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成長続く世界の自動車産業(その2) 〜米国発、2つの変化を見逃すな!

2014/3/31
投資調査部 伊藤 和典

投資調査部による特別企画「成長続く世界の自動車産業」の第2回目では、アメリカを中心に自動車業界の変化に着目します。アメリカは、インターネット、スマートフォン、シェールガスなど、新しいビジネスを次々と生み出してきましたが、自動車業界においても例外ではなく、アメリカにおいてこれまでとは異なる流れが産まれつつあるようです。変化に乏しいと思われがちな自動車業界ですが、5年後、10 年後の勢力図が大きく変動する可能性もあり、今、目が離せない業界の一つだと言えるでしょう。

本稿では、米国市場の現状や、アメリカ発の2つの変化について説明いたします。

大手メーカーにとって、北米は依然として最重要地域

図1は、グローバルの自動車販売台数に占める地域ごとのシェアを示したものです。ご覧頂くとわかるように、過去10年間は北米がシェアを落とし、それに代わってアジアが大きくシェアを伸ばしました。リーマンショック以後、北米は景気の回復に伴って徐々にシェアを挽回しつつはありますが、それでも以前のシェア(40%以上)を回復することは難しいでしょう。

ただし図2をご覧頂くとわかるように、大手自動車メーカーの売上高に占める北米地域の割合は依然として高いのが実態です。また商品の多様性、消費者の品質に対する要求や、新規制への対応など、さまざまな面からみても、大手メーカーにとって北米が最重要地域であることは未だに変わっていないと言えるでしょう。

図1:グローバル販売台数に占める地域ごとのシェア
グローバル販売台数に占める地域ごとのシェア

(BloombergデータをもとにSBI証券作成)

図2:大手メーカーの売上高に占める北米地域の割合
大手メーカーの売上高に占める北米地域の割合

(BloombergデータをもとにSBI証券作成)

(日本企業は13/3期、米企業は13/12期の数字)

アメリカの自動車市場はリーマンショック以後、順調に回復を続けています。図3は米国の自動車の月次販売台数を季節調整した上で年率に換算したSAARと呼ばれる数字(要するに自動車の年間需要台数)を、米国の失業率と比較したものです。年間1,600万-1,700万台程度で安定していたSAARはリーマンショック直後に一旦900万台前後まで落ち込みましたが、景気の緩やかな回復に伴って改善し、5年の年月をかけて1,500万-1,600万台水準まで戻ってきました。また、1,2月は記録的な寒波に見舞われてショールームに足を運ぶ消費者の数が減少したにも関わらずSAARは1,500万台レベルをキープしており、底堅い需要があることを証明しました。

図3:米SAARと失業率の推移
米SAARと失業率の推移

(BloombergデータをもとにSBI証券作成)

このように米国の自動車市場は以前とほぼ同水準まで回復しましたが、今後もゆるやかな拡大基調が続く可能性は高そうです。その主な理由は二つあります。

(1) 失業率の改善が続く可能性が高い
一般に自動車需要は、景気動向や雇用情勢に遅行して改善します。雇用が不安定な時期に高額商品である自動車の購入にはなかなか踏み切れないからです。図3からも、ある程度の相関は見て取れます。イエレン新FRB議長は、雇用と物価の安定をFRB最大の使命と認識しており、現在の雇用状況に依然として危機感を持っているとコメントしています。今後もFRBの緩和的な金融政策により失業率の改善が進み、自動車需要を後押しする可能性は高いでしょう。

(2) 自動車の更新需要が溜まっている可能性が高い
米国全体の自動車の保有台数は約2億5,000万台、そしてそのうち約5%強が毎年更新されると言われています(逆算すると耐用年数は20年弱です)。つまり需要1,500-1,600万台のうち1,300万台程度は買い替え需要だと推測できるのです。これを踏まえると、リーマンショック時に自動車需要が1,000万台を下回るレベルまで落ち込んだのは、景気の急激な悪化を受け消費者が買い替えを我慢したからだということがわかります。この一時的に控えられた更新需要の一部が今後顕在化するだけで、自動車の需要をかなり底上げすることになるでしょう。

上で示したシナリオのようにアメリカ市場の需要回復が今後も続くと想定すると、図1で示した完成車メーカーの中ではフォードゼネラル モーターズホンダ富士重工業などが特にメリットを受けると考えられます。また、図4で示した自動車部品メーカーもアメリカ市場向けの売上比率が高く、恩恵を受けやすいと言えるでしょう。

図4:北米または米国売上比率の高い自動車部品メーカー
北米または米国売上比率の高い自動車部品メーカー

(BloombergデータをもとにSBI証券作成)

(日本企業は13/3期、米企業は13/12期の数字)

アメリカ発の変化(1) : シェール革命が車種構成を変える?

