先週の日経225先物は週間で160円高の31,630円と反発。前の週に1,000円超も下落していただけに自律反発が意識されやすいなか、株式市場の調整要因となっていた米10年債利回りの上昇が一服していたことが買い戻しを誘った。
また、米エヌビディアの決算への期待から現物市場で指数寄与度の大きい半導体株に買いが入ったことも好影響を与えた。24日には引け後に決算を発表したエヌビディアが時間外取引で急伸したことが更なる刺激材料になった。
ただ、海外投資家の夏季休暇入りで、かつ、国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を控えた様子見ムードもあり、日中の日経225先物の売買高は2万枚台と低調な商いが続いた。
日経225先物は週後半まで4日続伸と戻りを試す展開となったが、週末は一転して590円安と大きく反落、前日に回復したばかりの32,000円を再び下回った。
ジャクソンホール会議前の利益確定売りや材料出尽くし感からエヌビディアが通常取引では伸び悩んだことで、東京株式市場の半導体株が反動安を強いられたことが短期筋の売りを誘った。
8月18日時点の裁定残高は、ネットベースで7152億円の買い越し(前週は7,808億円の買い越し)と減少した。一方、株数ベースでは、3億645万株の買い越しで、8月10日時点(3億3,214万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(8月18日時点)
TOPIX先物では海外勢が売り越し
日経225先物の売り方ではBofAが前週に続き売り越し基調で累計トップ。個人の逆張りの売りを反映し、SBIが週後半まで売り越し基調。日産も売り越し。買い方では商いが低調な中、全体的に目立った手口は見当たらなかった。
一方、TOPIX先物の売り方では前週に続きGSが売り越し基調。小幅ながらシティGやUBSも売り越し基調だった。買い方では前週に続きJPモルガンが買い越し基調となり、みずほ証券、三菱UFJの国内勢がこれに続いた。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で0.64pt安の18.88と低下。
日経225先物が週後半まで4日続伸と戻りを試す展開となる中、プットが手仕舞いで売られる展開となり、日経VIは低下した。
9月限オプション取引の建玉状況
<コール>
35,000円:約8,700枚
34,000円:約8,700枚
33,000円:約9,200枚
32,000円:約7,400枚
<プット>
28,000円:約11,600枚
29,000円:約7,600枚
30,000円:約17,500枚
31,000円:約8,700枚
31,500円:約6,200枚
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、半導体株安が重しとなり約3カ月ぶり14倍割れ
NT倍率(先物)は低下。週後半まで株式市場が戻りを試す展開となるなか、NT倍率は概ねもみ合いながらも24日には14.10倍まで回復していた。
主に米半導体大手エヌビディアの決算を手掛かり材料とした半導体株高が日経225先物の上昇を通じてNT倍率の上昇に寄与した。
しかし、決算発表直後の時間外取引で急伸していた米エヌビディア株が通常取引では失速して伸び悩むと、週末には一転してアドバンテスト<6857>が10%近く急落するなど半導体株が軒並み下落。
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を前にした警戒感も売りを誘い、週末には日経225先物主導で下落。NT倍率は5月中旬以来の14倍台割れとなった。
今週の日経225先物は引き続き上値の重い展開か。注目されたジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演内容はほぼ従来からの主張の繰り返しで想定通りにとどまった。イベント通過に伴う目先の安心感から週明けは買い戻しが先行しそうだ。
一方、米10年債利回りは上昇一服したとはいえ高止まりしている。今週末にかけては米個人消費支出(PCE)コアデフレーターや米雇用統計などFRBの金融政策を左右する重要指標が発表される予定だ。
結果次第では週末に米長期金利が大きく動く可能性があり、東京市場は週末まで動きづらい状況が続きそうだ。
また、来週末の9月8日は9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)日である。9月限オプション取引においては依然として30,000円や31,000円に大きくプットの建玉が積み上がったままだ。
メジャーSQに向けて売り方の仕掛け的な動きが出てくる可能性もあり、日経225先物が31,000円を下回るようなことがあると、プットオプションの売り手であるディーラーがヘッジ目的で先物を売る必要が高まり、相場の波乱につながる恐れがある。
また、先物手口では日経225先物とTOPIX先物で海外勢の売り越しが続いており、需給状況も良くない。メジャーSQを通過するまでは相場の神経質な地合いが続くとみておきたい。今週の225先物予想レンジは30,700−32,400円。
経済スケジュール(8月28日〜9月3日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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8月28日 | 月 | 国内 | 14:00 | 景気一致指数(6月) |
14:00 | 景気先行CI指数(6月) | |||
月例経済報告(8月) | ||||
公明党の山口代表が中国を訪問(30日まで) | ||||
海外 | 10:30 | 豪・小売売上高(7月) | ||
17:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(7月) | |||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(8月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
20:30 | ブ・融資残高(7月) | |||
20:30 | ブ・ローン残高(7月) | |||
20:30 | ブ・個人ローンデフォルト率(7月) | |||
23:30 | 米・ダラス連銀製造業景況指数(8月) | |||
英・株式市場は祝日のため休場(サマー・バンク・ホリデー) | ||||
決算発表 BYD | ||||
8月29日 | 火 | 国内 | 08:30 | 有効求人倍率(7月) |
08:30 | 失業率(7月) | |||
