先週の日経225先物は週間で520円高の33,190円と反発。
週前半は下落が続いた。連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測の高まりや欧米の6月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値の下振れなどを受けた景気減速懸念が重荷となった。
すぐに鎮静化したものの、ロシアでのクーデター勃発など地政学リスクも嫌気された。
一方、為替の円安進行が支えとなり、日経225先物は終値では32500円を維持する動きが継続。
週半ば28日には一転して570円高と大幅に反発し、33,000円を回復した。目立った材料は確認されていないが、現物市場の前引け直前から短期筋と思われる向きからまとまった先物買いが入ったとの指摘が聞かれた。
週後半、植田和男日銀総裁が欧州中央銀行(ECB)フォーラムの討論会で金融緩和の継続を主張したことで一段と円安が進み、相場の下値を支えた。
一方、四半期末に伴う年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りなど需給悪化が意識されるなか、日経225先物は週末に再び33,000円を割り込む場面があった。
ただ、7カ月ぶりに一時1ドル=145円台に乗せた円安が支援材料になったほか、午後中ごろからは需給イベント通過後のあく抜けを意識した買い戻しも入り、33,000円を上回って終えた。
6月23日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆4,391億円の買い越し(前週は1兆2,811億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、5億1,070万株の買い越しで、6月16日時点(4億5,576万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(6月23日時点)
週末にかけて海外勢のTOPIX先物売りが目立つ
日経225先物では売り方で、裁定買い(先物売り・現物買い)の動きが強まりAアムロC、ソジェンが累計上位に並ぶ。ドイツは前週から一転して売り越し基調となった。
買い方ではGSのほか、日産、野村、SMBC日興の国内勢が上位を占めた。一方、TOPIX先物の売り方では、週末にかけてGS、BofA証券の大幅な売り越しが目立った。
買い方では、JPモルガンが週末に大きく買い越し。AアムロC、BNPパリバ、ソジェンなど裁定取引が主体と思われる向きが日経225先物とは対照的に買い方上位に入った。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は2.00pt安の19.11と低下。需給イベントを警戒して日経225先物が週前半、軟調に推移するなかでも32,500円を維持した底堅さや、週半ばには早々に33,000円を回復する下値の堅さを受けて、プットが手仕舞い売りに押され、日経平均VIの低下に寄与した。
7月限オプション取引の建玉状況
<コール>
35,000円:約7,900枚(前週末比+2,000枚)
34,000円:約10,400枚(+600枚)
33,000円:約7,200枚(+1,600枚)
32,500円:約8,600枚(+0枚)
<プット>
30,000円:約16,400枚(+2,300枚)
31,000円:約7,600枚(+900枚)
32,000円:約8,100枚(+1,800枚)
32,500円:約6,900枚(+2,200枚)
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、記録的な円安や需給イベント通過後のあく抜け意識が支援
NT倍率(先物)は上昇。連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測の高まりが重荷となる一方、為替の円安進行が支えとなり、週半ばまでは方向感が出ずに一進一退。
一方、植田和男日銀総裁が欧州中央銀行(ECB)フォーラムの討論会で金融緩和の継続を主張したことで一段と円安が進展。7カ月ぶりに一時1ドル=145円台に乗せた円安が支援材料になったほか、週末は需給イベント通過後のあく抜けを意識した短期筋の買い戻しも入り、NT倍率は上昇。NT倍率は14.50を再び超え、14.51まで上昇した。
今週の日経225先物は一進一退か。
先週末に発表された米5月個人消費支出(PCE)コアデフレーターは前年同月比で市場予想を下回った。追加利上げ観測の後退で週明けは買いが先行しそうだ。
一方、日経225先物は33,500円近辺では上値が重くなる傾向が見られており、今週も同水準では利益確定売りが出やすいだろう。
また、週末の米雇用統計を控え、模様眺めムードも強まりやすい。3日に発表される米ISM製造業景気指数では景気後退懸念が再燃しないかに注目したい。
需給面では、四半期末に伴う年金基金のリバランス売りは一巡したが、今週末7日および来週初10日には上場投資信託(ETF)運用会社の分配金捻出に伴う換金売りが控えており、上値抑制要因となりそうだ。
また、投資部門別売買動向によると、6月第3週(19−23日)、海外投資家は現物で13週ぶりに売り越しに転じ、TOPIX先物は2週連続での売り越しになるなど買い一服感が見られている。
手口でもGSやBofA証券など実需筋と思われる向きからTOPIX先物での売り越しが続いている。
米経済指標の結果次第では利益確定売りが強まる可能性もあり、日経225先物の34,000円乗せには時間がかかるとみておきたい。今週の225先物予想レンジは32,500−33,900円とする。
経済スケジュール(7月3日〜7月9日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
7月3日 | 月 | 国内 | 08:50 | 日銀短観(大企業製造業DI)(4-6月) |
09:30 | 製造業PMI(6月) | |||
海外 | 10:45 | 中・財新製造業PMI(6月) | ||
14:00 | 印・製造業PMI(6月) | |||
15:30 | スイス・消費者物価指数(6月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(6月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(6月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(6月) | |||
