先週の日経225先物は週間で60円高の30,960円と7週続伸。
前の週末に米債務上限交渉の中断が報じられ、米国株が下落したことで週明けは売りが先行。
しかし、商品投資顧問(CTA)など短期筋も含めて海外勢の買い意欲は健在で、朝安後は切り返してプラスに転じた。
ただ、さすがに連騰に伴う高値警戒感も台頭したほか、米債務上限問題の先行き不透明感も上値を抑制し、23日は31,360円まで買われた後は失速して下落に転換、24日も続落し、25日の夜間取引には一時30,400円まで調整した。
一方、米エヌビディアの予想を大幅に上回る好決算を契機に指数寄与度の高い半導体を中心としたハイテク株に強い買いが入り、海外勢の日本株買いの意欲が再燃、先物も再び騰勢を強めた。
週末には1ドル=140円台に乗せた為替の円安も支援材料となり、日経225先物は週間でプラス圏に転じた。
5月19日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆275億円の買い越し(前週は8,752億円の買い越し)と増加した。
一方、株数ベースでは、3億8,908万株の買い越しで、5月12日時点(3億4,741万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(5月19日時点)
国内勢は売り越し、海外短期筋は買い越し
日経225先物の売り方では裁定買いの動きが強まり、BNPパリバ、AアムロCが上位に並んだほか、みずほ、野村、三菱UFJの国内勢が続いた。
買い方では個人投資家の動きが活発化したか、SBIが累計トップに躍り出た。CTAなど短期筋と思われるドイツ証券が今週も上位に入り、システマティック系ファンドと思われるバークレイズも前週に続き上位に入る。
一方、TOPIX先物の売り方ではみずほがトップで野村も上位に入るなど国内勢が目立った。また、BofA証券が週半ばから大きく売り越し基調に転じた。
買い方ではソジェンが大幅買い越しとなり、バークレイズも上位、どちらもシステマティック系ファンドと推察される。また、ドイツ証券が今週も上位に入った。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は0.74pt安の19.33と低下。
日経225先物が連騰の反動をこなして週間ベースでの上昇を続けるなか、劣勢を強いられている売り方はプットの手仕舞い売りを進め、これが日経平均VIの低下につながった。
6月限オプション取引の建玉状況
<コール>
34,000円:約4,000枚(前週末比−900枚)
33,000円:約8,700枚(+1,300枚)
32,000円:約13,100枚(+1,000枚)
31,000円:約10,000枚(+600枚)
30,500円:約8,300枚(−300枚)
30,000円:約11,700枚(−700枚)
<プット>
26,000円:約21,300枚(+200枚)
26,500円:約10,400枚(−1,700枚)
27,000円:約20,100枚(−1,800枚)
27,500円:約11,300枚(+500枚)
28,000円:約14,800枚(−600枚)
28,500円:約8,700枚(+200枚)
29,000円:約9,600枚(+200枚)
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、CTAなど海外短期筋の買い続く
NT倍率(先物)は上昇。
商品投資顧問(CTA)など海外短期筋の買いが続き、NT倍率は週前半に上昇。
ただ、短期的な過熱感や米債務上限問題を巡る先行き不透明感から、一時225先物主導で利益確定売りが強まると、週半ばにNT倍率も上昇一服。
一方、米エヌビディアの好決算を契機に指数寄与度の大きい半導体を中心としたハイテク株が軒並み急伸したことが海外勢の買い意欲を再燃させ、週末にかけては再びCTAやシステマティック系ファンドの買いでNT倍率は上昇した。
今週の日経225先物は神経質な展開か。
米国債務上限問題の基本合意での米株高を受けて、先週末の日経225先物は夜間取引の間に31,500円台に乗せてきている。
引き続き短期的な過熱感はくすぶるが、現物市場で指数寄与度の大きいハイテク株買いが続けば、先高観から先物買いも続くだろう。
先物手口では、CTAとの連動性の高いドイツ証券やシステマティック系ファンドと思われるバークレイズなど短期筋の買い越し基調が続いており、買い意欲は依然として残っているとみられる。
一方、世界景気の先行き不透明感から、グローバルマクロ系ファンドなどのTOPIX先物買いは確認されていない。
足の速い短期筋中心の手口に頼った構図は不安定さを伴い、米債務上限問題の行方次第ではトレンドが急転換する可能性もある。
しかし、逆に債務上限交渉が妥結すれば一段と上値を追う展開が予想される。米追加利上げ観測が高まるなか、週末には米雇用統計が控えているため、週後半の米金利動向などには注意を払う必要があるが、日経225先物に限っては大勢強気相場が続くとみておきたい。
今週の225先物予想レンジは30,400−32,000円とする。
経済スケジュール(5月29日〜6月4日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
5月29日 | 月 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年、残存25年超)(日本銀行) |
14:00 | 景気一致指数(3月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(3月) | |||
海外 | 20:25 | ブ・週次景気動向調査 | ||
26:30 | ブ・連邦政府債務残高(4月) | |||
米・株式市場は祝日のため休場(メモリアル・デー) | ||||
英・株式市場は祝日のため休場(スプリングバンクホリデー) | ||||
ナイジェリア・ティヌブ新大統領就任 | ||||
5月30日 | 火 | 国内 | 08:30 | 有効求人倍率(4月) |
08:30 | 失業率(4月) | |||
17:00 | 国債買い入れ日程(6月、日本銀行) | |||
国内自動車各社が生産・販売実績発表(4月) | ||||
海外 | 16:00 | スイス・GDP(1-3月) | ||
17:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(4月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(5月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(5月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレIGPM(5月) | |||
20:30 | ブ・融資残高(4月) | |||
20:30 | ブ・ローン残高(4月) | |||
20:30 | ブ・個人ローンデフォルト率(4月) | |||
21:30 | 加・経常収支(1-3月) | |||
