先週の225先物は週間で980円高(上昇率3.66%)の27,790円と大幅に3週続伸。
4月個人消費支出(PCE)コアデフレーターの前年比の伸びが2カ月連続で鈍化。これを受け、前の週末にかけてナスダック総合指数が大幅に上昇していたことが追い風となり、週初から590円高と急伸し、27,400円まで上昇。
ただ、その後は心理的な節目の27,500円を手前に伸び悩み、一進一退。米連邦準備制度理事会(FRB)高官からのタカ派発言が重石となった一方、週半ばに再び1ドル=130円台に乗せた為替の円安進行や中国経済の回復期待が下支えした。
具体的には、6月1日からの中国上海市でのロックダウンの解除に加え、中国の購買担当者景気指数(PMI)の改善、中国政府が国有政策銀行に対してインフラ計画向けに8,000億元(約15兆5,700億円)の与信枠を設けるよう指示したことなどが寄与。
さらに、週末3日には、2日の米株市場でハイテク・グロース株が大幅に上昇したことが支援要因となり、225先物は330円高と大幅高、一時27,800円まで上昇した。
5月27日時点の裁定残高は、ネットベースで5,324億円の買い越し(前週は3,970億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、2億1,599万株の買い越しで、5月20日時点(1億6,892万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(5月27日時点)
裁定買い活発化、TOPIX先物ではJPモルガンが買い越し
裁定買いが活発化し、225先物ではAアムロCの大幅な売り越しが目立った。225先物の買い方では累計上位にBofA証券、JPモルガン、GSの海外勢が並んだ。TOPIX先物でも裁定買いの動きから、裁定業者のソジェンが売り方の累計上位に入った。
ほか、モルガンSやGSが売り方上位に入ったが、週末についてはロールに伴い、期先とのネットではどちらも買い越しだった。買い方では累計上位に並んだ大和、シティG、SMBC日興、UBSはほぼロール。JPモルガンは買い越し基調で、3日は売り越しも、期先とのネットでは1,100枚の超買い越しだった。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で2.44pt安(下落率11.38%)の19.01と低下。株式市場が週初と週末を中心に大きく上昇するなか、日経VIは大幅に低下。週初から20を割り込み、終値では週を通して19台で推移した。
期近(6月限)のオプションについてはプット(売る権利)で権利行使価格26,000円と27,000円の売買が活発で、前者の建玉は減少、後者の建玉は大きく増加した。
コール(買う権利)は28,000円台の売買が活発で、建玉も漸増。期先(7月限)ではコールの建玉は28,500円が最も積み上がっており、次いで2番手に位置する29,000円はこの週に急激に建玉が増加した。
プットは27,000円の建玉が大きく増加したが、コールに比べて建玉の水準はそれほど増えていない。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、米ナスダック高追い風に225型主導で買い戻し進展
NT倍率(先物)は上昇。米4月個人消費支出(PCE)コアデフレーターの結果を受けてインフレ懸念が緩和、前の週末にかけてナスダック総合指数が大幅続伸したことを追い風に、週初から値がさハイテク株に買いが入り、225先物は急伸。
225先物はその後27,500円を手前にした一進一退が続いたが、週末には、前の日のナスダックが大幅に上昇したことで、再び急伸、27,500円を優に超えた。
米5月雇用統計を前に直近売りがきつかった半導体関連株を中心に買い戻しが進み、先物でも225型主導で短期筋の買い戻しが進展。週末にかけてNT倍率はさらに上伸した。
今週の225先物は波乱含みの展開か。
先週末に発表された米5月雇用統計では平均賃金の伸びが予想を下回ったが、依然として高い水準を維持。
また、雇用者数の伸びは予想を大きく上回り、FRBの積極的な利上げへの警戒感から、週末のナスダックは大幅に反落。これを嫌気し、週明けから下落を強いられるだろう。
週末には6月限先物・オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出を控え、その晩には米5月消費者物価指数(CPI)も発表されるため、神経質な地合いのなか波乱含みの展開を想定。先週はFRBのウォラー理事、ブレイナード副議長、クリーブランド連銀のメスター総裁から9月以降も0.5ptの大幅利上げを示唆する発言があり、FRBのハト派転換期待は後退している。
欧州連合(EU)によるロシア産石油の一部禁輸を受けて原油先物価格は上昇基調にあり、先週末には1バレル=120ドル台を突破。米10年債利回りも再び3%を窺う位置まで上昇してきており、インフレ懸念が再燃している。
225先物は先週に1,000円近くも上昇していることから深めの調整を強いられそうだ。来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えているため、買い戻しは先延ばしになるだろう。今週の225先物予想レンジは27,000-28,800円とする。
経済スケジュール(6月6日〜6月12日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
6月6日 | 月 | 国内 | 12:20 | 黒田日本銀行総裁が共同通信社「きさらぎ会」で講演 |
海外 | 10:45 | 中・財新サービス業PMI(5月) | ||
10:45 | 中・総合PMI(5月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
米・州首脳会議(10日まで) | ||||
米・アップルの世界開発者会議(WWDC)(10日まで) | ||||
6月7日 | 火 | 国内 | 08:30 | 家計支出(4月) |
