直近の相場上昇を支えたのは? |
足元の東京市場はしっかりとした推移だが、東証一部の売買代金は2兆円台の商い閑散が続き、225先物の出来高も3-4万枚の商いに留まっている。しっかりとした推移の背景には、11月の雇用統計のナイト・セッションから買っている海外投資家(とくにモルガン・スタンレー)の買いの影響が大きい。先物だけではなく現物株も買っているとの観測が浮上しており、薄商いのなか存在感は際立っている。
直近6ヶ月の日経平均株価(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
12月は波乱なし? |
日経ボラティリテイ・インデックス(VI)が8月末以来の水準まで低下するなど先行きへの警戒感は乏しい。日経VIは1ヶ月先の動向を見ていることから、20pまで低下していることは「12月相場に波乱要素は見当たらない」といった意味合いとなる。12月は、米国ではFRBによる金利引上げ、欧州ではECBによる追加の金融緩和の可能性がそれぞれ高まっている。シンプルに考えると、米国は金利を引き上げることからドル買いの要因、欧州は追加金融緩和することからユーロ売りの要因とそれぞれ見られている。日本は日銀が追加の金融緩和を実施する可能性が引続き残っていることで円売りとなりそうだが、トータルではドル買い、ユーロ売り、円売りといった構図に落ち着くと思われる。
直近6ヶ月の日経平均VI(日足チャート)
- ※当社WEBサイトを通じて、SBI証券が作成
米国利上げはあるか?今後の動向をどう考えればよいか |
シカゴ・マーカンタイル取引所が算出し米国政策金利の市場予想を示す「Fedウオッチ」では、12月のFOMCで利上げを実施する割合は78%と現状維持の22%を大きく上回っている(24日時点)。「Fedウオッチ」は米フェデラルファンド(FF)レート先物から利上げ時期の確率を割り出した指標で、タイムリーなニュースにも反応するなどリアルなマーケット環境に影響されやすい傾向がある。この数値が8割近い水準まで上昇していることから、市場はほぼ米国の利上げを織り込んでいると言えよう。今後、要人発言などから多少変化する可能性はあるが、市場は米金利引上げをコンセンサスで投資を組み立てていると思われる。
一方、ECBによる追加の金融緩和の実施がどれだけ市場が織り込んでいるかは判断つかないが、ユーロ・円は130円レベル、ユーロ・ドルは1.0600レベルとともにユーロ売りが続いている。ユーロの動向を見る限りでは、ECBによる12月緩和はコンセンサスと言えよう。
整理すると
・日経VIの低下
・FEDウォッチでは12月利上げを見込む割合が約8割
・ユーロの下落傾向
これらのポイントを考慮すると市場は欧米の金融政策をほぼ織り込んでいると言えよう。市場が「米金利引上げ、欧州追加の金融緩和」を織り込んでいるとなれば、実際に発表されたタイミングでの上昇は限定的、もしくは材料出尽くし感が強まることで売られる可能性もある。足元のじりじりとした上昇相場のなか、一部ヘッジファンドが今年のパフォーマンスを挽回するため最後の仕掛けを進めているとの話も聞かれる。こうしたヘッジファンドが決済することを考えると12月のどこかで、これまでのポジションを崩す、つまりアンワインドの動きが入る展開もあろう。
足元の225先物は20,000円手前でのもみ合いが続いている。オプション市場のコールサイドの建玉では権利行使価格20,000が3.3万枚で最も多く、先高感はさほど感じられない。20,000円という水準を一気に上抜けるような展開となれば、投資家の目線は20,500円に向かいそうだが、取引時間中にこの水準をタッチすると達成感が先行し利益確定の売りに押される可能性がある。20,000円を上放れるには、大きなマドを伴うような誰もが認める買い材料が欲しいところだ。日銀による追加の金融緩和と補正予算の増額及び成長戦略の具体的な施策などが同日に発表されるくらいのインパクトが必要と考える。
- 提供:フィスコ社
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