日経平均が2万円を回復!その要因を改めて整理 |
図表1:2000年4月14日以来15年ぶりに終値で20,000円を回復した日経平均株価
- ※弊社チャートツールもとにSBI証券が作成。
4月22日、日経平均株価はついに、終値で20,000円を回復しました。
終値ベースでの「大台」回復は、2000年4月14日以来約15年ぶりになります。
日経平均株価が20,000円大台を回復できた要因は、おもに次の3点に集約されます。
【景気・企業業績の拡大期待】円安・ドル高、原油安の効果が見込まれます。さらに、個人消費は、ベア実施効果や消費増税(2014年4月)から1年が経過したことで、前年同期比で増えやすくなっています。
【世界的な過剰流動性】我が国や欧州で量的金融緩和が実施されている上、中国でも預金準備率が引き下げられる等、世界的に過剰流動性が生じやすくなっています。米国については、政策金利の引き上げが予想されていますが、足元の景気指標が弱いため、早期の引き上げ観測はやや後退しているようです。
【良好な株式需給】新年度となり、海外投資家の買い越し姿勢が強まりつつあります。日銀によるETFの購入は新年度、4月は20日までに、1回あたり365億円、計5回実施され、相変わらず、下値を支える効果を生み出しています。
こうした中、原油価格(WTI先物)が、チャート上では底入れ完了の形になる「1バレル54ドル」のラインを15日に、上抜けてきました。これまでの原油安とドル高(特に対ユーロ)は「表裏一体」との見方からすると、原油価格の底入れは、ドル高(米国の国際的企業の収益に逆風)一服観測につながりやすく、米国投資家のリスクオン姿勢につながる可能性があります。
当面の日経平均の上値メドは? |
日経平均株価が今後、20,000円超の水準での滞留期間が長くなるほど、「20,000円は通過点」との認識が強まるとみられます。そして、以下の2点から2015年の日経平均の上値メドとしては22,000円前後との見方が有力になっています。
(1)上場企業の営業利益・純利益は新年度に14%程度増える見込み(コンセンサス)です。予想PERが変わらないとすれば、1年後の日経平均は20,000円に14%を乗じた22,800円前後になると計算されます。
(2)日経平均はリーマンショック前の高値を既に上回っています。しかし、TOPIXは、同高値1,816.97(07年2月26日)を回復できていません。仮に、TOPIXがこの水準を回復できた場合、NT倍率(日経平均÷TOPIX)が12.4倍で変わらないと仮定すれば、1,816.97×12.4により、日経平均は22,530円を付けている計算になります。
(3)平成バブル崩壊後の重要な高値として消費税増税(97年4月3%→5%)前の22,666円が意識されます。
ただ、東京株式市場で向こう1〜2ヵ月の間に日経平均株価が22,000円を付けるか?と問われると、短期間に急騰してきたことを考えると、微妙であると考えざるを得ません。そもそも、日経平均がそこに至る過程に、比較的重要な上値抵抗ラインがいくつかあるとみられます。
○今回の上昇相場は短期的に、4月10日20,006円から20日19,474円と下げた後の上昇相場とみられます。上値メドのひとつとして、この下落幅に対する「倍返し」を想定すると、20,538円という水準が浮かび上がってきます。
○図表2にもある通り、日経平均株価の2000年4月における高値は20,833円で、当面の重要な上値メドと考えられます。ここを超えると、1996年の高値22,666円まで大きな節目はありません。
図表2:2000年4月に付けた20,833円が重要な上値抵抗ライン
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
相場の反転に備えるポジションは? |
冒頭でご説明したように、日経平均株価は2000年4月14日以来15年ぶりに、終値で20,000円の大台を回復しました。図表3は、そうした2000年4月にかけての数ヶ月の日経平均株価の推移をみたものです。
IT相場の後、97年以来の大台回復を実現し、高揚感に満たされていたのが15年前の4月でした。しかし、その後、株式市場は急変します。4月17日には、前日比1,426円安(一時1,830円安)する大波乱となり、日経平均株価は一気に19,000円割れに追い込まれてしまいました。
株式市場は常に、リスクとの背中合わせです。
図表3:2000年2月〜2000年4月にかけての日経平均株価・日足
図表4は、現物株(日経平均)を保有している投資家が、プット・オプション(2015年5月限・権利行使価格19,750円)を150円(4月23日・日中終値)で買ったとした場合の「合成損益図」を示しています。
仮に、現物株を保有したままの状態であれば、図表3のような「急変」時、日経平均が下がれば下がるほど、現物株の損失は膨らんでしまいます。しかし、プットの買いを組み合わせることで、日経平均下落時の損失を一定限度で抑えることが可能になります。
ちなみに、合成損益図の形状からご理解頂けるように、「現物の買い」と「プットの買い」を組み合わせた損益は、「コールの買い」と同様の形状になります。このように、オプション取引は、複数の取引を組み合わせることで求めるポジションをそれ単独で実現できるのが魅力のひとつです。
図表4:現物株の値下がりをヘッジするポジション
- ※日経平均オプション取引データをもとにSBI証券が作成。最新データは2015年4月23日(日中)。日経平均(現物)を19,750円で買ったポジションと、日経平均プット・オプション(権利行使価格19,750円)を150円で買った場合のそれぞれの損益と合成損益を示している。SQまで保有した場合の理論的損益図であり、諸コストは勘案していない。また、途中売却では、これと異なる結果になり得る。
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