東京株式市場は、日経平均株価が3/2(木)にザラ場ベースで昨年来高値19,668円01銭を付けた後は上値の重い展開となっています。米FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表や、オランダ議会選挙、日銀金融政策決定会合の結果発表、米債務上限適用期限の再開等の重要日程が続き、様子見を決め込む投資家が増えていました。
しかし、重要日程の集中日を経過した後の株式市場では、日経平均株価が上昇する局面が到来しても不思議ではないとみられます。上場企業の経常利益は18年3月期に2ケタ増益になると多くの調査機関が予想しており、それを織り込みながら20,000円の大台をトライする可能性が大きいと思われます。
したがってオプション取引においても、日経平均株価20,000円台回復を意識した投資戦略がパフォーマンスをあげる可能性が大きいと「オプションの『ココがPOINT!』」では考えています。
東京株式市場は重要日程を無難に通過 |
東京株式市場は、日経平均株価が3/2(木)にザラ場ベースで昨年来高値19,668円01銭を付けた後は上値の重い展開となっています。特に3月第3週に入って以降は、(1)米FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表、(2)オランダ議会選挙、(3)日銀金融政策決定会合の結果発表、(4)米債務上限適用期限の再開等の重要日程が続き、様子見を決め込む投資家が増えていました。
しかし、これら(1)〜(4)については以下でご説明するように「無事通過」の形になり、様子見を決め込んでいた投資家も市場に戻ってくるとみられ、株式市場の値動きは回復してくると予想されます。
(1)FOMCの結果発表・・・・「FRBは年4回利上げ」との見方が後退
米国の金融政策を決めるFOMCの結果が日本時間3/16(木)の未明に発表されました。米国の政策金利の上限はこれまでの0.75%から1.0%に引き上げられることが決定されました。金利市場の事前予想では、今回利上げが実施される可能性は96%でしたので、この点については市場の予想通りであったと考えられます。
市場が強い関心を抱いていたのは年内の利上げペースです。今回の発表が行われる直前のFOMCメンバーによる年内利上げ回数の予想は2回が4人、3回が6人、4回以上が5人でした。FOMC後は2回が1人、3回が9人、4回以上が5人と変わりました。イエレン議長の発言とあわせ市場では「年3回の利上げペースという見方に変化はない」と理解され、年4回の利上げ説は後退しました。これを受け、米国株は反発し、外為市場では円高・ドル安が進む展開になりました。
3/16(木)の東京市場ではドルの対円レートが1ドル113円台の円高・ドル安水準で取引開始となり、日経平均株価もそれを嫌気する形で売り先行となりました。ただ、FOMCメンバーの金利見通しでは「年2回」の3人が「年3回」に変わっているので、むしろ強気方向に傾いているとの見方が可能だと思います。従って、外為市場では再び円安・ドル高に転じる可能性もあり、株価も押し目買いを探る展開になりそうです。
(2)オランダ議会選挙・・・・・極右勢力の台頭にブレーキか
オランダ議会選挙の投票が終わりました。中間集計の段階で与党である自由民主国民党の勝利が確実と伝わり、その躍進が「危惧」されていた自由党は敗北した模様です。ルッテ首相(自由民主国民党)はすでに勝利宣言をしています。今後、連立政権の樹立まで2ヶ月前後かかるとみられますが、自由党と連立を望む政党はないとみられるため同党の過激な主張(反イスラム・ユーロ離脱)が実現される可能性は小さいとみられます。今後欧州政治の注目はフランス大統領選挙に移りますが、当面はオランダ議会選挙という「重要日程を通過した」という事実が重要になりそうです。
(3)日銀金融政策決定会合・・・・・事前の市場予想通り「無風」と言える結果に
3/16(木)の昼頃、日銀金融政策決定会合の結果が発表されました。政策金利を-0.1%、長期金利を0%程度に維持し、保有国債の残高を年80兆円増加させるという現在の金融政策が維持されました。景気判断についても「緩やかな回復基調を続けている」との表現が維持されました。事前の市場予想通り「無風」と言える結果になりました。
(4)米連邦債務上限の適用・・・・少なくとも夏頃までは波乱につながるリスクは小さい
米連邦債務上限の適用がこの日から再開されることについても、当面は細かいやりくりで債務を管理することが可能とみられ、少なくとも夏頃までは波乱につながるリスクは小さいとみられます。そもそもトランプ大統領は共和党の所属であり、議会の多数派も共和党であり、ねじれは存在していないことから、民主党のオバマ政権の時に比べ、この問題で大統領と議会の対立が激化する可能性は小さいと考えられます。
重要日程の集中日を経過した後の株式市場では、日経平均株価が上昇する局面が到来しても不思議ではないとみられます。上場企業の経常利益は18年3月期に2ケタ増益になると多くの調査機関が予想しており、それを織り込みながら20,000円の大台をトライする可能性が大きいと予想されます。
図1:日経平均株価(日足)
図2:ドル・円相場(日足)
- ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
【ココがPOINT!】「強気派」の出番が到来か!? |
ここまでご説明してきたように、日本時間の3/16(木)には数多くの重要日程が集中し、それを控え投資家の多くは見送りを決め込んでいました。東証一部の売買代金は3/15(水)まで3営業日連続で2兆円を大きく割り込む有様でした。日経平均株価の日中値幅は3/14(火)には37円93銭にとどまり、2014/9/1の37円78銭以来の小ささとなりました。
仮に今後も、株価が小動きで推移すると予想するならば、オプション取引において「買い」は不利になると考えられます。ボラティリティの拡大が見込めず、時間的価値の減少が逆風となり、プレミアム価格の低迷が警戒されるためです。
しかし、東京株式市場は重要日程を通過し、その分リスクが取りやすくなってくるとみられます。ちなみに、2016/3末の日経平均株価の終値は16,758円であり、現状でもその水準からは株価が高く、機関投資家等の益出しも警戒される所ですが、それも一巡してくる可能性があります。むしろ3/28(火)の権利付最終日に向けて駆け込み的な買いが増え、需給は改善される可能性もあります。折しもここにきて、主要調査機関やメディア等から2018/3期の企業業績見通しが発表され、経常利益で2ケタの増益が見込まれることが明らかになりつつあります。今後、株式市場でも「企業業績」を評価した買いが増える可能性があります。
したがってオプション取引においても、日経平均株価20,000円台回復を意識した投資戦略がパフォーマンスをあげる可能性が大きいと「オプションの『ココがPOINT!』」では考えています。
図3は日経平均株価コール・オプション(2017/4限月・権利行使価格20,000円)のプレミアム価格の推移を示したものです。株価の上値が重かったことや、動意の乏しさが逆風となり、プレミアム価格は低迷してきました。仮に読み通り、日経平均株価が上昇に転じ、20,000円を超えてくる展開になれば、投資妙味は大きいと考えられます。
図3:日経平均株価・コール・オプション(2017/4限月・権利行使価格20,000円)のプレミアム価格推移(日足)
図4:日経平均株価・コール・オプション(2017/4限月・権利行使価格20,000円)の想定損益図
- ※日経平均株価オプション取引の価格データをもとにSBI証券が作成。合成損益図は日経平均株価・コール・オプション(2017/4限月・権利行使価格20,000円)を3/15(水)終値である120円で買い、SQまで保有したと仮定した場合に想定される損益図(諸コストは未考慮)です。