各中央銀行の金融政策の方向性 |
6月以降、各中央銀行による金融正常化に向けた動きが活発化。カナダ中央銀行が2回利上げに動いたほか、米連邦準備理事会(FRB)は6月に利上げした後も、年内の追加利上げのタイミングを計っている。また、欧州中央銀行(ECB)は年明けからテーパリングを実施するかどうかの議論を10月の理事会から開始するとの観測。そして、足元では、イングランド中央銀行(BOE)のカーニー総裁が早期の利上げを示唆する発言を残している。一方、オーストラリア、ニュージーランドからは利上げに対する慎重な発言がみられる。各国(先進国)の金融政策のスタンスは大きく分けると以下の通りとなろう。
■利上げに動いている国・地域
アメリカ、カナダ
図1 直近1年の米ドル円(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
図2 直近1年のカナダ円(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
利上げを検討している国・地域:英国
図3 直近1年のポンド円(日足チャート)
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金融緩和縮小を検討している国・地域:欧州
図4 直近1年のユーロ円(日足チャート)
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金融政策の現状維持:オーストラリア、ニュージーランド、日本
直近1年の豪ドル円(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
図6 直近1年の豪ドル円(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
日本銀行は「金融政策の現状維持」の方針を打ち出していることから、オセアニア地域と同じようなカテゴリーと考える。日銀内では、「ETF買入れ枠の減額」「国債買入れ枠の減額」といった話や出口論などが話題となっているとの話だが、黒田日銀総裁の任期期間(2018年4月上旬)は「金融政策の現状維持」が今のところ見込まれている。
金融政策と各通貨のトレンドを解析 |
これらの金融政策を踏まえて、対円での為替動向を確認してみると下記のようなトレンドが確認できる。
○円安基調が強まっており、数年前の円安水準を上回っている通貨(明確なトレンド)
ユーロ、ポンド、カナダドル、オーストラリアドル
○明確な方向性が確認しにくい通貨(トレンドレス)
ニュージーランドドル、USドル
上記の2つに分けられると考える。オーストラリアはニュージーランド同様、金融政策の方向性は「現状維持」だが、原油価格の回復なども影響したことが要因となり、オセアニア通貨の動きに違いが見られていると想定。一方、USドルはカナダドル同様、利上げを進めている通貨だが、当初想定されていた利上げのスピードよりも遅くなっている点が、トレンドレスの要因となっている。また、トランプ政権による政策実行能力に対する不透明感が高まっていることも影響している。政策に対する期待感が高まりにくいことから、米10年債利回りは低迷。日米金利差が拡大しないことからドル買いが手控えられているというロジックである。
ドル・円は110円台で推移しており、15年6月につけた1ドル125円水準と比べると15円も円高となっている。一方、日経平均は20,000円台回復と強い動きがみられる。日本株は企業の為替対策が進んだことなどから円高に対する耐性がついたことが挙げられる。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ実施を見込む声はほとんど聞かれない。12月のFOMCでの利上げ実施はポイントだが、既に市場では2018年に何回の利上げが実施できるかに注目が移っているように思える。複数回の利上げ実施が見込まれているが、利上げが実施できる環境作りはトランプ政権の運営状態も大きく影響しそうだ。また、次期日銀総裁同様、次期FRB議長の人選も注目点となろう。
図7 直近1年のドル円・日経平均の比較チャート
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
国内政治動向にも動き「月内解散風」が強まる |
そして、日本では衆議院解散の話が急浮上しており、9月下旬解散、10月にも衆議院選挙が行われるとの流れが強まっている。国政選挙で無類の強さを発揮している安倍政権が、勝利すれば、長期安定政権構築を材料に外国人投資家が日本株買いを入れる可能性はあろう。足元の水準から日本株買いを手控えている外国人投資家が買いで動くと、日経平均はアベノミクス後高値を更新するシナリオもある。その際、手っ取り早く225先物もしくはTOPIX先物を買うとの公算が大きく、衆議院が解散したタイミングで思惑買いを入れる可能性がある。外国人投資家の動向には注視したいところだ。外国人投資家による日本株買いが再開した際、225先物は年初来高値を通過点にアベノミクス相場の高値(取引時間ベースでは15年6月24日の20,950円)に迫ると考える。
図8 直近5年の日経平均(週足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
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