週明けの日本株式市場は大きく下落しました。日経平均株価の下げ幅(前週末比)は最大536円まで拡大し、終値も453円安と3営業日続落となりました。株価下落の要因は以下の通りであると考えられます。
(1)新型コロナウイルスの感染再拡大、内外景気に対する不透明感の強まり
新型コロナウイルス新規感染者数は、「デルタ型」への置き換えが進み、内外で再び拡大が加速。経済回復シナリオに動揺を与えています。
(2)米国の「ミシガンショック」
米国消費者心理の強弱を示唆する「ミシガン大学消費者信頼感指数」(8月)が予想を大きく下回り、前月比として10%を超える「驚くべき下げ」となりました。新型コロナウイルスの感染再拡大による景気不透明感が主因。今回を除き、同指数の10%超の下げは第2次オイルショック時を含め、過去5回のみとなります。
(3)アフガニスタンでタリバン政権が復活
過激なイスラム原理主義組織で、欧米諸国から国際的なテロ活動との関係も指摘される「タリバン」が、アフガニスタンの首都カブールを陥落させました。同組織は1996〜2001年にアフガニスタンを支配していたこともあるので、復活することになります。米国内では、サイゴン陥落の「二の舞」になったとして、バイデン政権を批判する声も出ているようです。同地域からアメリカの勢力が失われ、地政学的リスクがさらに深まる可能性も指摘されます。
(4)決算発表シーズンの終了で、材料出尽くし感
上場企業の2021/4〜6期決算発表は、8/13(金)までで、ほぼ一巡しました。多くの企業の収益が事前の市場予想を上回り、通期見通しの上方修正を発表する企業も見受けられました。8/16(月)は決算発表の一巡により、好材料に出尽くし感が強まりやすいタイミングであったと言えます。
(5)テクニカル的な要因による下げの加速
8/16(月)の日経平均株価始値は27,806円であり、25日移動平均(27,892円)を下回っていました。取引開始段階から、日経平均株価が短期相場の強弱感を左右する移動平均線を下回ってきたことで、リスク回避のヘッジ売りを増幅させた側面もありそうです。ちなみに、「一目均衡表」では、取引開始段階から「転換線」を割り込み、弱気マインドが増幅しやすい状態でした。
以上から、日経平均株価は当面、不安定な展開となりそうです。日経平均株価は短期的に、7/30(金)の27,283円を安値に、下値を模索することになりそうです。特に(3)については、目新しい材料のように思われますが、すでに米国や中国、ロシアなどが、昨年以降、交渉相手をタリバンとしていた経緯があり、今回は必然の結果であった可能性もあります。「アフガニスタンにタリバン政権が復活」が、「リスク要因」になったのでなく「前提条件」に変わったということであり、短期的には、株式市場への織り込みが早い可能性があります。ただ、2022年の米中間選挙で「火種」になる懸念は残りそうです。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。