先週の日経225先物は週間で980円安の32,670円と反落。
週初は売りが先行。米国市場の連休入りに伴い、前週まで積極的な買い手となっていた外国人投資家の参加が少なく、高値警戒感による国内勢の売りが優勢となった。
週半ばは為替の円安進行を支えに日経225先物は節目の33,000円を意識した底堅さが見られた。
また、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の商社株への追加投資を受け、改めて日本株の先高観が強まったことも外国人投資家の先物買いを促したようだ。
しかし、週末にかけては大幅下落が続いた。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が下院での議会証言で年内の追加利上げの必要性を再表明したことで、米金利先高観に伴うハイテク売りが影響した。
また、今月末は四半期末に当たり、現物市場ではリバランス(資産配分の調整)を目的とした年金基金の売りが警戒されており、これを見越した短期筋による先回りの売りが先物取引を中心に出たことが大きく影響した。
週末は英イングランド銀行(中央銀行)やノルウェー中銀が0.5ポイントの大幅利上げに踏み切ったことで、世界的な利上げ機運の高まりも重しとして加わった。
6月16日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆2,811億円の買い越し(前週は1兆1,570億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、4億5,576万株の買い越しで、6月9日時点(4億3,169万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(6月16日時点)
TOPIX先物で海外勢が売り方上位占める
日経225先物では売り方でシティGが週末にかけて大きく売り越し、野村、日産、三菱の国内勢が続いた。買い方では株式市場が大きく下落した週後半に裁定売りが強まり、AアムロC、ソジェンが上位に入った。
また、大和、楽天、auカブコムなど国内勢が続き、個人投資家が買い手に回ったことが示唆された。一方、TOPIX先物の売り方ではBofA、JPモルガン、バークレイズなど海外勢が上位を占めた。買い方では野村がトップとなり、GS、モルガンSの海外勢も買い越し基調となった。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は0.37pt高の21.11と上昇。
日経225先物が急速に値を崩していった週末にかけてプットの買い需要が強まり、日経平均VIの上昇につながった。
7月限オプション取引の建玉状況
<コール>
35,000円:約5,900枚(前週末比+100枚)
34,000円:約9,800枚(−1,100枚)
33,000円:約5,600枚(−300枚)
32,500円:約8,600枚(+300枚)
<プット>
28,000円:約7,400枚(+1,100枚)
29,000円:約7,600枚(−900枚)
30,000円:約14,100枚(+2,400枚)
31,000円:約6,700枚(+300枚)
32,000円:約6,300枚(+700枚)
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、需給悪化を見越した先回り売りが加速
NT倍率(先物)は低下。週初は米国市場の連休入りに伴い、前週まで積極的な買い手となっていた外国人投資家の参加が少なかった。
このため高値警戒感による国内勢の売りを吸収できず、日経225先物主導で利益確定売りが先行するなか、NT倍率は低下して始まった。
その後は為替の円安を支えにNT倍率は週半ばまで底堅く推移。
一方、週後半は月末にかけて現物市場において年金基金によるリバランス(資産配分の調整)目的の売りが警戒されるなか、これを見越した短期筋による先回りの売りが先物取引を中心に出た。225先物主導で下落するなか、週末にかけてNT倍率は大きく低下し、6月12日以来となる14.5倍割れとなった。
今週の日経225先物は上値の重い展開か。
月末にかけて年金基金のリバランス目的の売りが強まることが予想される。
また、足元では7月上旬の上場投資信託(ETF)運用会社による分配金捻出のための換金売りを警戒する声も増えてきた。
33,000円を割り込んだ日経225先物に対して依然として先高観を指摘する向きもいるが、来月上旬にかけての需給悪化が想定されるなか目先は上値の重い展開を強いられよう。
先週末に発表された欧米の6月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値はともに市場予想を下回り、景気減速懸念が強まっている。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内2回と、市場が織り込むよりも多い利上げ回数を示唆しているほか、先週は英国やノルウェーの中央銀行が0.5ポイントの大幅利上げに踏み切るなど、世界的な金融引き締め長期化が懸念されている。
過剰な利上げと景気後退に対する警戒感から投資家心理は悪化しており、上昇基調が続いていた各国株式市場は調整を強いられそうだ。
景気指標の悪化が続くなか、グローバルマクロ系ファンドの売りも想定され、先週から手口で見られている海外勢のTOPIX先物売りが今週も続く可能性があろう。
週末にかけては米個人消費支出(PCE)コアデフレーターなど重要指標も多く、相場は神経質な展開となろう。今週の225先物予想レンジは32,000−33,400円とする。
経済スケジュール(6月26日〜7月2日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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6月26日 | 月 | 国内 | 08:50 | 企業向けサービス価格指数(5月) |
08:50 | 日銀金融政策決定会合における主な意見(6月15、16日分) | |||
ブリッジコンサルティンググループが東証グロースに新規上場(公開価格:1300円) | ||||
ジャパンドローン2023・第2回次世代エアモビリティEXPO2023(28日まで) | ||||
海外 | 17:00 | 独・IFO企業景況感指数(6月) | ||
20:00 | ブ・FGV消費者信頼感指数(6月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
20:30 | ブ・経常収支(5月) | |||
20:30 | ブ・海外直接投資(5月) | |||
23:30 | 米・ダラス連銀製造業景況指数(6月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
ポルトガル・欧州中央銀行(ECB)フォーラム(28日まで)、ラガルド総裁が開会の辞 | ||||
