先週の日経225先物は前週末比1,220円安の32,200円で取引を終了。
週末に控える12月限先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)をにらんだ売買が錯綜し日経225は乱高下した。
12月4日は限月交代によるロールオーバーで取引高が膨らむなか底堅い動きをみせていたものの、翌5日には節目の33,000円台を割った。
12月限プットオプションの売り手によるデルタヘッジが裁定業者の裁定売り(先物買い・現物売り)を巻き込んで大きく下落したとみられる。
6日には一転、日経225先物は670円高の33,450円まで上昇。
今度はコールオプションの売り手によるデルタヘッジが裁定業者の裁定買い(先物売り・現物買い)を巻き込んで大きく上昇したとみられる。
メジャーSQ前取引最終日の7日は再び日経225は大きく下落となり、投資家心理は悪化。
さらに、7日は日本銀行の植田総裁による「年末から来年はチャレンジングな金融政策運営になる」という発言に反応し、外国為替市場でドル・円が一晩で5.5円強円高方向へ動くという異例の事態となった。
急激な円高変動を嫌気して8日は売りが加速し、この週の取引を終えた。
なお、12月限日経225のメジャーSQ値は32,639.57円となったが、8日の日経平均は寄り付き直後につけた32,604.35円がこの日の高値となったため幻のSQとなった。
12月1日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆55億円の買い越し(前週は8429億円の買い越し)と増加した。
一方、株数ベースでは、3億7,164万株の買い越しで、11月24日時点(3億4,198万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(12月1日時点)
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で3.44pt高の19.72と大幅上昇。
メジャーSQ絡みの売買で日経225先物が乱高下したことからボラティリティーの高まりが警戒され、日経VIは大幅に上昇した。
1月限オプションの建玉状況
<コール>
34,000円:約2,900枚
33,500円:約3,900枚
33,000円:約3,500枚
32,500円:約2,800枚
<プット>
32,000円:約4,000枚
31,500円:約2,500枚
31,000円:約4,100枚
30,500円:約9,600枚
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、急速な円高進行受けハイテク株安に
NT倍率(先物)は低下。
週前半は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長発言を受けて利上げ終了観測が一段と強まり円高傾向に、国内でもハイテク株を中心に軟調に推移した。
6日には自律反発の買いが入って14倍台に復帰したものの、週後半には日銀のマイナス金利解除観測が強まったほか中国経済への懸念が強まるなか、ハイテク株や輸出関連株中心に大幅安となりNT倍率は13.8倍台まで低下。
円高メリットとなる銀行株などにも物色が向かい、結果的にNT倍率は週間で下落となった。
今週の日経225先物は値動きが激しい展開か。
先週の植田日銀総裁の発言については、早川元理事が「来週の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除を織り込む市場は行き過ぎ」と冷静さをうながすような発言も出ており、次第に早期金融政策修正観測は後退するとみられるが、相場のかく乱要因としてくすぶりそうだ。
また、今週は12月12-13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されており、結果を見極めたいと積極的な売買を控える動きになりやすいだろう。
政策金利については大方の市場予想通り据え置かれるとみられるが、今後の政策金利見通しが注目され、ドル・円の動きには引き続き注意したい。
そのほか、米国では今週末がトリプルウィッチング(米国のメジャーSQ)となるため、米国株式市場が波乱の展開となれば、国内株式市場も影響を受ける可能性がある。
今週の225先物予想レンジは32,000−33,000円とする。