5月第1週の日経225先物は週間で260円高と4週続伸。
米地銀ファースト・リパブリック・バンクについてJPモルガン・チェースが買収で合意し、金融不安が緩和したほか、為替の円安が支援要因になり、日経225先物は29,000円を超えた。
第2週の225先物は週間で290円高と5週続伸。国内連休中は米地銀株の乱高下や年内の利下げに否定的な見解を示した米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の記者会見のほか、総じて市場予想を上振れた米雇用統計など株式市場にネガティブな材料が散見された。
ただ、連休後半に米地銀株が持ち直したことや米アップルの決算が堅調だったことが安心感を生んだ。
また、米国の銀行融資担当者調査(SLOOS)がシリコンバレー銀行破綻後としては警戒された程の落ち込みでなかったほか、週後半に発表された米4月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)が総じて予想を下回ったことがさらなる安心感につながった。
こうした中、週末の5月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出に向けた買い戻しなども上昇に拍車をかけ、225先物は週末に一段高となった。SQ確定値は29235円だった。
5月2日時点の裁定残高は、ネットベースで6,784億円の買い越し(前週は5,364億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、3億1,002万株の買い越しで、4月28日時点(2億6,048万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(5月2日時点)
三菱UFJがTOPIX先物で2週連続売り方トップ
5月第1週、売り方では日経225先物で裁定買い(先物売り・現物買い)の動きからAアムロCがトップに。逆張り目線の個人による日経レバETFの売りで野村も上位に入る。
TOPIX先物では国内機関投資家の売りから三菱UFJがトップに。買い方ではリスクパリティ系ファンドの買いか、225先物でソジェン、TOPIX先物ではバークレイズがトップとなった。
第2週、売り方では225先物で商品投資顧問(CTA)と連動性の高いドイツ証券が売り越し基調で累計トップとなった。TOPIX先物では前週に続き三菱UFJが累計トップ。買い方では両先物でソジェンが上位に入り、TOPIX先物ではBofA証券が大きく累計トップに躍り出た。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近)
TOPIX先物手口(期近)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
5月第1、2週の間、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は0.56pt高の15.78と上昇。
日経225先物が底堅い動きを保ちながら上値を試す中、先高観からコールの価格が上昇する一方、プットの価格は下落する傾向が見られた。
一方、高値警戒感を指摘する向きも多く、先行きに対する見方が分かれる中、現行価格水準から離れた権利行使価格のオプション取引が活発になり、これが日経平均VIの上昇につながった。
6月限オプション取引の建玉状況
<コール>
31,000円:約9,400枚
30,500円:約8,900枚
30,000円:約14,100枚
29,500円:約7,300枚
29,000円:約9,400枚
28,500円:約6,500枚
28000円:約9,200枚
<プット>
26,000円:約21,600枚
26,500円:約10,600枚
27,000円:約15,000枚
27,500円:約11,400枚
28,000円:約10,900枚
28,500円:約6,300枚
ボラティリティ
NT倍率(先物)は往って来い、過度な景気懸念緩和でBofA証券がTOPIX先物買い越し
NT倍率(先物)は連休入り前は様子見でもみ合い。一方、連休明け後は低下し、14倍割れでの推移が続いた。
総じて予想を上回る米雇用統計や米アップルの堅調な決算に加え、米国の銀行融資担当者調査(SLOOS)がシリコンバレー銀行破綻後としては警戒された程の落ち込みでなかったことで景気後退懸念が緩和。為替の円安基調も追い風となり、TOPIX先物でのBofA証券の買い越しが目立つなか、NT倍率は低下した。
一方、米4月の消費者物価指数(CPI)に続いて卸売物価指数(PPI)でもインフレの鈍化基調が確認されたことで米金利が大きく低下したほか、東京エレクトロン<8035>が決算通過に伴うあく抜け感で大幅高となったことが225先物買いにつながり、NT倍率は週末に14倍を回復した。
今週の日経225先物は底堅い動きか。
決算発表は概ね一巡したが、自社株買いなど積極的な株主還元の方針を示す企業が多く、日本株の下値が堅いとの見方が相場の上昇につながっている。
東京市場では15日も数が多く、米国でも週半ば以降にホーム・デポ、ターゲット、ウォルマート、アプライド・マテリアルズなど注目度の高い決算がいくつか予定されている。
このため、引き続き投資家の目線は現物市場に向きやすく、先物市場での仕掛け的な売りは出にくいか。
一方、国内では15日を過ぎれば決算発表はほぼ一巡するため、海外市場発の材料で金利や為替が大きく動いた場合には先物主導で売りが先行する可能性も捨てきれない。
世界的な景気後退懸念がくすぶる中、米中で小売売上高や鉱工業生産といった重要経済指標が多く発表されることもあり、海外市場動向には注意が必要だ。
先物手口では、商品投資顧問(CTA)との連続性が高いドイツ証券が国内大型連休入り前に225先物およびTOPIX先物で売り方に転じていたが、5月2日以降、225先物では売り越し基調が鮮明になり、第2週は売り方トップだった。
225先物は先週末の夜間取引に29,500円を超えてきているが、高値警戒感がくすぶる中、短期筋の売り転換サインには留意しておきたい。今週の225先物予想レンジは28,500−29,900円。
経済スケジュール(5月15日〜5月21日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
5月15日 | 月 | 国内 | 08:50 | 国内企業物価指数(4月) |
15:00 | 工作機械受注(4月) | |||
決算発表 エーザイ、ブリヂストン、リクルトH、ヤマハ発、第一生命H、日本郵政、日産化、千葉銀行、スズキ、京セラ | ||||
決算発表 三井住友フィナンシャルグループ、朝日インテ、日本ペイH、かんぽ生命、飯田GHD、ゆうちょ銀、みずほFG | ||||
決算発表 電通G、SMC、T&DHD、オープンH、住友化、テルモ、MUFG、三菱HCC、近鉄GHD、鹿島、阪急阪神H | ||||