08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(4月) | |||
08:30 | 実質賃金総額(4月) | |||
10:00 | 参院財政金融委員会で日本銀行の「通貨および金融の調節に関する報告書」(半期報告)の説明と質疑 | |||
14:00 | 景気先行CI指数(4月) | |||
14:00 | 景気一致指数(4月) | |||
15:00 | コール市場残高(5月、日本銀行) | |||
骨太方針、新しい資本主義実行計画が閣議決定 | ||||
海外 | 13:30 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
15:00 | 独・製造業受注(4月) | |||
18:30 | 南ア・GDP(1-3月) | |||
21:30 | 加・貿易収支(4月) | |||
21:30 | 米・貿易収支(4月) | |||
28:00 | 米・消費者信用残高(4月) | |||
中・外貨準備高(5月) | ||||
米・3年債入札 | ||||
英・3年(2025年)債入札 | ||||
米・中間選挙予備選(カリフォルニア州、アイオワ州、ミシシッピ州、モンタナ州) | ||||
米・中間選挙予備選(ニュージャージー州、ニューメキシコ州、サウスダコタ州) | ||||
世界銀行グループ(世銀)が世界経済見通し(GEP)発表 | ||||
6月8日 | 水 | 国内 | 08:50 | GDP改定値(1-3月) |
08:50 | GDPデフレーター(1-3月) | |||
08:50 | 国際収支(経常収支)(4月) | |||
08:50 | 銀行貸出動向(含信金前年比)(5月) | |||
08:50 | 貸出動向 銀行計(5月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1ー3年、残存3ー5年、残存5ー10年、残存10ー25年)(日本銀行) | |||
13:30 | 倒産件数(5月) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 現状判断(5月) | |||
14:00 | 景気ウォッチャー調査 先行き判断(5月) | |||
16:35 | 黒田日銀総裁、FT Global Boardroom(オンライン)で基調インタビュー | |||
ANYCOLORが東証グロースに新規上場(公開価格:1530円) | ||||
海外 | 13:30 | 印・インド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
13:30 | 印・RBI現金準備率 | |||
14:45 | スイス・失業率(5月) | |||
15:00 | 独・鉱工業生産指数(4月) | |||
16:00 | タイ・中央銀行が政策金利発表 | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏GDP確定値(1-3月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-DI)(5月) | |||
23:00 | 米・卸売在庫(4月) | |||
韓・GDP(1-3月) | ||||
米・10年債入札 | ||||
独・10年債入札 | ||||
経済協力開発機構(OECD)が世界経済見通しを公表 | ||||
6月9日 | 木 | 国内 | 08:50 | マネーストック(5月) |
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
15:00 | 工作機械受注(5月) | |||
決算発表 積水ハウス | ||||
海外 | 17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | ||
20:45 | 欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見 | |||
21:00 | ブ・拡大消費者物価指数(IPCA)(5月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
中・貿易収支(5月) | ||||
中・マネーサプライ(5月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出(5月、15日までに) | ||||
中・経済全体のファイナンス規模(5月、15日までに) | ||||
米・30年債入札 | ||||
米・メタ・プラットフォームが銘柄コードを「META」に変更 | ||||
6月10日 | 金 | 国内 | 08:50 | 国内企業物価指数(5月) |
岸田首相がシンガポール訪問、アジア安全保障会議に出席(11日まで) | ||||
海外 | 10:30 | 中・消費者物価指数(5月) | ||
10:30 | 中・生産者物価指数(5月) | |||
16:00 | トルコ・失業率(4月) | |||
19:30 | 露・ロシア中央銀行が政策金利発表 | |||
21:00 | 印・鉱工業生産(4月) | |||
21:00 | ブ・小売売上高(4月) | |||
21:30 | 加・失業率(5月) | |||
21:30 | 米・消費者物価コア指数(5月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(6月) | |||
27:00 | 米・財政収支(5月) | |||
シンガポール・アジア安全保障会議(シャングリラ会合、12日まで) | ||||
6月12日 | 日 | 海外 | スイス・世界貿易機関(WTO)閣僚会議(15日まで) | |
仏・国民議会(下院)選挙(第1回投票) | ||||
欧・欧州連合(欧)外相理事会(通商、15日まで) |
- 提供:フィスコ社