米国現地28日(木)、29日(金)の米国株式市場は値動きが大きい展開でした。28日はメタ プラットフォームズ(フェイスブック)の決算内容が好感されてS&P500指数(以下、S&P500)とナスダック総合指数(以下、ナスダック)はそれぞれ2.5%高、3.1%高の大幅高になりましたが、29日はアマゾン ドット コムの業績見通しが嫌気されたことやアップルがサプライチェーンの制約で4-6月の売上高に与える悪影響が最大80億ドルになる可能性を明らかにしたことなどから、S&P500は3.6%安、ナスダックは4.2%安になりました。特にナスダックは52週安値を更新するとともに昨年11月の高値から見て2割以上の下落、いわゆる弱気相場に入りました。VIX指数も33.4と30を超えており、地合いの悪さが感じられます。
4月の月間騰落率ではS&P500が8.8%安となり2020年3月以来、ナスダックは13.3%安で2008年10月以来のパフォーマンスの悪さになりました。主力ハイテク5社(GAFAM)の決算を受けた株価の動きを見ると、マイクロソフトとメタ プラットフォームズは株価が上昇して好感されましたが、アップルやアルファベット A(グーグル)、アマゾン ドット コムは株価が下落しました。株価の動きを見る限り、ややネガティブな印象があります。
ここ1ヵ月の米国株式市場の株価下落要因は、①米金融当局による積極的な利上げ懸念、②中国上海のロックダウンによるサプライチェーン制約や景気減速懸念、③ロシア、ウクライナ問題の長期化懸念、などが挙げられます。
①に関しては5月3-4日にFOMCがあり、政策金利の0.5%ポイントの引き上げが見込まれています。利上げが予想通りにとどまれば一旦株式市場は落ち着きを取り戻す可能性があります。FOMCの後にはパウエルFRB議長の記者会見もありますので、資産圧縮計画などの発言内容も合わせて注目されそうです。
②に関しては4月30日に発表された中国の4月製造業購買担当者指数(PMI)が前月より2.1ポイント低下して47.4になりました。好不況の分かれ目である50を2ヵ月連続で下回っています。中国は5月4日まで祝日で中国本土株式市場が休場になるため、PMIを受けた中国株の反応をすぐには確認できませんが、ネガティブな印象は払拭できないと思われます。
③に関してはロシアが5月9日の対独戦勝記念日になんらかのアクションを起こすかどうかが注目されます。一部報道ではロシアが開戦を宣言して、大規模動員に乗り出す可能性も報じられています。
今週の日本株は、ゴールデンウィークを挟み営業日数が少ない中、前述のFOMCがあるほか、米国現地6日には米雇用統計も控え、ポジションが取りにくく、イベント待ちの神経質な展開になる可能性があります。従って方向感が出るのは早くて来週以降と言えそうです。
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