先週の日経225先物は前週末比2,290円高の35,610円と大幅反発。
米長期金利低下に伴うハイテク株買い戻しで米国株高となった流れを受け、1月9日は現物市場の寄付直後に33,970円まで急騰。
その後も、利益確定売りに押されるものの33,200円台で下げ止まり、底堅い動きを見せた。10日は34,000円台を回復。日本銀行の金融政策正常化先送りへの思惑から為替市場が円安基調となり、輸出関連株が買われるなどの動きも投資家の強気姿勢を色濃くさせた。
また、週末1月限先物・オプション特別清算指数(SQ)算出直前にコールオプションの買い戻しがかなり入ったとみられ、コールの売り手によるデルタヘッジが裁定業者の裁定買い(先物売り・現物買い)を巻き込んで大きく上昇したとみられる。
11日には35,000円台を回復、12日には現物市場の寄り付き直後に35,710円まで上昇したが、さすがにボリンジャーバンド+3σ水準を超えて警戒感が出はじめ、上値追いは限られた。一方で下値を拾う動きもあり、35,000円を下回らずに週末の取引を終えた。
なお、1月限日経225のSQ値は36,025.97円となったが、取引時間中に日経平均が達することはなかったため、12月に続き再び「幻のSQ」となった。
1月5日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆2,070億円の買い越し(前週は1兆2,321億円の買い越し)と減少した。
一方、株数ベースでは、5億2,023万株の買い越しで、12月29日時点(5億2,995万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(1月5日時点)
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は1月12日比で3.94pt高の22.40と大幅上昇。
大幅なコールの買い戻しなどで日経平均が連日高値を更新し、日経VIは上昇した。
2月限オプションの建玉状況
<プット>
35,500円:100枚
35,000円:700枚
34,500円:1,400枚
34,000円:1,600枚
33,500円:2,500枚
33,000円:3,700枚
<コール>
37,000円:5,200枚
36,500円:4,200枚
36,000円:5,400枚
35,500円:5,800枚
35,000円:4,900枚
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、幅広い銘柄に物色向かう
NT倍率(先物)は上昇。TOPIXコア30銘柄などの時価総額が大きい銘柄をはじめ幅広い銘柄に買いが入り、日経平均は連日でバブル後の高値を更新。
為替市場でも、円安ドル高傾向が続いたことで、ハイテク株や輸出関連銘柄も買われた。
12日は好決算を材料にファーストリテ<9983>が急伸した一方で、三菱UFJ<8306>などの銀行株は伸び悩み、14.26倍まで上昇。結果的にNT倍率は週を通して上昇を続けた。
今週の日経225先物は強含みか。
来週22-23日開催の日銀金融政策決定では、1日に発生した能登半島地震の影響を考慮し、マイナス金利解除は見送られる公算が大きい。
植田日銀総裁が重要視するとしている賃上げについては、10日の毎月勤労統計調査で十分な賃金上昇を確認できなかったほか、11日に開催された支店長会議では今年の賃上げは企業間でバラつきが大きく不確実性が高いと報告が相次いでおり、金融緩和が維持されると見込んだ円安基調がもうしばらく継続しそうだ。
先週末の「幻のSQ」が投資家心理にネガティブな働きをする可能性は否定できないものの、先週は海外投資家の積極的な取引参加を思わせる動きであり、今週も継続するようであれば底堅い動きとなるだろう。
ただ、週後半にかけては日銀決定会合の結果を見極める動きから膠着感が強くなりそうだ。
今週の225先物予想レンジは34,900−36,300円とする。