日本が大型連休中、米国では重要な経済指標である4月の米雇用統計が発表された。そして、週末にはフランス大統領選挙の決選投票が実施された。ともに日本株にはポジティブな材料として受け止められ、日経平均は年初来高値を更新。心理的な節目の20,000円に迫っている。今後、どのような展開を想定しておけばいいか。ドル・円相場次第では20,000円を通過点に次のステージに移行することも考えられるが、なぜそう言えるのか詳しく見てみたい。
米雇用統計とフランス大統領選挙を無事に通過 |
まずは4月の米雇用統計の内容を確認したい。4月の米雇用統計では、失業率が4.4%と市場予想(4.6%)、前月(3月:4.5%)比ではともに改善。10年ぶりの低水準となったほか、非農業部門雇用者数も前月比+21.1万人と予想(同+19.0万人)、3月(同+9.8万人から同+7.9万人に下方修正)をともに上回った一方、賃金の伸びを示す平均時給は前年比+2.5%と市場予想(同+2.7%)、3月(同+2.7%から+2.6%に下方修正)をともに下回った。この発表後、為替市場では、ドル・円はドル高円安が進む場面も見られたが、小幅な動きに留まり5月4日以来となる113円台回復とはならなかった。
しかし、6月13-14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ実施はほぼ確実との見方が強まっている。米利上げの確率を数値化しているCMEが算出するFF金利先物(Fed Watch)では、雇用統計発表の前後で、6月利上げを予想する割合が71.8%から78.5%と約7ポイント上昇。市場では6月利上げをほぼ織り込みつつあるといえよう。
昨年11月以来の水準まで低下していた米国10年債利回りも足元2.3%台半ばまで戻している。3月の中旬には2.60%台に乗せていたことを考慮すると、足元の為替市場で、ドル・円の反発が弱いのも仕方ないか。アジアやシリアでの地政学リスクが高まったことや、トランプ政権に対する政策期待が3月時点より低下していることなどが、米国10年債利回りのさえない推移の背景にあると考える。トランプ政権のハネムーン期間が終わったことで、今後は政策実行能力が試されることから思惑先行の米国10年債利回りの上昇、そして、ドル高円安は難しくなる可能性。ただ、週末には米下院でオバマケアの修正法案が4票差で可決されるなど、今後は政策実行に伴い米国10年債利回り上昇及びドル高円安が進行するかが焦点。
一方、フランス大統領選挙の決選投票に関しては、市場の想定通り、親EU派のマクロン候補が勝利した。薄商いで値が飛びやすい月曜日の朝方の為替市場では、ユーロ・円が124円台半ばまで上昇する場面がみられた。得票率はマクロン候補が65%で、ルペン候補が35%となった。マクロン次期大統領が国内経済の持続的な成長に寄与する政策を打ち出すことができれば、欧州中央銀行(ECB)は18年前半にも金融緩和策の解除を開始するとの見方が浮上。ユーロは円を含む主要通貨に対して強い動きを示す可能性がある。その場合、ユーロの為替感応度の高い銘柄が上昇する事が予想される。
図1:直近1年のドル円(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
国内では決算発表が本格化 三役好転!日経平均は2万円を通過点に次のステージへ |
企業決算が本格化となり、連休明けの5月第2週にピークを迎える。ここまでの決算を見る限り18年3月期の会社計画は良好といえよう。想定為替レートを1ドル105円と保守的に見ている企業が目立った。コマツ、三菱電機、日本電産、NEC、富士通、ソニー、ローム、任天堂などが該当するほか、ファナックは1ドル100円、1ユーロ110円とかなり保守的な設定としている。同社の18年3月期会社計画は売上高、営業利益を前年比増、経常利益、当期利益は前年比減と見込んでいる。17年3月期が2桁の減収減益だったことを考慮する必要はあるが、これだけ保守的に設定しても売上高、営業利益は前年を上回ることはポジティブ視されそうだ。
今週は10日にトヨタの決算が発表されることから、その前提となる想定為替レートの水準に注目が集まろう。同社は従来、保守的な決算を出す傾向がある。1ドル105円、1ユーロ115円前提で増収増益を見込めるのかに注目だ。同社は昨年12月に7,215円をつけて以降、調整局面を迎えていたが、足元6,000円台を回復している。日経平均の寄与度はさほど大きくないが、投資家心理を左右する銘柄のため、同社の決算次第では20,000円台回復を意識した展開となろう。
225先物は20,000円台回復まであと100円程度に迫っている。心理的な節目である20,000円達成で利益確定の売りが強まる可能性はあるが、レバレッジETFやオプション市場の商いはさほど盛り上がっていないことから、さほど節目達成でも売りが膨らまないかもしれない。
企業決算中心の相場展開が続いたこともあり、ドル・円の為替レート次第では20,000円を通過点とした次の展開を想定しておきたい。日経平均の一目均衡表(日足)では、雲を上放れており三役好転が示現している。方向性を示すといわれている基準線も上向きとなっていることでトレンドは強いといえよう。19,600円前後のもち合い上放れで、日経平均は次のステージに進むと想定する。
図2:直近1年の日経平均(日足チャート、一目均衡表)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
図3:直近1年のドル円、日経平均の相対チャート(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
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