次に、アメリカ市場における新しい変化についてご紹介します。

まず最初にご説明するのは、車種構成の変化です。アメリカは、ピックアップトラックと呼ばれる独特の車種(主に家庭用に使われる小型トラック)が生活に根付いていることで有名ですが、燃費の悪いピックアップトラックの比率は徐々に低下し、燃費に優れた中型セダンを得意とする日本メーカーがシェアを伸ばしてきた歴史があります。

ところがその流れが、最近変わりつつあるのです。

図5は、米国の自動車販売台数に占めるライトトラック(ピックアップトラック、バン、SUVなどをあわせたカテゴリー)の比率と、ガソリン価格の推移を比べたものです。ここでまずわかることは、ガソリン価格とライトトラックの比率はかなりハッキリとした逆相関の関係(ガソリン価格が上昇すると、ライトトラックの構成比率が下がる)にあるということです。そして二つ目にわかるのは、特に2012年以降において、ライトトラックの比率が徐々に上昇しているという点です。これは、これまで信じられてきた構図とは、まるで逆の展開です。

図5:ライトトラックの販売比率とガソリン価格
ライトトラックの販売比率とガソリン価格

(BloombergデータをもとにSBI証券作成)

その理由は、アメリカがもたらしたシェール革命にあります。シェール革命の効果が顕在化し、アメリカはエネルギーの輸入国から輸出国へと変貌を遂げようとしていますが、消費者も、ガソリン価格が中長期的に大きく上がることはないと自信を深めつつあり、その結果としてピックアップトラックの需要が戻り始めたと考えることができるのです。

自動車業界において、隣の業界における出来事がここまで大きなパラダイムシフトを起こす例は、珍しいかもしれません。そしてもし今後もピックアップトラックの需要回復が続くようであれば、日系メーカーよりもむしろアメリカメーカー、とりわけピックアップトラックの販売比率が高いフォードが大きく恩恵を受けることになるでしょう。

アメリカ発の変化(2) : 電子化が業界の勢力図を一変させる?

最後にご紹介するのは、新しい企業の参入の可能性です。自動車という商品は安全性が最重要であることや、車種にもよりますが3万点(部品の部品まで含めると10万点以上!)もの部品を組み上げた上でガソリンや油圧系統などを有機的に機能させる必要があることなどから、一般的には参入障壁が極めて高い製品だと考えられています。しかし、その常識が覆されるかもしれません。

表1はアメリカのゼネラルモーターズフォードテスラモーターズの売上高推移を比較したものです。まだまだ規模は小さいとはいえ、テスラモーターズが急激に売上高を伸ばしていることがおわかり頂けると思います。

表1:アメリカの自動車メーカーの売上高推移

売上高
(百万ドル)

10年

11年

12年

13年

128,954

136,264

133,559

147,481

135,592

150,276

152,256

155,427

117

204

413

2,013

(BloombergデータをもとにSBI証券作成)

ご存じのように、テスラモーターズはシリコンバレーに本拠地を持つ電気自動車メーカーです。それまで電気自動車のメーカーと言えば、三菱自動車日産自動車BYDなど、ガソリン車における実績のあるメーカーが中心だと考えられてきました。しかし、テスラのような歴史の浅い企業でも完成度の高い電気自動車を発売し、それが市場で高い評価を得ることができるという事実は、自動車業界に大きな変化が起こりつつあることを示しているのかもしれません。

電気自動車の部品点数はガソリン車の1/3程度だと言われており、複雑な動力系統もバッテリー、モーター、半導体とシンプルに構成することができます。もちろん十分以上の安全性を確保しないといけないため口で言うほど簡単ではありませんが、とはいえ、ガソリン車の時と比べると参入する際の障壁はかなり下がってきたと言えるでしょう。

テレビ、カメラ、ビデオレコーダー、オーディオプレーヤーなど家電の例を見ても、アナログ機器がデジタル機器に置き換わるときに、それまでの勢力図が一変することは決して珍しい事ではありません。二次電池のコストが依然としてかなり高い事や、充電インフラがまだ整っていないこと、そして航続距離の問題などから、近い将来に電気自動車が一気にガソリン車を置き換える可能性はほぼありませんが、環境規制に熱心なカリフォルニア州などの政策が、電気自動車の普及を後押しする状況になりつつあります。

