先週の日経225先物は週間で150円高(上昇率0.55%)の27,180円と反発。
米地銀の経営不安と関連株の乱高下が続く中、週明けはリスク回避の動きが先行し、大きく下落。
UBSによるクレディ・スイス・グループの買収合意や日米欧の6中央銀行によるドル資金の供給強化などの支援策も出たが、センチメントの本格回復には至らなかった。
一方、国内祝日明けの22日は大幅に反発。銀行の経営不安で米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止期待が高まったほか、イエレン米財務長官が中小銀行の預金保護で追加措置を講じることを示唆したことが安心感を誘った。
ただ、その後は週末まで一進一退となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)では従来計画通りに0.25ポイントの利上げが決定されたほか、年内の利下げが否定されるなどタカ派な内容が確認された。
一方、利上げ停止の議論がなされたこと、銀行の経営不安がもたらす信用収縮に注意を払い、今後の柔軟な姿勢を示唆するなどハト派の内容も見られたことで相場の方向感を決めるには至らなかった。
現物市場では年後半からの市況回復や金利先高観の後退を背景に半導体関連株が強い動きを見せ、これが日経225先物の底堅さにもつながったとみられる。
3月17日時点の裁定残高は、ネットベースで9,739億円の買い越し(前週は1兆2,279億円の買い越し)と減少した。一方、株数ベースでは、4億1,773万株の買い越しで、3月10日時点(4億9,240万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(3月17日時点)
ドイツは両先物ともに一転して買い越し
両先物ともに売り方トップはソジェンだった。
日経225先物では先週売り越し基調だったドイツ証券が一転して買い越し基調となり、これは商品投資顧問(CTA)の買い戻しと推察される。
TOPIX先物では売り方上位に先週に続き、JPモルガン、バークレイズが入った。
買い方ではBofA証券とGSが週を通して買い越し基調となったほか、225先物と同様、先週売り越し基調だったドイツ証券が買い越し基調となった。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で0.37pt安の19.08と低下。
週を通して日経225先物が一進一退となる中、日経VIも方向感が定まらなかった。
4月限オプション取引の建玉状況
<コール>
30,000円:約4,200枚(前週末比+0枚)
29,500円:約5,200枚(+200枚)
29,000円:約7,000枚(+600枚)
28,500円:約5,800枚(+200枚)
28,000円:約6,500枚(+0枚)
<プット>
25,000円:約7,800枚(+800枚)
25,500円:約7,800枚(+800枚)
26,000円:約7,300枚(+0枚)
26,500円:約6,000枚(+600枚)
27,000円:約8,200枚(−600枚)
27,500円:約3,700枚(+0枚)
28,000円:約2,700枚(−200枚)
25,000円台のプットの建玉が積み上がってきており、下値不安が根強いことが窺える。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、CTAが225先物買い戻し、実需筋はTOPIX先物買い戻さず
NT倍率(先物)は上昇。スイスUBSによるクレディ・スイスの買収合意や各国中央銀行による迅速な対応により、金融システム不安がやや緩和。
状況悪化に関する目先のピークは過ぎたとみられ、商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドが225先物を中心に買い戻す動きが観測された。
一方、欧米の銀行の経営不安が完全には払拭されず、世界経済の後退懸念もくすぶる中、実需筋のTOPIX先物買い戻しの動きは見られなかった。
こうした先物手口の動向から、この週のNT倍率は上昇傾向となり、週を通して14pt台での推移となった。
今週の225先物は軟調か。
欧米での銀行の経営不安が続いており、ニュースのヘッドラインに応じた高いボラティリティー相場が続きそうだ。
一方、各国当局は迅速に対応策を講じており、FRBも銀行の経営不安を通じた信用収縮が利上げ同等以上の効果を有することを指摘し、今後の金融引き締めには柔軟な姿勢を見せている。
このため相場が一時的に大きく下落しても、期間は短期的にとどまると考える。
一方、今週末には米2月個人消費支出(PCE)コアデフレーターが発表される。FRBが最も重要視する物価指標であり、これが予想を上振れるようだと、FRBが金融不安とインフレ抑制の板挟みに陥ることが想定される。
政策の先行き不透明感も強くなるため、投資家心理にも影響を与えそうだ。このため、週を通して積極的な買い戻しは期待しにくいだろう。
先週の先物手口を見ても、CTAとの連動性の高いドイツ証券の買い戻しは確認されたが、ソジェンの225先物売り越しやJPモルガンとバークレイズによるTOPIX先物売り越しは継続しており、買い戻し機運は高まっていない。
3月期末の配当再投資目的の先物買いが1兆円発生する見込みだが、目先は下値に警戒したい。今週の225先物予想レンジは26,000−27,500円。
経済スケジュール(3月20日〜3月26日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
3月27日 | 月 | 国内 | 08:50 | 企業向けサービス価格指数(2月) |
14:00 | 景気一致指数(1月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(1月) | |||
カバーが東証グロースに新規上場(公開価格:750円) | ||||
海外 | 10:30 | 中・工業利益(2月) | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(2月) | |||
17:00 | 独・IFO企業景況感指数(3月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者信頼感(3月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
20:30 | ブ・経常収支(2月) | |||
20:30 | ブ・海外直接投資(2月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演 | ||||
NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が2期目スタート(任期5年) | ||||
中・馬英九前台湾総統が訪問 | ||||
米・2年債入札 | ||||
