先週の225先物は週間で130円高(上昇率0.47%)の27,490円と4週続伸。
米12月個人消費支出(PCE)コアデフレータや米10−12月期雇用コスト指数の鈍化などインフレピークアウト期待を高める材料はあったが、週後半に相次ぐイベントを前に様子見ムードが強く、225先物は27,500円を挟んだ一進一退が続いた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り0.25ptへと利上げ幅が縮小された。
また、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見で年始からの金利低下・株高をけん制しなかったほか、ディスインフレに言及したことがハト派的と捉えられ、米ハイテク株が週半ばに急伸。
一方、為替の円高が重しとなり、225先物はFOMC後も上値の重い展開が継続。その後、欧州中央銀行(ECB)と英イングランド銀行が継続的な利上げを主張しつつも、利上げ停止が近づいていることが示唆されたことが好感され、金利先高観の後退に伴い米ハイテク株は続伸。
しかし、取引終了後に発表されたアップルやアルファベット、アマゾン・ドットコムなどの米IT大手の決算が軒並み低調で、時間外取引でナスダック100先物が下落していたことが嫌気され、225先物は週末も伸び悩む展開が続いた。
1月27日時点の裁定残高は、ネットベースで995億円の買い越しとなり、前週(1,357億円の売り越し)から買い越しに転じた。一方、株数ベースでは、4,716万株の買い越しで、1月20日時点(5,390万株の売り越し)から買い越しに転じている。
日経平均と裁定残(1月27日時点)
TOPIX先物ではGSとモルガンSの売り越し目立つ
買い方では両先物ともに、シティGとJPモルガンが上位に入った。
一方、TOPIX先物では海外勢の売り越しが目立った。GSが累計12,555枚と大量に売り越したほか、モルガンSも累計6,144枚と週を通して大きく売り越した。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で0.71pt安の16.29と低下。
米国での賃金インフレピークアウトや主要各国中銀の利上げ停止への期待が高まる中、オプション市場ではプット(売る権利)が売られ、日経VIの低下につながった。
2月限オプション取引の建玉残
<コール>
28,000円:約10,200枚(前週比+1,200枚)
27,500円:約8,400枚(−1,800枚)
27,000円:約7,700枚(−200枚)
<プット>
25,500円:約4,700枚(−200枚)
26,000円:約8,400枚(+800枚)
26,500円:約6,800枚(+800枚)
27,000円:約8,700枚(+3,500枚)
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、ハト派寄りのFOMCなどを好感
NT倍率(先物)は上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は年始からの金利低下・株高をけん制しなかったほか、初めてディスインフレの兆候に言及。
また、環境の変化次第では金融引き締めの変更を否定しなかった。これらがハト派的と解釈され、利上げ停止や年後半の利下げに対する期待を高め、現物市場でのハイテク株の買いを支援。
また、米半導体メーカーAMDの良好な決算も値がさの半導体株の買いを促進。現物市場で値がさハイテク株の買いが強まる中、先物市場でも日経225先物の相対的な優位性が強まり、NT倍率は週を通して上昇した。
今週の225先物は一進一退か。
米1月雇用統計では平均時給の伸びが鈍化した一方、雇用者数の伸びが市場予想を3倍近くも上振れ、失業率も予想外に低下。
米1月ISM非製造業景気指数も予想を大幅に上振れ、11月の水準にまで急回復。インフレ・利上げピークアウト期待は一旦剥落しそうだ。
今週から再びFRB高官からの発言機会も増えるため、タカ派な発言には注意したい。
そもそも、先週のパウエル議長の会見ではあと複数回の利上げと経済動向が予想通りであれば年内の利下げはないとする従来通りの見解が示された。
早ければ3月に利上げ打ち止め、そして年後半には0.25ptの利下げが2回実施されると考える市場の期待とは依然として程遠い内容で、市場は都合よく解釈し過ぎた印象が拭えない。
海外勢は12月の日本銀行のサプライズ政策修正後に大量に売り越した225先物を直近2週間でほぼ買い戻しており、需給面でもリバウンドは小休止しそうだ。
加えて、GSとモルガンSが足元TOPIX先物を連日大幅に売り越していることも気掛かり。為替の円安が下支えすることに期待したいが、週末に日銀新体制人事が国会で提示・検討されることを踏まえると、円高への思惑も根強い。
今週は総じてこれまでの楽観の修正が起こりやすいだろう。今週の225先物予想レンジは26,500−27,900円。
経済スケジュール(2月6日〜2月12日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
2月6日 | 月 | 国内 | 決算発表 大林組、エーザイ、住友商、日清食品H、ヤマトHD、オリックス、アステラ薬、JFEホールディングス、大ガス、島津製 | |
海外 | 16:00 | 独・製造業受注(12月) | ||
19:00 | 欧・ユーロ圏小売売上高(12月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
ウクライナ・GDP(10-12月) | ||||
ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演 | ||||
英・ルノー、日産、三菱自の3社連合が発表会 | ||||
決算発表 ピンタレスト | ||||
2月7日 | 火 | 国内 | 08:30 | 家計支出(12月) |
08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(12月) | |||
08:30 | 実質賃金総額(12月) | |||