海外 | 22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(6月) | ||
22:00 | 米・FHFA住宅価格指数(6月) | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(7月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(8月) | |||
26:30 | ブ・連邦政府債務残高(7月) | |||
米・バイデン大統領がコスタリカ大統領と会談 | ||||
米・連邦預金保険公社が銀行に長期債発行を義務付ける計画発表 | ||||
欧・非公式欧州連合(欧)国防相会合(30日まで) | ||||
独・5年債入札 | ||||
決算発表 シャオミ、HPインク | ||||
8月30日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年、残存25年超)(日本銀行) |
10:30 | 田村日銀審議委員が講演、同記者会見 | |||
14:00 | 消費者態度指数8月) | |||
インバウンドプラットフォームが東証グロースに新規上場(公開価格:1850円) | ||||
海外 | 10:30 | 豪・消費者物価指数(7月) | ||
15:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(7月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(8月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(8月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレIGPM(8月) | |||
21:00 | 独・消費者物価指数(8月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(8月) | |||
21:30 | 米・GDP速報値(4-6月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(7月) | |||
26:30 | ブ・中央政府財政収支(7月) | |||
伊・5年債、10年債入札 | ||||
決算発表 セールスフォース | ||||
8月31日 | 木 | 国内 | 08:50 | 鉱工業生産指数(7月) |
08:50 | 小売売上高(7月) | |||
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(7月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
10:30 | 中村日銀審議委員が講演、同記者会見 | |||
14:00 | 住宅着工件数(7月) | |||
海外 | 10:30 | 中・製造業PMI(8月) | ||
10:30 | 中・非製造業PMI(8月) | |||
16:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(8月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(8月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏失業率(7月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(7月) | |||
20:30 | ブ・基礎的財政収支(7月) | |||
20:30 | ブ・純債務対GDP比(7月) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種(7月) | |||
21:00 | 印・GDP(4-6月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(7月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(7月) | |||
21:30 | 米・個人所得(7月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(7月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(7月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(8月) | |||
米・アトランタ連銀総裁が講演、パネル討論会に参加 | ||||
米・ボストン連銀総裁がコミュニティーカレッジについて講演 | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)議事要旨(7月会合) | ||||
欧・非公式欧外相会合 | ||||
決算発表 UBSグループ、デル・テクノロジーズ、ヴイエムウェア、ブロードコム | ||||
9月1日 | 金 | 国内 | 08:50 | 法人企業統計(4-6月) |
09:30 | 製造業PMI(8月) | |||
海外 | 10:45 | 中・財新製造業PMI(8月) | ||
14:00 | 印・製造業PMI(8月) | |||
15:30 | スイス・消費者物価指数(8月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(8月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
21:00 | ブ・GDP(4-6月) | |||
21:30 | 加・GDP(4-6月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(8月) | |||
21:30 | 米・失業率(8月) | |||
21:30 | 米・平均時給(8月) | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(8月) | |||
22:45 | 米・製造業PMI(8月) | |||
23:00 | 米・建設支出(7月) | |||
23:00 | 米・ISM製造業景況指数(8月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(8月) | |||
米・自動車販売(8月、2日までに) | ||||
米・アトランタ連銀総裁が米金融政策に関するパネル討論会に参加 | ||||
米・クリーブランド連銀総裁がインフレについて講演 | ||||
米・ウィーワークが40対1の株式併合実施 | ||||
シンガポール・大統領選挙 |
- 提供:フィスコ社