先週の225先物は週間で650円安(下落率2.45%)の25,830円と反落。
週前半は前の週からの戻りを試す展開が継続。6月のミシガン大学消費者マインド指数の確定値で、短期および長期の期待インフレ率が共に14年ぶり高水準の速報値から下方修正されたことが安心感を誘った。
6月以降の株価下落を背景に、年金基金がリバランス(資産配分の再調整)を目的とした買いを入れるとの需給改善期待も後押しした。
しかし、週半ばからは大きく下落。中国が新型コロナ規制を緩和したことが好感された一方、米6月の消費者信頼感指数が予想以上に悪化し、景気後退懸念が再燃。加えて、米国国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費の大幅な引き下げを要因に、1-3月期GDPの確定値が改定値から大きく下方修正されたことで投資家心理も悪化。
欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が景気よりもインフレ抑制を優先する姿勢を再強調したことも嫌気された。
さらに週末には、6月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)の予想以上の悪化や、インフレ調整後の5月個人消費支出(PCE)がマイナスに落ち込んだことが懸念に拍車をかけ、225先物は26,000円を割り込んだ。
6月24日時点の裁定残高は、ネットベースで4,854億円の買い越し(前週は6,485億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、1億7,340万株の買い越しで、6月17日時点(2億3,985万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(6月24日時点)
みずほ証券が売り方上位、GSはTOPIX先物を後半売り越し
週後半を中心に先物主導で相場が下落したことで、裁定売りの動きが活発化し、両先物ともにソジェンなどの裁定業者が累計上位に並んだ。225先物ではみずほ証券が売り方トップに躍り出た。
景気後退懸念が強まるなか、国内機関投資家も持ち高を粛々と削減したと推察される。JPモルガンがほぼ同額で売り方の累計2位となった。みずほ証券はTOPIX先物でもほぼ同規模で売り方上位に入った。TOPIX先物の売り方トップは2位のモルガンSに累計で2.7倍の差を付けたバークレイズだった。GSは週後半に2日連続でTOPIX先物を大きく売り越した。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で1.33pt高(上昇率5.76%)の24.41と上昇。週後半に相場が大きく崩れるなか、週末にかけてプット(売る権利)が買われ、日経VIの上昇に繋がった。オプション市場では7月物でコール(買う権利)の売買が活発だったのは権利行使価格27,500円、27,000円。プットの売買が活発だったのは26,000円、25,500円だった。
建玉の積み上がり方はコールもプットもどちらも前の週末からほぼ変わらずで、5,000枚〜7,000枚のレンジ。期先の8月物では、コールで28,500円、28,000円の売買が多く、建玉も大きく積み上がった。
プットでは25,000円での売買が多く、建玉も大きく積み上がる傾向が見られた。手口から上下どちらにも大きく振れる可能性が窺える。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、米マイクロンの決算などを嫌気
NT倍率(先物)は低下。6月消費者信頼感指数や1-3月期国内総生産(GDP)確定値、6月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、5月個人消費支出(PCE)など米経済指標の相次ぐ悪化でリスク回避ムードが加速。欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が景気よりもインフレ抑制を優先する姿勢を再強調したことも重石になり、先物主導で売りが膨らんだ。
また、米半導体大手マイクロン・テクノロジーの6-8月期見通しが売上高及び一株当たり利益ともに市場予想を大幅に下回ったことで、半導体関連を中心とした値がさハイテク株が総崩れ。先物市場でも225型先行で下落し、NT倍率の低下につながった。
今週の225先物は軟調が予想される。
米6月雇用統計の発表が控える8日には、国内の株価指数に連動するパッシブ型の上場投資信託(ETF)の配当金支払いが集中。分配金捻出に伴う換金売りで現物株・先物を併せて1兆円程の売りが出ると想定されている。
需給悪化を見越した仕掛け的な売りが出る可能性もあり、注意したい。
一方、先週末にかけての2日間、GSが連日でTOPIX先物を大きく売り越していた。これが8日の需給イベントを見越したプレポジションの構築であれば、需給悪化による下落はそれ程大きなものにはならない可能性がある。
ただ、6月第3週(6/13〜17)にグローバルマクロ系ファンドと思われる向きがGSを通じて大幅にTOPIX先物を売り越していたため、先週の相次ぐ米経済指標の下振れを受けて当該ファンドが純粋に売り持ち高を膨らましたとも考えられる。
その場合、需給悪化を見越した売り持ち高の構築は十分でないと想定され、週前半の下値模索の展開には警戒したい。
また、週末には注目度の高い安川電機<6506>の決算も予定されており、いずれにしろ、週末に集中するイベントを前に神経質な展開が想定され、積極的な買いは期待できそうにない。今週の225先物予想レンジは25,500-26,800円。
経済スケジュール(7月4日〜7月10日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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7月4日 | 月 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(6月) |
10:00 | 営業毎旬報告(6月30日現在、日本銀行) | |||
13:30 | NES、信金中央金庫、三井住友トラスト・ホールディングスが地域発ベンチャー育成・創出のための新規ファンド設立を発表 | |||
15:00 | 国内ユニクロ売り上げ速報(6月) | |||
海外 | 15:00 | 独・貿易収支(5月) | ||
15:30 | スイス・消費者物価指数(6月) | |||