3月28日 | 火 | 国内 | 13:00 | 黒田日本銀行(日銀)総裁がFIN/SUM 2023(金融庁など主催)で挨拶 |
Arentが東証グロースに新規上場(公開価格:1440円) | ||||
モンスターラボホールディングスが東証グロースに新規上場(公開価格:720円) | ||||
アクシスコンサルティングが東証グロースに新規上場(公開価格:1950円) | ||||
海外 | 09:30 | 豪・小売売上高(2月) | ||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(3月) | |||
20:00 | ブ・ブラジル中央銀行が金融政策決定会合議事録公表 | |||
22:00 | 米・FHFA住宅価格指数(1月) | |||
22:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(1月) | |||
23:00 | 米・消費者信頼感指数(3月) | |||
米・上院銀行委員会で最近の銀行破綻と連邦当局の対応巡る公聴会 | ||||
英・中銀総裁がシリコンバレー銀行(SVB)巡り証言 | ||||
欧・欧州連合(EU)エネルギー相会合 | ||||
中・中国ブラジル首脳会談 | ||||
米・5年債入札 | ||||
伊・2年債入札 | ||||
独・2年債入札 | ||||
決算発表 マイクロン・テクノロジー | ||||
3月29日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年)(日本銀行) |
住信SBIネット銀行が東証スタンダードに新規上場(公開価格:1200円) | ||||
AnyMind Groupが東証グロースに新規上場(公開価格:1000円) | ||||
海外 | 09:30 | 豪・消費者物価指数(2月) | ||
20:30 | ブ・融資残高(2月) | |||
20:30 | ブ・個人ローン・デフォルト率(2月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(2月) | |||
26:30 | ブ・連邦政府債務残高(2月) | |||
米・下院金融委員会で最近の銀行破綻と連邦当局の対応巡る公聴会 | ||||
第2回民主主義サミット(30日まで) | ||||
米・台湾総統がニューヨークに滞在(30日まで) | ||||
米・7年債入札 | ||||
3月30日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
国内自動車各社が2月の世界販売・生産実績を公表 | ||||
ノバシステムが東証スタンダードに新規上場(公開価格:1700円) | ||||
ビズメイツが東証グロースに新規上場(公開価格:3250円) | ||||
海外 | 18:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(3月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(3月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレIGPM(3月) | |||
20:00 | ブ・中央銀行が四半期インフレ報告公表 | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(1月) | |||
21:00 | 独・消費者物価指数(3月) | |||
21:30 | 米・GDP確定値(10-12月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
26:30 | ブ・中央政府財政収支(2月) | |||
南ア・南アフリカ準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||||
米・リッチモンド連銀総裁が講演 | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)経済報告 | ||||
伊・5年債、10年債入札 | ||||
3月31日 | 金 | 国内 | 08:30 | 東京CPI(3月) |
08:30 | 有効求人倍率(2月) | |||
08:30 | 失業率(2月) | |||
08:50 | 鉱工業生産指数(2月) | |||
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(2月) | |||
08:50 | 小売売上高(2月) | |||
14:00 | 住宅着工件数(2月) | |||
Fusicが東証グロースに新規上場(公開価格:2000円) | ||||
ココルポートが東証グロースに新規上場(公開価格:3150円) | ||||
海外 | 10:30 | 中・製造業PMI(3月) | ||
10:30 | 中・非製造業PMI(3月) | |||
10:30 | 中・総合PMI(3月) | |||
15:00 | 英・GDP改定値(10-12月) | |||
16:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(3月) | |||
18:00 | 欧・消費者物価コア指数(3月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏失業率(2月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(2月) | |||
20:30 | ブ・基礎的財政収支(2月) | |||
20:30 | ブ・純債務対GDP比(2月) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種(2月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(2月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(2月) | |||
21:30 | 米・個人所得(2月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(2月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(2月) | |||
22:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(3月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者マインド指数(3月) | |||
中・経常収支確定値(10-12月) | ||||
米・ニューヨーク連銀総裁が講演 | ||||
欧・ラガルドECB総裁が講演 |
- 提供:フィスコ社