日経平均株価は反発に転じたものの、上値は重くなりつつある
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東京株式市場では、日経平均株価が4月14日に13,910円の安値(終値ベース)を付けた後、4月23日には14,546円まで戻しました。この間、NYダウは11日に16,026ドルの安値水準を付けていましたが、4月22日には16,514ドルまで値を戻していますので、米国株の安定化が日本株の反発につながったことは確かであると思われます。
米国株の戻りは、案外悪くない米国企業決算の発表が追い風になっているとみられます。年初の段階では、1〜3月期の米主要企業純利益は前年同期比6%増程度と見込まれていましたが、4月に入った段階では、同1%未満の増益予想までトーンダウンしていました。そのことが、米国株不調の一因になっていました。しかし、実際に決算発表のフタを開けてみると、アナリスト予想を上回る利益を確保する企業が多くなり、株価もそれを好感するようになりました。米経済指標についても、寒波の影響が一巡し、良好な内容での発表が目立つようになり、市場では、「米国のファンダメンタルズは悪くない」との見方が、増えるようになりました。
なお、企業業績に対する不安という面では、日本企業についても同様です。4月からの消費税率引き上げの影響や円安効果一巡が懸念され、2015年3月期の上場企業予想経常利益は、当初の会社発表値段階で、横ばいないし微減になるのではないかと心配されています。4月第4週以降、3月期決算企業の決算発表が本格的に始まりましたが、市場は、今後の決算発表をひとつひとつチェックしながら、株価への影響を見極めてゆくものと思われます。
図1は、日経平均株価の一目均衡表(日足)です。今後1〜2週間のタイミングでは、同平均株価の14,700〜15,000円近辺に厚めのクモが存在しています。同平均株価の水準は現在、このクモの下になっていますので、クモは抵抗ラインとして存在しています。ここを突破してくるには、ある程度、強い株価押し上げ材料が必要かと思います。残念ながら、TPP(環太平洋経済連携協定)の基本合意が先送りされたため、押し上げ材料のひとつが「お預け」になった面は否めません。株価は目先、浮揚力を欠く状態になった可能性があります。今後は、米雇用統計(5月2日)で米経済の強さが確認されるとともに、国内の企業業績に対する不安がいったん織り込まれれることが、クモの上に株価が浮上するための重要な条件になるとみられます。
図1 日経平均株価の一目均衡表(日足)
弊社HPよりSBI証券投資調査部が作成。
常識的には「時間的価値」の減少に注意すべき局面
4月14日から23日にかけ、日経平均株価が戻る場面で、日経平均株価オプション(5月限・権利行使価格14,500円)取引では、コール・オプションが上昇しました。同オプションのプレミアムは、4月14日は120円でしたが、21日には一時355円まで上昇しています。
オプション市場への参加者としては今後の展開をどう考えるべきでしょうか。基本的には、次のSQにかけて、オプション・プレミアムの「時間的価値」減少に気を付けるべき局面と考えられます。表1は、当面のタイムスケジュールを示したものです。仮に5月2日(金)に株式の買いポジションを抱えた状態で連休に突入した場合、投資家は、米雇用統計を受けたNY株価や外為相場の変動リスク、それを含めたNY市場3日分の変動リスクを負うことになります。従って、機関投資家や海外投資家など、多くの投資家は、2日(金)にかけ、買いポジションを落としてくるとみられ、株価は上値の重い展開になるものと予想されます。
なお、日本の連休が明けても、8日、9日と今度は決算発表ラッシュになります。そこでも、株価が予想外に変動するリスクが高まるため、多くの投資家は、ポジションを落としたままで臨んでくる可能性が強いとみられます。
このような局面で仮に、日経平均コール・オプション(5月限・権利行使価格14,500円の24日終値は175円)を買い付け、買い持ちの状態で継続した場合、時間的価値が減少することによって、プレミアムが日々値下がりするリスクが強まってきます。コール・オプションの売買を中心に参加している投資家は、その点に注意すべきかと思います。無論、可能性としては小さいかもしれないですが、米雇用統計で地合いが一変し、5月第2週の株式市場が上昇に転じ、コールの買い持ちが報われる可能性は残ります。ただ、こうした取引は、コール・オプションの購入金額を失うことを許容できる投資家のみ、取ることが可能な戦略と言えるかもしれません。
なお、現物株や先物の買いポジションを既に保有している投資家であれば、コール・オプションの売りと抱き合せた「カバードコール」は、引き続き有効な戦略のひとつとみられます。