日経平均は波乱含みも、反発を目指す形か
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図1は、日経平均の一目均衡表です。同平均株価は5月7日に安値14,033円を付けた後、5月13日には14,500円の手前まで上昇しました。4月3日高値を起点に上値を結ぶ右肩下がりのトレンドライン(上値抵抗線)が見て取れると思いますが、日経平均株価は、13日の時点でこのラインを上抜けています。
その後、16日にかけ波乱の動きになりましたが、形の上では反発の兆しをみせたと考えられる状況です。
一目均衡表において、2つの先行スパンが交差するタイミングは「要注意日」と捉えられ、波乱が起きやすいと考えられています。これによると足元では、19日から始まる週にかけて、日経平均の動きに注意が必要ということになります。
しかし、上記したように、日経平均株価は反発の兆しを見せ始めましたので、波乱を乗り越え、反発に転じても不思議ではないと考えられます。
図1:日経平均株価(日足)一目均衡表
弊社チャートツールをもとに、SBI証券が作成。
投資環境の面で考えても、日経平均株価は戻り局面に入る可能性が大きいとみられます。4月の消費税率引き上げや、円安一巡を背景に、4月第4週以降、発表が本格的に始まった上場企業の本決算では、「2015年3月期の会社発表ベースの業績予想数値は慎重な数字になる」との見方が多く、そのことが市場参加者に警戒感を与えてきました。しかし、決算発表は概ね終了し、予想EPSも4月21日の1,023円から5月15日には1,031円と、わずかながら上昇しています。企業業績に対する懸念は、とりあえず、後退すると予想されます。
年初以来、株価や通貨の下落を通じて不安視されてきた新興国経済についても、ここにきて落ち着きを取り戻しつつあります。また、世界経済をけん引する米国経済についても、まだまだ指標の発表は強弱まだら模様とはいえ、4月の雇用統計が市場予想を大幅に上回るなど、回復色が目立ちつつあります。当面、日経平均株価が一目均衡表・クモの上に抜けることができるならば、14,500〜15,000円にレンジが切りあがることも十分可能であると考えられます。
ただし、5月最終週のあたりから、6月13日のSQ算出日にかけては、株価下落リスクに注意が必要とみられます。5月の雇用統計発表接近に加え、需給面では12月末高値の「信用期日」接近が波乱要因になりやすいためです。
日経平均コール・オプション「14,500円」の動きが大きくなる可能性
図2は、4月以降の日経平均株価の動きと、同平均株価コール・オプション(6月限)・権利行使価格14,500円の動きを同じグラフにまとめたものです。日経平均株価は4月23日14,546円から5月7日14,033円まで500円強の下げとなりました。このため、コール・オプションも下落基調を辿り、4月21日の510円から、13日には170円まで下落しています。しかし、その後は日経平均株価も反発に転じ、コール・オプションも上昇する場面がありました。
上記したように、仮に日経平均のレンジが14,500〜15,000円に切り上がるのであれば、コール・オプションの買いが正攻法となります。そこで、上記コール・オプションの「買い」を基本戦略にすると仮定いたします。ここで注意しなければならないのは、14,500円のコール(日経平均を14,500円で買う権利)は、日経平均が基本的には14,500円以下で推移している期間が長いため、「本質的な価値が発生していない」ことである。むしろ、6月13日(金)のSQに向けて、期限は刻一刻と迫り、「時間的な価値」が漸減してゆきます。5月13日に日経平均が275円高する中で、このコール・オプションが105円しか上昇していないのは、そうした「オプション価格形成上の特徴」があるためです。
6月SQの接近とともに、時間的価値の減少を突く形で、コール・オプションのプレミアム料を取るべく、コールに売り圧力がかかる可能性は十分想定されます。この時間的価値の減少を味方に付けられる分、オプション取引は「売り手」に有利な部分もあることは確かで、コールの「買い手」は、その点も注意しながら売買にのぞむ必要があります。