11/6(金)に発表された10月の米雇用統計で、代表的な指標である「非農業部門雇用者数」が前月比27万1千人増加しました。9月の13万7千人増から大きく加速したことに加え、事前の市場予想(18万5千人増)をも大きく上回りました。失業率も5.0%と前月(5.1%)から低下し、FRB(米連邦準備制度理事会)が「完全雇用」状態と判断する4.9%をほぼ達成した上、時間当たり賃金も前年同月比2.5%増加し、2009年7月以来の増加率となりました。今回の米雇用統計は全般的に非常に強い内容だったと言えます。
ただ、雇用統計以上のサプライズであり、東京市場にも好影響と考えられるのが、同統計発表後における市場の反応です。11/6(金)のNY市場では、ダウ平均が前日比46ドル90セント上昇し、外為市場ではドル・円相場が123円台と、8月下旬以来の円安・ドル高水準を付けました。米国市場ではこれまでしばしば、強い雇用統計を受け、利上げ(前倒し)観測から株価は急落するという光景が見られましたが、今回は異なる反応を示したことになります。10月の雇用統計の結果を受け、金利先物市場からみた12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの可能性は70%に上昇(統計発表直前は56%)しましたが、それを織り込んで株価は上昇したことになります。
米国市場が強い雇用統計を前向きにとらえ始めたことは重要な変化だと思われます。米経済の強さが素直に米株高や円安・ドル高を経て、日本株の上昇につながりやすくなるからです。11/6(金)のシカゴ日経平均先物は終値が19,460円(大阪取引所終値+200円高)となりました。11/9以降の日経平均は買い先行でスタートしましたが、今後も株価上昇が続く可能性が膨らんできました。
折しも東京市場では11/4(水)に郵政3社が上場し、いずれも売出価格を上回ったため、需給環境が好転し始めました。11/5(木)には我が国で時価総額トップのトヨタが中間決算発表を終了し、11/6(金)には決算発表後半のヤマ場が終了しました。こうした中、日経新聞では上場企業の経常利益が今期8%増になる見込みと報じています。これは第1四半期決算終了後と同じ数字であり、日本企業の業績予想が大きな下方修正を免れていることを示しています。
テクニカル的にも、一目均衡表が「三役好転」となった上、底値圏離脱の様相が強まっており、プラス材料の方が多くなっています。日経平均株価は11月の月内にも20,000円大台を回復し、年内には本年高値をトライする可能性も出てきたと言えそうです。ただ、20,000円回復のスピード次第では過熱感が強まり、相場の振幅が大きくなる可能性もあるので、注意が必要です。
なお、新規上場の郵政3社は今後、TOPIX組入れ等を控え、機関投資家からの一定の買い需要が期待され、過熱感と拮抗する展開になりそうです。ただ、郵政3社の上場で割安感が強まったと考えられる公益株や主力の銀行・生保株にスポットが当たる可能性もありそうです(表1)。
表1:郵政3社と主要公益企業および銀行・保険の株価動向
取引 | チャート | コード | 銘柄 | 株価(円) 11/6 |
年初来 高値(円) |
同日付 (月/日) |
年初来 高値比 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9432 | 日本電信電話 | 4,619 | 5,066 | 8/6 | -8.8% | ||
9020 | 東日本旅客鉄道 | 11,560 | 12,815 | 8/5 | -9.8% | ||
9022 | 東海旅客鉄道 | 21,985 | 24,800 | 3/19 | -11.4% | ||
8750 | 第一生命保険 | 2,228 | 2,665 | 8/11 | -16.4% | ||
8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 788.6 | 936.8 | 6/1 | -15.8% | ||
8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 4,921 | 5,770 | 8/11 | -14.7% | ||
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 248.8 | 280.4 | 6/1 | -11.3% | ||
7182 | ゆうちょ銀行 | 1,718 | 1,823 | 11/5 | -5.8% | ||
7181 | かんぽ生命保険 | 3,730 | 4,120 | 11/5 | -9.5% | ||
6178 | 日本郵政 | 1,755 | 1,854 | 11/5 | -5.3% |
- ※各社株価データをもとにSBI証券が作成。新規上場の郵政3社とメガバンク、生保、主要公益企業を掲載。主要公益企業は、2015年4〜9月期経常利益が事前コンセンサスを上回った企業から選定。
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