東京株式市場では波乱の動きが続いています。3月第2週の日経平均株価は前週末比3,318円(16.0%)下げ、下落幅としては過去最大を記録しました。週足としては5週連続の下落となり、1/20(月)に付けた昨年来高値24,083円51銭からの下落率は27.6%に達しました。3/13(金)には一時16,690円60銭と、2016/11/10(木)以来の安値水準まで下落しました。新型コロナウイルスの感染拡大や原油相場の波乱等を背景に、世界的に株価が波乱となった流れに翻弄されました。特にNYダウは3/9(月)および3/12(木)に2,000ドルを超える下げ(後者は過去最大の下落幅)となりました。
3/9(月)のNY市場では、原油生産国の協調減産体制が壊れ、原油先物相場が急落するという衝撃も加わりました。原油先物相場(WTI)は結局、3/6(金)の1バレル41ドル台が3/9(月)には一時30ドルを割り込む急落となりました。市場では、これを「逆オイルショック」と表現する向きも出ています。「新型コロナウイルス」と「逆オイルショック」のダブルパンチを受け、株式市場は世界的な波乱となった形です。
新型コロナウイルスについて、世界の感染者数は2月第2週に前週比93%増とピークとなる増加率を記録した後、第3週は16%増、第4週は10%増と鈍化していました。しかし、3月第1週の増加数は前週比19%増、第2週は30%増と再び勢いを増しています。おもな感染拡大国としては、2月は中国が中心でしたが、3月はイタリアなどの欧州各国での感染拡大が目立っている上、死亡者数も再び増加が加速する傾向にあります。3月第2週は、3/11(水)にWHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を宣言した他、3/13(金)には米国が非常事態宣言を発するなど、世界的な対応が進んだ1週間でもありました。
こうした中、世界最大の経済大国である米国での感染拡大が本格化し始めたことで、新型コロナウイルス流行の問題は新たなステージを迎えた可能性があります。同国での感染者数は2月末時点では62人で死亡者はありませんでしたが、3/15(日)時点の感染者数は2,174人、死亡者数は41人まで増えています。特にワシントン州やNY州での感染者数が多くなっているようです。そうした中で、米国では3/13(金)にトランプ政権が非常事態宣言を発し、本格的な政策対応を開始しました。また、FRB(米連邦準備制度理事会)は3/3(火)に0.5%、3/15(日)に1.0%の緊急利下げを行い、金融政策として打てる手は打った形となりました。NYダウは非常事態宣言に対しては「買い」で反応しましたが、FRBの金融政策に対しては「売り」で反応しました。金融政策はやや出尽くしに近づいた感があるようです。
また我が国でも、3/16(月)に日銀が金融政策決定会合を前倒し開催し、金融緩和の強化を決定しました。マイナス金利の深掘りは見送られましたが、ETFおよびREITの買い入れ目標額は倍増となりました。これらが発表された直後、日経平均株価は買い優勢となる場面もありましたが、その後は売り優勢となりました。結局、この日の日経平均株価は前週末比429円01銭安の17,002円04銭で大引けを迎えました。
株式市場が落ち着きを取り戻すまでには、あともう少し時間が必要とみられます。新型コロナウイルスの感染拡大が米国で本格化しているためで、同国が落ち着きを取り戻し、ウォール街への影響が限定的であると確認されることが、株価安定の条件になると考えられます。ただ、株式市場が新型コロナウイルスの感染者数と連動することは必ずしも正しい姿ではないと考えられます。また、日経平均株価の騰落レシオがすでに過去最低となっていることに加え、RSIや25日移動平均線からのマイナスかいり率もリーマンショック級になっています。また、3/13(金)安値時点での日経平均株価のPBRは0.80倍と、リーマンショック後の最低水準である0.81倍を割り込んでいます。今回の株価下落による日経平均株価の各種指標はすでに、リーマンショックや東日本大震災後と並ぶ数字になっており、その意味で、日経平均株価はボトム圏に入っているとみられます。
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