先週の日経225先物は週間で140円高(上昇率0.49%)の28,560円と続伸。
週前半は上昇が続いた。JPモルガン・チェースなど米金融決算が概ね堅調だったことで安心感が台頭したほか、為替の円安進行が大きな支援要因になった。
また、中国の1-3月期国内総生産(GDP)や3月小売売上高が予想を上振れたことも投資家心理を改善させた。
一方、その後は週末までもみ合いが続いた。引き続き円安が支援したが、米セントルイス連銀総裁がタカ派な姿勢を表明したほか、米電気自動車メーカーのテスラの低調な決算が投資家心理を悪化させた。
また、週末には米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が約3年ぶりの低水準を記録したことが重しになった。一方、台湾積体電路製造(TSMC)が事前報道に反して設備投資計画を維持したことや米ラム・リサーチが中国半導体輸出規制の影響が想定以下との見方を示したことなどが好感され、指数寄与度の大きい半導体株の上昇が短期筋の先物買いを誘発した。
岸田首相が海外からの投資促進策の一環として半導体分野のサプライチェーン確立などを目指したアクションプランを策定方針と伝わったことも支援した。
4月14日時点の裁定残高は、ネットベースで5,194億円の買い越し(前週は6,687億円の買い越し)と減少した。一方、株数ベースでは、2億6,572万株の買い越しで、4月7日時点(3億369万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(4月14日時点)
ドイツ証券など短期筋の買い越しが目立つ
日経225先物の売り方では裁定買い(先物売り・現物買い)の動きから前週に続きAアムロCが累計トップ。逆張り目線の個人による日経レバETF<1570>の売りで野村、SBIも前週に続き上位に入った。
買い方ではJPモルガンが買い筆頭となり、ソジェン、ドイツ証券、バークレイズの買い越しは短期筋が主体と思われる。一方、TOPIX先物の売り方では裁定買いの動きから前週同様、BNPパリバ、AアムロCが累計上位に並び、JPモルガンも前週同様に売り越し基調となった。
買い方ではドイツ証券が累計トップだが、これは短期筋主体か。シティG、バークレイズが続き、HSBCは週末の買い越しが目立った。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で0.5pt安の16.10と低下。
日経225先物が引き続き底堅い動きを見せる中、プットの手仕舞い売りが続き、日経VIは一段と低下した。
5月限オプション取引の建玉状況<コール>
30,000円:約6,600枚(前週末比約+1,000枚)
29,500円:約7,700枚(+400枚)
29,000円:約7,100枚(+400枚)
28,500円:約3,100枚(−300枚)
28,000円:約4,600枚(−100枚)
<プット>
26,000円:約9,500枚(+200枚)
26,500円:約4,400枚(+600枚)
27,000円:約8,300枚(+1,500枚)
27,500円:約6,300枚(+2,200枚)
28,000円:約4,600枚(+2,100枚)
ボラティリティ
NT倍率(先物)はほぼ横ばい、景気後退懸念が一進一退
NT倍率(先物)は往って来いでほぼ横ばい。
米金融決算が概ね堅調だったほか、中国の1-3月期国内総生産(GDP)や3月小売売上高が大幅に改善したため、景気後退懸念が緩和する中、為替の円安が進み、海外勢のTOPIX先物の買い戻しが進展。
また、台湾積体電路製造(TSMC)が設備投資計画を下方修正するとの観測報道で値がさハイテク株が一時売られたこともあり、週半ばまではNT倍率の低下が続いた。
一方、米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が約3年ぶりの低水準を記録したほか、TSMCが事前報道に反して設備投資計画を維持するなど半導体企業で想定よりも悪くない決算が確認されたことで、週後半はハイテク株買い・景気敏感株売りの動きが強まり、NT倍率は持ち直した。
今週の225先物は一進一退か。
日米で主力企業の決算発表が本格化するため、現物市場での個別株物色が中心となり、先物市場は商いが低調になりやすいだろう。
週末に日銀金融政策決定会合の結果と植田総裁の記者会見を控えていることもあり、方向感も出にくいと予想される。
一方、直近2週間の株式市場は想定超の底堅い展開を見せている。
しかし、先物手口をみると、225先物及びTOPIX先物ともに商品投資顧問(CTA)との連動性の高いドイツ証券や、日本株調査部門を持たず、システマティックな売買が専門とみられるバークレイズが買い方上位に並んでおり、主体は短期筋のようだ。
実需筋による買いが入っていないため、実体は見た目程には強くないと捉えておいた方がよさそうだ。
また、オプション市場でも先週はプットの建玉が大きく増加する傾向が見られており、下値に備えた動きも増えてきていると考えられる。植田総裁の記者会見を控える週末の朝方には4月都区部消費者物価指数(CPI)も発表される。
先週末に発表された3月全国CPIではコアコアCPIが市場予想を上回る加速を見せており、4月都区部CPIの結果次第では週末に円高・ドル安が進むことで短期筋の売りが誘発される可能性もあろう。今週の225先物予想レンジは27,500−29,300円とする。
経済スケジュール(4月24日〜4月30日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
4月24日 | 月 | 国内 | 決算発表 ニデック、コエテクH | |
海外 | 17:00 | 独・IFO企業景況感指数(4月) | ||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(4月22日まで一か月間) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
国連安全保障理事会(国連安保理)で国連憲章の原則擁護をテーマに公開討論(議長:露外相) | ||||
欧・欧州連合(欧)外相理事会 | ||||
米・バージニア州知事が通商代表団を率いアジア歴訪(29日まで) | ||||
仏・議員団が台湾訪問の予定(24日〜の週) | ||||
4月25日 | 火 | 国内 | 08:50 | 企業向けサービス価格指数(3月) |
14:30 | 東京地区百貨店売上高(3月) | |||
14:30 | 全国百貨店売上高(3月) | |||
月例経済報告(4月) | ||||
