先週の225先物は週間で1,020円安(下落率3.77%)の26,010円と3週続落。
国内の連休入り後、英国政府が財源の裏付けに乏しい大規模減税策を発表したことでインフレがさらに進むとの懸念が強まり、欧米の金利が一段と上昇。
こうしたリスク回避の動きを引き継いで週明けから225先物は830円安とギャップダウンで始まった。翌27日は自律反発狙いの買いで上昇も、不透明感が残るなか120円高と小幅反発にとどまった。
米シカゴ連銀のエバンス総裁のややハト派な発言がありながらも米金利の上昇は止まず、不安がくすぶる中、28日は米アップルの最新スマートフォンの増産計画撤回に関する報道がリスクオフを強め、日中に急落、一時25,680円まで下落した。
ただ、配当再投資を意識した買い戻しで急速に下げ渋った。その後、英中央銀行が長期国債の無制限買入れや量的引き締め(QT)開始の10月末までの延長を発表すると、金融不安の緩和に伴いグローバルな金利上昇が止み、29日は買い戻しが活発化、前日の下げを取り戻す展開となった。
しかし、週末30日は再び330円安と大幅安。欧米の金利が再び上昇したほか、米主要企業の軟調な決算が業績悪化懸念を強め、リスク回避の動きが加速した。
9月22日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆1,675億円の買い越し(前週は1兆2,320億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、4億2,443万株の買い越しで、9月16日時点(4億5,952万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(9月22日時点)
両先物ともに売り方トップはバークレイズ
両先物ともに売り方トップはバークレイズ証券だった。同社は日本株調査部門を持たないため、商品投資顧問(CTA)のほか、米VIXや日経平均VIの上昇に伴うリスクパリティ戦略系ファンドの手口と推察される。
ほか、売り方上位は両先物ともに海外勢が上位を占めた。一方、買い方はともに裁定売り(現物売り・先物買い)が膨らみAアムロCなどがトップ。日経225先物ではSBIなどネット系証券が入り、個人投資家による日経レバETFの押し目買いが示唆された。TOPIXでは買い方もそれなりに目立ったが、配当再投資に伴う動きと考えられる。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で4.72pt高(上昇率21.84%)の26.33と急伸。
英国やイタリアを中心とした欧州での財政不安、世界的な企業業績の悪化懸念など外部環境の不透明感が強まるなか、下値不安が高まり、プット(売る権利)が大きく買われ、日経平均VIの上昇に繋がった。
終値での25pt超えは6月20日以来となる。全体的にプットの売買が活発化し、今週は特に24,000円台での買いが活況だった。
プットの建玉は、24,500円で前週末の約6,200枚から約12,000枚に、24,000円では約4,450枚から約11,800枚へとそれぞれ大幅に増加した。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、CTAやリスクパリティファンドの売りが広がる
NT倍率(先物)は低下。英国やイタリアを中心に欧州で財政不安が生じたことでグローバルに金利が大幅上昇。
リスク回避の動きが広がるなか、商品投資顧問(CTA)のほか、米VIX指数や日経平均VIの上昇に応じたリスクパリティ戦略系ファンドの売りが225先物を中心に出てNT倍率の低下に繋がった。
また、米マイクロン・テクノロジーの売上見通しが市場予想を大幅に下回ったことで半導体関連を中心に値がさのハイテク株が売られたことも、225先物売りにつながり、NT倍率が低下した。
今週の225先物は神経質な展開か。
先週末にかけて米国株は大幅に続落。欧州の財政不安を発端としたグローバルな金利上昇や世界的な企業業績の悪化、さらには、ウクライナ情勢を巡ってはロシアが侵略した領土を強硬的に併合するなど外部環境の不透明感は増すばかり。
こうした中、今週末には米9月雇用統計を控え、相場は神経質な展開を強いられそうだ。
日経225オプションでは24,000円台のプット買いが活発なほか、先物手口では先週後半にかけてバークレイズが225先物とTOPIX先物を連日で大量に売り越すなど、CTAやリスクパリティ系ファンドの売り基調が続いている。
一方、米個人投資家協会(AAII)によると、9月28日までの米個人投資家のセンチメントは2週連続で弱気が60%を超えた。これは統計史上初めてのことだという。
米中間選挙のある年の10月は株価が上昇しやすいというアノマリーもあり、株価反転への期待もある。
ただ、先週末に発表された米8月個人消費支出(PCE)コアデフレータは予想を上回り、インフレを巡る金融引き締め懸念もくすぶっている。
こうした中、週末の米雇用統計での平均賃金の伸びなどは注目度が高く、積極的な押し目買いに転じるにはやや時期尚早と推察される。
強弱材料が混在するなか、一進一退の展開を予想する。今週の225先物予想レンジは25,200-26,400円とする。
経済スケジュール(10月3日〜10月9日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
10月3日 | 月 | 国内 | 08:50 | 日銀金融政策決定会合における主な意見(9月21、22日) |
08:50 | 日銀短観(大企業製造業DI)(7-9月) | |||
09:30 | 製造業PMI(9月) | |||
14:00 | 自動車販売台数(9月) | |||
臨時国会召集、岸田首相が所信表明演説 | ||||
海外 | 14:00 | 印・製造業PMI(9月) | ||
15:30 | スイス・消費者物価指数(9月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(9月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(9月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(9月) | |||
23:00 | 米・ISM製造業景況指数(9月) | |||