海外 | 10:20 | 中・1年物中期貸出ファシリティ金利 | ||
11:30 | タイ・GDP(1-3月) | |||
15:30 | 印・卸売物価指数(4月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(3月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
20:30 | 印・輸出(4月) | |||
20:30 | 印・輸入(4月) | |||
21:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(5月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
29:00 | 米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(3月) | |||
印・貿易収支(4月) | ||||
米・アトランタ連銀総裁が金融市場関連会合の冒頭であいさつ | ||||
米・ミネアポリス連銀総裁が討論会に参加 | ||||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
欧・欧州委員会(EC)が春季経済予測を発表 | ||||
5月16日 | 火 | 海外 | 11:00 | 中・鉱工業生産指数(4月) |
11:00 | 中・小売売上高(4月) | |||
11:00 | 中・固定資産投資(都市部)(4月) | |||
11:00 | 中・不動産投資(4月) | |||
11:00 | 中・住宅販売(4月) | |||
11:00 | 中・調査失業率(4月) | |||
15:00 | 英・失業率(4月) | |||
15:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(3月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏GDP改定値(1-3月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(3月) | |||
18:00 | 独・ZEW期待指数(5月) | |||
18:30 | 南ア・失業率(1-3月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(3月) | |||
21:30 | 加・消費者物価指数(4月) | |||
21:30 | 米・小売売上高(4月) | |||
22:15 | 米・鉱工業生産指数(4月) | |||
22:15 | 米・設備稼働率(4月) | |||
23:00 | 米・NAHB住宅市場指数(5月) | |||
23:00 | 米・企業在庫(3月) | |||
米・クリーブランド連銀総裁がダブリンで講演 | ||||
米・ニューヨーク連銀総裁がバージン諸島の大学のイベントで公開討議 | ||||
米・アトランタ連銀総裁とシカゴ連銀総裁がアトランタ連銀主催の会合で公開討論 | ||||
米・上院小委員会で人工知能(AI)巡る公聴会 | ||||
欧・欧州連合(欧)財務相理事会 | ||||
アイスランド・欧州評議会首脳会議(17日まで) | ||||
ウズベキスタン・欧州復興開発銀行(EBRD)年次総会(18日まで) | ||||
決算発表 百度 | ||||
5月17日 | 水 | 国内 | 08:50 | GDP速報値(1-3月) |
13:30 | 鉱工業生産(3月) | |||
13:30 | 設備稼働率(3月) | |||
海外 | 10:30 | 中・新築住宅価格(4月) | ||
15:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(4月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏CPI(4月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IGP-10)(5月) | |||
21:00 | ブ・小売売上高(3月) | |||
21:30 | 米・住宅着工件数(4月) | |||
21:30 | 米・住宅建設許可件数(4月) | |||
25:00 | 露・GDP(1-3月) | |||
決算発表 シーメンス、コメルツ銀、テンセント・ホールディングス、シスコシステムズ | ||||
5月18日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
08:50 | 輸入(4月) | |||
08:50 | 輸出(4月) | |||
08:50 | 貿易収支(4月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) | |||
14:00 | 首都圏新築分譲マンション(4月) | |||
海外 | 10:30 | 豪・失業率(4月) | ||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売件数(4月) | |||
23:00 | 米・景気先行指数(4月) | |||
米・「Bitocoin2023」(20日まで) | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)経済報告 | ||||
決算発表 ウォルマート、アリババグループ、アプライド | ||||
5月19日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価コア指数(4月) |
13:30 | 第3次産業活動指数(3月) | |||
G7広島サミット(21日まで) | ||||
決算発表 東京海上ホールディングス、信金中央金庫、SOMPOホールディングス、MS&AD | ||||
海外 | 07:45 | NZ・貿易収支(4月) | ||
21:00 | ブ・経済活動(3月) | |||
21:30 | 加・小売売上高(3月) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁がワシントンの会合で基調講演 | ||||
米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長とバーナンキ元FRB議長がワシントンの会合で討論会に参加 | ||||
ブ・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁がブラジル中央銀行の会議に参加 | ||||
サウジアラビア・アラブ連盟首脳会議 | ||||
5月21日 | 日 | 海外 | ギリシャ・総選挙 | |
スイス・世界保健機関(WHO)第76回世界保健総会(WHA)(30日まで) |
- 提供:フィスコ社