22:00 | 米・FHFA住宅価格指数(3月) | |||
22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(3月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(5月) | |||
26:30 | ブ・中央政府財政収支(4月) | |||
米・リッチモンド連銀総裁が全米企業エコノミスト協会(NABE)のインタビュー | ||||
スウェーデン・米欧州連合(欧)貿易技術評議会(TTC)(31日まで) | ||||
台湾・台北国際コンピュータ見本市(COMPUTEX)(6月2日まで) | ||||
伊・5、10年債入札 | ||||
5月31日 | 水 | 国内 | 08:50 | 小売売上高(4月) |
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(4月) | |||
08:50 | 鉱工業生産指数(4月) | |||
14:00 | 住宅着工件数(4月) | |||
14:00 | 消費者態度指数(5月) | |||
19:00 | 外国為替平衡操作の実施状況 (月次ベース、4月27日-5月29日) | |||
海外 | 10:30 | 中・製造業PMI(5月) | ||
10:30 | 中・非製造業PMI(5月) | |||
10:30 | 中・総合PMI(5月) | |||
10:30 | 豪・消費者物価指数(4月) | |||
16:00 | トルコ・GDP(1-3月) | |||
16:00 | タイ・中央銀行が政策金利発表 | |||
16:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(5月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(3月) | |||
20:30 | ブ・基礎的財政収支(4月) | |||
20:30 | ブ・純債務対GDP比(4月) | |||
21:00 | 印・GDP(1-3月) | |||
21:00 | 印・年間GDP予想(2023年) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種(4月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(4月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(4月) | |||
21:00 | 独・消費者物価指数(5月) | |||
21:30 | 加・GDP(1-3月) | |||
22:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(5月) | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(4月) | |||
米・ボストン連銀総裁とボウマンFRB(連邦準備制度理事会)理事がイベント開会のあいさつ | ||||
米・ボストン連銀総裁がイベント閉会のあいさつ | ||||
米・フィラデルフィア連銀総裁が講演 | ||||
米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表 | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)が金融安定報告公表 | ||||
ノルウェー・非公式北大西洋条約機構(NATO)外相会合(6月1日まで) | ||||
独・7年債入札 | ||||
6月1日 | 木 | 国内 | 08:50 | 設備投資(1-3月) |
08:50 | 企業利益(1-3月) | |||
08:50 | 企業売上高(1-3月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
09:30 | 製造業PMI(5月) | |||
16:00 | 債券市場サーベイ(5月調査、日本銀行) | |||
海外 | 10:45 | 中・財新製造業PMI(5月) | ||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(5月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(5月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏失業率(4月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
21:00 | ブ・GDP(1-3月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(5月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・労働生産性確定値(1-3月) | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(5月) | |||
22:45 | 米・製造業PMI(5月) | |||
23:00 | 米・建設支出(4月) | |||
23:00 | 米・ISM製造業景況指数(5月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(5月) | |||
米・自動車販売(5月、2日までに) | ||||
米・イエレン財務長官が警告する米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデー」 | ||||
米・フィラデルフィア連銀総裁がウェビナーで講演 | ||||
欧・ECB議事要旨(5月会合) | ||||
南ア・BRICS外相会合・関連会合(2日まで) | ||||
6月2日 | 金 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(5月) |
10:00 | 営業毎旬報告(5月31日現在、日本銀行) | |||
海外 | 08:00 | 韓・GDP(1-3月) | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(5月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(4月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(5月) | |||
21:30 | 米・失業率(5月) | |||
21:30 | 米・平均時給(5月) | |||
世界銀行の新総裁にアジェイ・バンガ氏が就任 | ||||
シンガポール・アジア安全保障会議(シャングリラ会合)(4日まで) | ||||
6月4日 | 日 | 海外 | 「石油輸出国機構(OPEC)プラス」閣僚級会合 | |
中・天安門事件から34年 |
- 提供:フィスコ社