海外 | 08:00 | 韓・GDP(1-3月) | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(4月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者信頼感(4月) | |||
20:30 | ブ・経常収支(3月) | |||
20:30 | ブ・海外直接投資(3月) | |||
21:00 | ブ・小売売上高(2月) | |||
22:00 | 米・FHFA住宅価格指数(2月) | |||
22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(2月) | |||
23:00 | 米・新築住宅販売件数(3月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(4月) | |||
国連安保理で中東に関する公開討論(議長:露外相) | ||||
北朝鮮・朝鮮人民革命軍創建日 | ||||
米・2年債入札 | ||||
独・2年債入札 | ||||
4月26日 | 水 | 海外 | 07:45 | NZ・貿易収支(3月) |
10:30 | 豪・消費者物価指数(1-3月) | |||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(4月) | |||
20:30 | ブ・融資残高(3月) | |||
20:30 | ブ・ローン残高(3月) | |||
20:30 | ブ・個人ローン・デフォルト率(3月) | |||
21:30 | ブ・IBGEインフレ率IPCA-15(4月) | |||
21:30 | 米・耐久財受注(3月) | |||
21:30 | 米・卸売在庫(3月) | |||
26:30 | ブ・連邦政府債務残高(3月) | |||
米・米韓首脳会談 | ||||
伊・ウクライナ復興に関する会議 | ||||
米・2年変動利付債入札 | ||||
米・5年債入札 | ||||
独・15年債入札 | ||||
4月27日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年、残存25年超)(日本銀行) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(2月) | |||
14:00 | 景気一致指数(2月) | |||
日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目) | ||||
海外 |
10:30 | 中・工業利益(3月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(4月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(4月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレIGPM(4月) | |||
20:00 | トルコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(2月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・GDP速報値(1-3月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(3月) | |||
26:30 | ブ・中央政府財政収支(3月) | |||
米・韓国の尹錫悦大統領が連邦議会で演説 | ||||
南北朝鮮板門店宣言から5年 | ||||
米・7年債入札 | ||||
伊・5年債、10年債入札 | ||||
4月28日 | 金 | 国内 | 08:30 | 有効求人倍率(3月) |
08:30 | 東京CPI(4月) | |||
08:30 | 失業率(3月) | |||
08:50 | 小売売上高(3月) | |||
08:50 | 鉱工業生産指数(3月) | |||
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(3月) | |||
14:00 | 住宅着工件数(3月) | |||
15:30 | 植田新日銀総裁が会見 | |||
17:00 | 国債買い入れ日程(5月、日本銀行) | |||
19:00 | 外国為替平衡操作の実施状況(月次ベース、3月30日-4月26日) | |||
日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表 | ||||
海外 | 16:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(4月) | ||
17:00 | 独・GDP速報値(1-3月) | |||
17:00 | 台湾・GDP(1-3月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏GDP速報値(1-3月) | |||
19:30 | 露・ロシア中央銀行が政策金利発表 | |||
20:30 | ブ・基礎的財政収支(3月) | |||
20:30 | ブ・純債務対GDP比(3月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(3月) | |||
21:00 | ブ・経済活動(2月) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種生産高(3月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(3月) | |||
21:00 | 独・消費者物価指数(4月) | |||
21:30 | 米・個人所得(3月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(3月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(3月) | |||
21:30 | 米・雇用コスト指数(1-3月) | |||
22:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(4月) | |||
23:00 | 米ミシガン大学消費者マインド指数 (4月) | |||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
欧・非公式欧財務相・中銀総裁会合(29日まで) | ||||
4月30日 | 日 | 海外 | 10:30 | 中・製造業PMI(4月) |
10:30 | 中・非製造業PMI(4月) | |||
10:30 | 中・総合PMI(4月) |
- 提供:フィスコ社