欧州連合(欧)外相理事会 | ||||
6月27日 | 火 | 国内 | 08:50 | 資金循環統計速報(1-3月、日本銀行) |
14:00 | 景気先行CI指数(4月) | |||
14:00 | 景気一致指数(4月) | |||
14:00 | 基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日本銀行) | |||
クオリプスが東証グロースに新規上場(公開価格:1560円) | ||||
エリッツホールディングスが東証スタンダードに新規上場(公開価格:1580円) | ||||
海外 | 17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | ||
20:00 | ブ・ブラジル中央銀行金融政策委員会(COPOM)議事録公表 | |||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(6月) | |||
21:00 | ブ・拡大消費者物価指数(IPCA-15)(6月) | |||
21:30 | 加・消費者物価指数(5月) | |||
21:30 | 米・耐久財受注(5月) | |||
22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(4月) | |||
22:00 | 米・FHFA住宅価格指数(4月) | |||
23:00 | 米・新築住宅販売件数(5月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(6月) | |||
23:00 | 米・リッチモンド連銀製造業景況指数(6月) | |||
欧・ECBフォーラム(2日目)、ラガルド総裁が冒頭で講演 | ||||
中・夏季ダボス会議(29日まで)、李強首相が出席 | ||||
6月28日 | 水 | 国内 | ノイルイミューン・バイオテックが東証グロースに新規上場(公開価格:740円) | |
プロディライトが東証グロースに新規上場(公開価格:1440円) | ||||
海外 | 10:30 | 中・工業利益(5月) | ||
10:30 | 豪・消費者物価指数(5月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(5月) | |||
20:30 | ブ・融資残高(5月) | |||
20:30 | ブ・ローン残高(5月) | |||
20:30 | ブ・個人ローン・デフォルト率(5月) | |||
26:30 | ブ・連邦政府債務残高(5月) | |||
米・連邦準備制度理事会(FRB)がストレステストの結果発表 | ||||
欧・ECBフォーラム(最終日)、植田日銀総裁、パウエルFRB議長、ECB総裁、ベイリー英中銀総裁がパネル討論会に参加 | ||||
6月29日 | 木 | 国内 | 08:50 | 小売売上高(5月) |
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(5月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
14:00 | 消費者態度指数(6月) | |||
日韓財務大臣級対話 | ||||
W TOKYOが東証グロースに新規上場(公開価格:3000円) | ||||
海外 | 10:30 | 豪・小売売上高(5月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(6月) | |||
20:00 | ブ・中央銀行が四半期インフレ報告公表 | |||
20:00 | ブ・FGVインフレIGPM(6月) | |||
21:00 | 独・消費者物価指数(6月) | |||
21:30 | 米・GDP改定値(1-3月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(5月) | |||
26:30 | ブ・中央政府財政収支(5月) | |||
米・アトランタ連銀総裁が講演 | ||||
欧・欧首脳会議(30日まで) | ||||
欧・ECB経済報告 | ||||
6月30日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価指数(東京都区部)(6月) |
08:30 | 有効求人倍率(5月) | |||
08:30 | 失業率(5月) | |||
08:50 | 鉱工業生産指数(5月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年、残存25年超)(日本銀行) | |||
14:00 | 住宅着工件数(5月) | |||
クラダシが東証グロースに新規上場(公開価格:520円) | ||||
ジーデップ・アドバンスが東証スタンダードに新規上場(公開価格:4510円) | ||||
ノバレーゼが東証スタンダードに新規上場(公開価格:600円) | ||||
海外 | 10:30 | 中・製造業PMI(6月) | ||
10:30 | 中・非製造業PMI(6月) | |||
10:30 | 中・総合PMI(6月) | |||
15:00 | 英・GDP改定値(1-3月) | |||
16:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏失業率(5月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(6月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(5月) | |||
20:30 | ブ・基礎的財政収支(5月) | |||
20:30 | ブ・純債務対GDP比(5月) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種生産高(5月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(5月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(5月) | |||
21:30 | 米・個人所得(5月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(5月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(5月) | |||
22:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(6月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者マインド指数(6月) | |||
中・経常収支確定値(1-3月) |
- 提供:フィスコ社