4/22(金)の米国株式市場では、NYダウが前日比981ドル安し、大幅続落となりました。その理由としては、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、(次回のFOMCで)0.5%の利上げを示唆したことに加え、その後も「速いペースで動くことが適切だ」と述べ、急速・大幅な利上げが景気減速・後退を招くと懸念されたためと説明しています。
この見方については、おおむねその通りではあるものの、一部注意すべき点がありそうです。特に、次回FOMCで0.5%利上げされる可能性については、短期金融市場が予想していた確率が4月下旬頃から90%を上回っており、すでに織り込み済みとなっていたと考えられます。それどころか、すでに0.5%の利上げが年内3〜4回あるというのが市場コンセンサスであり、特に新しい観点ではなかったという点です。
ただ、市場では、FRBの利上げについて「フロントローディング(最初に重点的に行う)」の方向性が指摘されています。現在、短期金融市場では、6/15(水)に結果発表のFOMCにおいて、政策金利上限(現行は0.5%)が1.75%になる確率が76.7%とされ、5月0.5%利上げを加味すると、このFOMCでは0.75%利上げされる可能性がコンセンサスになっていると見受けられます。
「0.5%」が意外だったのではなく、「0.75%」利上げされるFOMCも意識され始めたことが警戒されたと考えられます。
より本質的には、インフレ・金利上昇と景気減速・後退が並行するスタグフレーションの可能性が強まったことが、株価下落の背景であると考えられます。4/21(木)にはフィラデルフィア連銀製造業景況指数(4月)が市場予想を下回り、3月から低下しました。4/22(金)に発表の米国総合PMIでは価格指数が上昇し、景況感が市場予想を下回ったことが確認されています。今後、景況感の悪化を示唆する材料がさらに続き、スタグフレーション懸念を強めないか否か、注意が必要になりそうです。
なお、4/24(日)実施の仏大統領選挙では、現職のマクロン氏の当選確実が報じられています。事前には市場やメディアの一部で、反NATOを掲げる極右のルペン氏が当選する可能性も残っていることが懸念され、同氏当選の場合は株価急落の可能性が指摘されていました。直前にはマクロン氏の支持率が回復傾向であったため、警戒感は後退していたとみられるものの、市場の一部には事前に持ち高を整理した向きもあったとみられます。4/22(金)の株価急落の要因は、利上げに関する懸念だけではなかった可能性もありそうです。
4/25(月)午前の東京株式市場では、日経平均株価が一時600円超も下げる展開になっています。前週末にかけて米国株が続落した流れを引き継いだとみられます。当面は4/12(火)取引時間中安値26,304円、チャート上の窓埋め水準に相当する3/16(水)取引時間中高値25,824円等が下値支持ラインになりそうです。
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