08:50 | 為替介入実績(日次ベース)(10-12月) | |||
14:00 | 景気一致指数(12月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(12月) | |||
15:00 | コール市場残高(1月、日本銀行) | |||
決算発表 三菱ケミカル、三菱重、任天堂、スズキ、ダイキン工、バンナムH | ||||
決算発表 協和キリン、ヤマハ、ソフトバンクG、シャープ、SBI | ||||
海外 | 09:30 | 豪・貿易収支(12月) | ||
12:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
15:45 | スイス・失業率(1月) | |||
16:00 | 独・鉱工業生産指数(12月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率IGP-DI(1月) | |||
20:00 | ブ・ブラジル中央銀行金融政策委員会(COPOM)議事録公表 | |||
22:30 | 米・貿易収支(12月) | |||
22:30 | 加・貿易収支(12月) | |||
29:00 | 米・消費者信用残高(12月) | |||
中・外貨準備高(1月) | ||||
米・バイデン米大統領が一般教書演説 | ||||
米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演 | ||||
米・3年債入札 | ||||
決算発表 プルデンシャル、BP、BNPパリバ | ||||
2月8日 | 水 | 国内 | 08:50 | 国際収支(経常収支)(12月) |
08:50 | 貸出動向 銀行計(1月) | |||
08:50 | 銀行貸出動向(含信金前年比)(1月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年)(日本銀行) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 現状判断(1月) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 先行き判断(1月) | |||
決算発表 東レ、旭化成、スバル、大成建設、ユニチャム、パンパシI、凸版印刷 | ||||
決算発表 富士フイルム、住友鉱、マクドHD、千葉銀行、AGC | ||||
海外 | 13:30 | 印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
13:30 | 印・RBI現金準備率 | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
24:00 | 米・卸売在庫 (12月) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁がインタビュー | ||||
米・10年債入札 | ||||
独・7年債入札 | ||||
北朝鮮・朝鮮人民軍創建日(建軍節) | ||||
決算発表 ウーバー、ウォルト・ディズニー、ソシエテ・ジェネラル | ||||
2月9日 | 木 | 国内 | 08:50 | マネーストック(1月) |
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
15:00 | 工作機械受注(1月) | |||
決算発表 明治HD、NTTデ、NTT、日本製鉄、SUMCO、シスメクス、住友不動産、浜松ホト、セコムトヨタ | ||||
決算発表 INPEX、テルモ、ネクソン、大日本印刷、三菱地所、ルネサス、いすゞ自、東エレク、ダイフク、日産 | ||||
海外 | 17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | ||
21:00 | ブ・IBGEインフレ率IPCA(1月) | |||
21:00 | ブ・小売売上高(12月) | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
中・資金調達総額(1月、15日までに) | ||||
中・マネーサプライ(1月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(1月、15日までに) | ||||
欧・欧州連合(欧)首脳会議特別会合(10日まで) | ||||
米・30年債入札 | ||||
米・シカゴオートショーのプレスデー(10日まで、一般公開は11-20日) | ||||
決算発表 ペプシコ、ペイパル、リフト、クレディ・スイス・グループ、クレディ・アグリコル、アストラゼネカ、シーメンス | ||||
2月10日 | 金 | 国内 | 08:50 | 国内企業物価指数(1月) |
決算発表 エネオス、大和ハウス、ヤクルト、日産化、パーソルHD | ||||
決算発表 ホシザキ、資生堂、三井不、オリンパス、三菱HCC | ||||
海外 | 10:30 | 中・消費者物価指数(1月) | ||
10:30 | 中・生産者物価指数(1月) | |||
16:00 | トルコ・失業率(12月) | |||
16:00 | 英・GDP速報値(10-12月) | |||
16:00 | 英・鉱工業生産指数(12月) | |||
16:00 | 英・商品貿易収支(12月) | |||
19:30 | 露・ロシア中央銀行が政策金利発表 | |||
21:00 | 印・鉱工業生産(12月) | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(12月) | |||
22:30 | 加・失業率(1月) | |||
24:00 | 米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(2月) | |||
28:00 | 米・財政収支(1月) | |||
米・FRBウォラー理事とフィラデルフィア連銀総裁が暗号資産(仮想通貨)関連会議で講演 |
- 提供:フィスコ社