の指図で有価証券への投資ができる仕組みです。当時は株式持ち合いが盛んだった時代なので、古い含み益のある株式の利益を吐き出すことなく、資金が運用できる節税メリットがありました。またその資金調達の手段としてバブル時代には企業が公募増資で株式市場から資金を集めるのが流行しました。公募増資は発行済み株式数が増え、希薄化を招くため、現在は多くの場合株価の下落要因となります。しかし当時は逆に主幹事証券の営業努力によって株価を上昇させるからとの思惑で、逆に株価の上昇要因と解釈されることが多かったのです。

こうした過剰流動性の上に成り立っていた株式バブルが崩壊し、企業の実態価値と株価がリンクするようになって、初めてアナリストの存在価値がクローズアップされてきたように思います。また、資金の出し手として、外国人投資家の存在が相対的に急浮上したことも相まって、証券会社の営業姿勢もアナリストの推奨を基本とした形に変化してきたように感じます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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