16:00 | トルコ・消費者物価指数(6月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(6月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏生産者物価指数(5月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
米・株式市場は祝日のため休場(独立記念日) | ||||
スイス・ウクライナ復興会議(5日まで) | ||||
7月5日 | 火 | 国内 | 08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(5月) |
08:30 | 実質賃金総額(5月) | |||
09:30 | サービス業PMI(6月) | |||
09:30 | 総合PMI(6月) | |||
14:00 | 需給ギャップと潜在成長率(日本銀行) | |||
海外 | 10:45 | 中・財新サービス業PMI(6月) | ||
10:45 | 中・財新総合PMI(6月) | |||
13:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | |||
14:00 | 印・サービス業PMI(6月) | |||
14:00 | 印・総合PMI(6月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(6月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(6月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(5月) | |||
22:00 | ブ・サービス業PMI(6月) | |||
22:00 | ブ・総合PMI(6月) | |||
23:00 | 米・製造業受注(5月) | |||
英・イングランド銀行(英中央銀行)が金融安定報告公表、記者会見 | ||||
7月6日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存10-25年)(日本銀行) |
13:30 | 「生活意識に関するアンケート調査」(第90回)の結果公表(日本銀行) | |||
決算発表 イオン | ||||
海外 | 15:00 | 独・製造業受注(5月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏小売売上高(5月) | |||
22:45 | 米・サービス業PMI(6月) | |||
22:45 | 米・総合PMI(6月) | |||
23:00 | 米・JOLT求人件数(5月) | |||
23:00 | 米・ISM非製造業景況指数(6月) | |||
27:00 | 米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月14-15日会合分) | |||
独・10年債入札 | ||||
国連「2022年世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告 | ||||
7月7日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
11:00 | 東京オフィス空室率(6月) | |||
14:00 | 景気先行CI指数(5月) | |||
14:00 | 景気一致指数(5月) | |||
コール市場残高(6月、日本銀行) | ||||
決算発表 7&iHD | ||||
海外 | 10:30 | 豪・貿易収支(5月) | ||
14:45 | スイス・失業率(6月) | |||
15:00 | 独・鉱工業生産指数(5月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-DI)(6月) | |||
21:15 | 米・ADP全米雇用報告(6月) | |||
21:30 | 加・貿易収支(5月) | |||
21:30 | 米・貿易収支(5月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
中・外貨準備高(6月) | ||||
インドネシア・G20外相会合(8日まで) | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)議事要旨(6月会合) | ||||
米・ウォラー連邦準備制度理事会(FRB)理事が全米企業エコノミスト協会のイベントでインタビュー | ||||
米・セントルイス連銀総裁が講演 | ||||
決算発表 サムスン電子暫定集計 | ||||
7月8日 | 金 | 国内 | 08:30 | 家計支出(5月) |
08:50 | 国際収支(経常収支)(5月) | |||
08:50 | 銀行貸出動向(含信金前年比)(6月) | |||
08:50 | 貸出動向 銀行計(6月) | |||
13:30 | 倒産件数(6月) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 現状判断(6月) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 先行き判断(6月) | |||
INTLOOPが東証グロースに新規上場(公開価格:3500円) | ||||
決算発表 安川電 | ||||
海外 | 20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | ||
21:00 | ブ・拡大消費者物価指数(IPCA)(6月) | |||
21:30 | 米・非農業部門雇用者数(6月) | |||
21:30 | 米・失業率(6月) | |||
21:30 | 米・平均時給(6月) | |||
21:30 | 加・失業率(6月) | |||
22:00 | ブ・自動車販売台数(6月) | |||
23:00 | 米・卸売在庫(5月) | |||
28:00 | 米・消費者信用残高(5月) | |||
米・ニューヨーク連銀総裁が講演(プエルトリコ) | ||||
欧・ラガルドECB総裁が講演 | ||||
欧・ECBが気候変動リスクのストレステスト(健全性審査)の結果公表 | ||||
7月9日 | 土 | 海外 | 10:30 | 中・PPI(6月) |
10:30 | 中・CPI(6月) | |||
中・資金調達総額(6月、15日までに) | ||||
中・マネーサプライ(6月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(6月、15日までに) |
- 提供:フィスコ社