23:00 | 米・建設支出(8月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(9月) | |||
米・自動車販売(9月、4日までに) | ||||
中・株式市場は祝日のため休場(国慶節、7日まで、10日から取引再開) | ||||
米・アトランタ連銀総裁が同連銀主催の会議で開会のあいさつ | ||||
米・二ューヨーク連銀総裁が講演 | ||||
英・クワーテング財務相が保守党大会で演説 | ||||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
10月4日 | 火 | 国内 | 08:30 | 東京CPI(9月) |
08:50 | マネタリーベース(9月) | |||
海外 | 12:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(9月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏PPI(8月) | |||
22:30 | ブ・自動車販売台数(9月) | |||
23:00 | 米・製造業受注(8月) | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(8月) | |||
米・ダラス連銀総裁がアトランタ連銀主催のイベントであいさつ | ||||
米・ニューヨーク連銀総裁が同連銀主催のイベントで開会・閉会のあいさつ | ||||
米・クリーブランド連銀総裁がシカゴ連銀主催のイベントで講演 | ||||
米・サンフランシスコ連銀総裁が外交問題評議会(CFR)で講演 | ||||
10月5日 | 水 | 国内 | 09:30 | サービス業PMI(9月) |
09:30 | 総合PMI(9月) | |||
14:00 | 需給ギャップと潜在成長率(日本銀行) | |||
海外 | 10:00 | NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
15:00 | 独・貿易収支(8月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(9月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(9月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(8月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(9月) | |||
21:30 | 米・貿易収支(8月) | |||
21:30 | 加・貿易収支(8月) | |||
22:00 | ブ・サービス業PMI(9月) | |||
22:00 | ブ・総合PMI(9月) | |||
23:00 | 米・ISM非製造業景況指数(9月) | |||
25:00 | 露・GDP(4-6月) | |||
独・15年債入札 | ||||
「OPECプラス」閣僚級会合 | ||||
米・アトランタ連銀総裁が講演 | ||||
英・トラス首相が保守党大会で演説 | ||||
10月6日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
地域経済報告(さくらリポート)(10月、日本銀行) | ||||
日銀支店長会議で黒田総裁が挨拶 | ||||
海外 | 09:30 | 豪・貿易収支(8月) | ||
14:00 | 印・サービス業PMI(9月) | |||
14:00 | 印・総合PMI(9月) | |||
15:00 | 独・製造業受注(8月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏小売売上高(8月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-DI)(9月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
欧・欧州中央銀行(ECB)議事要旨(9月会合) | ||||
米・シカゴ連銀総裁が質疑応答に参加 | ||||
米・クック連邦準備制度理事会(FRB)理事がピーターソン国際経済研究所で講演 | ||||
米・クリーブランド連銀総裁が講演 | ||||
10月7日 | 金 | 国内 | 08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(8月) |
08:30 | 実質賃金総額(8月) | |||
08:30 | 家計支出(8月) | |||
10:00 | 営業毎旬報告(9月30日現在、日本銀行) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(8月) | |||
14:00 | 景気一致指数(8月) | |||
15:00 | コール市場残高(9月、日本銀行) | |||
海外 | 14:45 | スイス・失業率(9月) | ||
15:00 | 独・鉱工業生産指数(8月) | |||
21:00 | ブ・小売売上高(8月) | |||
21:00 | ブ・広義小売売上高(8月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(9月) | |||
21:30 | 米・失業率(9月) | |||
21:30 | 米・平均時給(9月) | |||
21:30 | 加・失業率(9月) | |||
23:00 | 米・卸売在庫(8月) | |||
25:00 | 露・CPI(9月) | |||
28:00 | 米・消費者信用残高(8月) | |||
中・外貨準備高(9月) | ||||
欧・欧首脳非公式会議 | ||||
米・ニューヨーク連銀総裁が質疑応答に参加 | ||||
10月8日 | 土 | 海外 | 10:45 | 中・財新サービス業PMI(9月) |
10:45 | 中・財新総合PMI(9月) | |||
10月9日 | 日 | 海外 | 中・資金調達総額(9月、15日までに) | |
中・マネーサプライ(9月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(9月、15日までに) | ||||
中・共産党第19期中央委員会第7回総会(7中総会) |
- 提供:フィスコ社