このシナリオにおいては、テスラモーターズBYD、などの完成車メーカーの他に、サムスンSDILG化学パナソニックGSユアサなどの二次電池メーカー、そして日本電産マブチモーターなどの小型モーターメーカーなどが恩恵を受ける可能性があります。

先日アップルが車内で安全にiPhoneを楽しめる「Car Play」を発表し、ほぼ全ての完成車メーカーが対応を表明しましたが、これにより苦境に陥ると予想されているのがパイオニアアルパインJVCケンウッドなどの車載機器メーカーです。また、グーグルなどは自動運転車の研究を本気で進めています。

以上のように、自動車の電子化の進展は、関連銘柄の勢力図を一変させてしまう可能性を秘めているのです。これにより、思わぬ銘柄が恩恵を受けることになるかもしれません。今後の自動車業界は、数十年に一度の大きな変化が起きる可能性のある、エキサイティングな業界だといえるでしょう。

銘柄

コード

株価
(3/27)

時価総額
(3/27、億円)

売上高(億円)

予想PER

概要

3期前

2期前

前期

GM
34.51
56,054
119,747
121,531
151,710
9.3
大手自動車メーカー
F
15.25
61,458
108,582
106,607
143,404
11.3
大手自動車メーカー
TSLA
207.32
26,094
163
330
1,965
128.5
シリコンバレーの電気自動車メーカー
7203
5731
198,122
189,937
185,837
220,642
9.0
自動車メーカー世界首位
7267
3533
64,215
89,369
79,481
98,779
8.9
四輪世界8位、北米が主な収益源
7201
894
40,415
87,731
94,090
96,296
8.6
仏ルノー傘下、グループで世界4位
7270
2700
21,083
15,806
15,171
19,130
9.1
車名ブランド「スバル」、トヨタが筆頭株主
7261
445
13,167
23,257
20,331
22,053
7.8
中堅自動車メーカー、輸出比率高い
01211
45.65
17,622
5,709
5,615
7,904
73.1
自動車、充電池の製造、販売。リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池の製造で中国ではいずれもトップシェア。
ETN
73.3
35,645
12,789
13,020
21,519
15.2
商工業用、自動車用、建設用、半導体関連などの機器メーカー
JCI
45.68
30,991
33,071
33,081
39,630
14.1
自動車システムおよびビル管理機器取り扱い会社
MGA
95.01
21,470
22,908
24,614
34,002
11.8
カナダの自動車システム・メーカー
DLPH
65.67
20,531
12,782
12,387
16,069
13.4
イギリスの自動車部品会社
BWA
59.64
13,913
5,669
5,734
7,259
18.2
自動車の動力伝達部品・装置メーカー
TRW
79
8,940
12,944
13,126
17,018
10.6
自動車用システムメーカー
GT
25.55
6,480
18,142
16,756
19,073
8.6
タイヤの生産、ゴム・ゴム関連化学品の製造、自動車修理サービス
7312
2753
2,138
3,909
3,827
4,155
9.8
自動車安全部品メーカー
7313
3040
2,077
3,575
3,055
3,593
8.3
四輪シート部品メーカー、ホンダ系
5108
3587
29,011
30,244
30,397
35,681
9.2
タイヤ世界首位
006400
151500
6,623
3,269
3,480
3,559
n/a
サムスングループの受像機専業会社。プラズマディスプレーパネルの世界最大手。
051910
253500
15,940
14,265
14,498
18,070
n/a
LGグループの石油化学会社
6752
1191
28,431
86,927
78,462
73,030
16.8
家電大手
6674
544
2,233
2,725
2,854
2,745
13.8
自動車鉛蓄電池で世界3位
6594
6119
17,609
6,885
6,823
7,093
21.4
HDD用小型モーター世界首位
6592
6620
2,541
789
853
1,084
20.1
小型モーター、車載用中心
6773
216
808
4,575
4,368
4,518
15.5
カーエレ大手
6816
1311
922
2,013
2,029
2,223
12.9
カーエレ大手、ホンダ向けOEMが主力
6632
240
342
3,527
3,209
3,066
32.4
業務用システムと車載機器に注力
  • (BloombergデータをもとにSBI証券作成)
  • ※上記実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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