22:45 | 米・製造業PMI(6月) | |||
23:00 | 米・建設支出(5月) | |||
23:00 | 米・ISM製造業景況指数(6月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(6月) | |||
米・自動車販売(6月、4日までに) | ||||
米・株式市場は短縮取引 | ||||
7月4日 | 火 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(6月) |
10:00 | 営業毎旬報告(6月30日現在、日本銀行) | |||
AeroEdgeが東証グロースに新規上場(公開価格:1690円) | ||||
海外 | 13:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
15:00 | 独・貿易収支(5月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(6月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(5月) | |||
米・株式市場は祝日のため休場(独立記念日) | ||||
英・イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)メンバーのテンレイロ委員が任期満了 | ||||
上海協力機構(SCO)首脳会議 | ||||
7月5日 | 水 | 国内 | 09:30 | サービス業PMI(6月) |
09:30 | 総合PMI(6月) | |||
14:00 | 需給ギャップと潜在成長率(日本銀行) | |||
ブリーチが東証グロースに新規上場(公開価格:1340円) | ||||
海外 | 10:45 | 中・財新サービス業PMI(6月) | ||
10:45 | 中・財新総合PMI(6月) | |||
14:00 | 印・サービス業PMI(6月) | |||
14:00 | 印・総合PMI(6月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(6月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏生産者物価指数(5月) | |||
22:00 | ブ・サービス業PMI(6月) | |||
22:00 | ブ・総合PMI(6月) | |||
23:00 | 米・製造業受注(5月) | |||
25:00 | 露・GDP(1-3月) | |||
27:00 | 米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月13日-14日会合分) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁が座談会に参加 | ||||
オーストリア・第8回石油輸出国機構(OPEC)インターナショナルセミナー(6日まで) | ||||
7月6日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
11:00 | 東京オフィス空室率(6月) | |||
海外 | 10:30 | 豪・貿易収支(5月) | ||
15:00 | 独・製造業受注(5月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏小売売上高(5月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(6月) | |||
21:30 | 加・貿易収支(5月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・貿易収支(5月) | |||
22:45 | 米・サービス業PMI(6月) | |||
22:45 | 米・総合PMI(6月) | |||
23:00 | 米・ISM非製造業景況指数(6月) | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(5月) | |||
米・ダラス連銀総裁がパネル討論会に参加 | ||||
7月7日 | 金 | 国内 | 08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(5月) |
08:30 | 実質賃金総額(5月) | |||
08:30 | 家計支出(5月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(5月) | |||
14:00 | 景気一致指数(5月) | |||
15:00 | コール市場残高(6月、日本銀行) | |||
グリッドが東証グロースに新規上場(公開価格:2140円) | ||||
決算発表 安川電 | ||||
海外 | 14:45 | スイス・失業率(6月) | ||
15:00 | 独・鉱工業生産指数(5月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IGP-DI)(6月) | |||
21:30 | 加・失業率(6月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(6月) | |||
21:30 | 米・失業率(6月) | |||
21:30 | 米・平均時給(6月) | |||
22:00 | ブ・自動車販売台数(6月) | |||
中・外貨準備高(6月) | ||||
欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁がパネル討論会に参加 | ||||
ベルギー・北大西洋条約機構(NATO)事務総長が首脳会議控え記者会見 | ||||
決算発表 サムスン電子(暫定集計) | ||||
7月9日 | 日 | 海外 | 中・資金調達総額(6月、15日までに) | |
中・マネーサプライ(6月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(6月、15日までに) | ||||
英・ベイリー英中央銀行総裁がパネル討論会に参加 |
- 提供:フィスコ社